質実剛健、いぶし銀のように秀逸ワインを造り続けるシュグ
カリフォルニアワイン協会の日本代表でWSETのDiplomaである扇谷まどかさんが、Diploma Student向けに開催したオンライン・セミナーに参加させていただきました。講師はシュグ(Schug Winery)のClaudia Schugさんです。Schugさん自身WSETのDiplomaであり、今はお休みしているそうですがMWのCandidateとしての勉強もしていたという方です。
セミナーの内容はソノマの概要を中心としたものでした。
ご存知の方が多いと思いますが、ソノマはナパの西側にあります。西に太平洋、南はサンパブロ湾と2方向に海があり、そこから冷気や霧が入ってきます。ナパと比べるとかなり広い地域なので、冷気や霧の届き方も場所によって大きく異なり、多様性に富んでいます。また、ぶどう畑は総面積の5%程度と決して多くなく、地域の半分は森です。ワイナリーの数は500弱ですが畑は1800もあり、大規模にワインを作っているというより、小規模の栽培家がたくさんあるイメージです。
Schugの創設者Walter Schugはドイツ・ラインガウの生まれ。父親もワインメーカーで、ウォルターも大学で醸造と栽培を学び、ドイツのワイナリーでピノ・ノワールを作っていました。請われてカリフォルニアに来たのが1961年。まだRobert Mondavi Wineryも登場前の前時代のころでした。66年まではCalGrape、その後はE&J Galloで働き、600もの生産者との関係を築いていきました。1973年にジョセフ・フェルプスの立ち上げと同時にそのワインメーカーになり、カリフォルニア初のボルドー・スタイルのブレンドワインであるInsigniaを作ったほか、畑名を冠したワインやシラーなどで先頭を走っていました。
ウォルターはピノ・ノワールを造りたいという気持ちが強く、ジョセフ・フェルプスの最初のワインも実はピノ・ノワールだったそうです。しかし、フェルプスのピノ・ノワールは80年で終了してしまいました。
1983年にフェルプスをやめ、Schugの名前でピノ・ノワールを造り始めました。1989年にカーネロスのソノマ側に土地を買って畑を切り開きワイナリーを創設しました。カーネロスのパイオニアの一つとして今に続いています。ウォルターは2015年に亡くなりましたがその後も家族経営を続けています。
このセミナーでは受講生は各自Schugのワインを試飲しましたが、私は2018年のカーネロスのシャルドネでした。スイカズラやスミレの香り、レモンやレモンの皮といった柑橘系中心の味わいですが、軽くグアバのようなニュアンスも感じました。トーストやヴァニラといった樽の要素はありますが控えめ。上品ながらカリフォルニアらしい果実味も顔を覗かせる秀逸なワインです。
ちょうど、ブレッド&バターの試飲などをした後だったのでシャルドネのマロラクティック発酵についてどう考えているか聞いてみました。ウォルターがマロラクティック発酵によるバター的なニュアンスがあまり好きでなかったので、基本的にはあまり行わない方針だそうです。このあたりもウォルターの教えを守って続けているのが感じられました。
また、ヴィンテージについて聞いたところ、この2018年は割とフルボディで2019年はもう少しスリムな味わいになったそうです。また、2021年のヴィンテージは素晴らしいものになっているとのことでした。
ピノ・ノワールに関してはクローンの質問などがありました。シュグの畑のクローンはポマールが中心で、アーシーなキャラクターが特徴だとのこと。このほか購入しているブドウではマルティニやカレラ・クローンといった、いわゆるマサル・セレクションのものやディジョン・クローンもあるそうです。
扇谷さんからは、シュグのワインはコスト・パフォーマンスが優れているというコメントがあり、これについてはワイナリーやテイスティング・ルームを華美に装って客を呼ぶのではなく、地に足をつけて家族でやっていく方針だからだとのこと。
決して派手なワイナリーではなく、評論家からすごい点を取るような派手な味わいのワインを作るワイナリーでもありませんが、実質本位で本当に造りたいワインを造っているその姿勢は素晴らしいと感じました。
セミナーの内容はソノマの概要を中心としたものでした。
ご存知の方が多いと思いますが、ソノマはナパの西側にあります。西に太平洋、南はサンパブロ湾と2方向に海があり、そこから冷気や霧が入ってきます。ナパと比べるとかなり広い地域なので、冷気や霧の届き方も場所によって大きく異なり、多様性に富んでいます。また、ぶどう畑は総面積の5%程度と決して多くなく、地域の半分は森です。ワイナリーの数は500弱ですが畑は1800もあり、大規模にワインを作っているというより、小規模の栽培家がたくさんあるイメージです。
Schugの創設者Walter Schugはドイツ・ラインガウの生まれ。父親もワインメーカーで、ウォルターも大学で醸造と栽培を学び、ドイツのワイナリーでピノ・ノワールを作っていました。請われてカリフォルニアに来たのが1961年。まだRobert Mondavi Wineryも登場前の前時代のころでした。66年まではCalGrape、その後はE&J Galloで働き、600もの生産者との関係を築いていきました。1973年にジョセフ・フェルプスの立ち上げと同時にそのワインメーカーになり、カリフォルニア初のボルドー・スタイルのブレンドワインであるInsigniaを作ったほか、畑名を冠したワインやシラーなどで先頭を走っていました。
ウォルターはピノ・ノワールを造りたいという気持ちが強く、ジョセフ・フェルプスの最初のワインも実はピノ・ノワールだったそうです。しかし、フェルプスのピノ・ノワールは80年で終了してしまいました。
1983年にフェルプスをやめ、Schugの名前でピノ・ノワールを造り始めました。1989年にカーネロスのソノマ側に土地を買って畑を切り開きワイナリーを創設しました。カーネロスのパイオニアの一つとして今に続いています。ウォルターは2015年に亡くなりましたがその後も家族経営を続けています。
このセミナーでは受講生は各自Schugのワインを試飲しましたが、私は2018年のカーネロスのシャルドネでした。スイカズラやスミレの香り、レモンやレモンの皮といった柑橘系中心の味わいですが、軽くグアバのようなニュアンスも感じました。トーストやヴァニラといった樽の要素はありますが控えめ。上品ながらカリフォルニアらしい果実味も顔を覗かせる秀逸なワインです。
ちょうど、ブレッド&バターの試飲などをした後だったのでシャルドネのマロラクティック発酵についてどう考えているか聞いてみました。ウォルターがマロラクティック発酵によるバター的なニュアンスがあまり好きでなかったので、基本的にはあまり行わない方針だそうです。このあたりもウォルターの教えを守って続けているのが感じられました。
また、ヴィンテージについて聞いたところ、この2018年は割とフルボディで2019年はもう少しスリムな味わいになったそうです。また、2021年のヴィンテージは素晴らしいものになっているとのことでした。
ピノ・ノワールに関してはクローンの質問などがありました。シュグの畑のクローンはポマールが中心で、アーシーなキャラクターが特徴だとのこと。このほか購入しているブドウではマルティニやカレラ・クローンといった、いわゆるマサル・セレクションのものやディジョン・クローンもあるそうです。
扇谷さんからは、シュグのワインはコスト・パフォーマンスが優れているというコメントがあり、これについてはワイナリーやテイスティング・ルームを華美に装って客を呼ぶのではなく、地に足をつけて家族でやっていく方針だからだとのこと。
決して派手なワイナリーではなく、評論家からすごい点を取るような派手な味わいのワインを作るワイナリーでもありませんが、実質本位で本当に造りたいワインを造っているその姿勢は素晴らしいと感じました。