中川ワインの試飲会から「オー・ボン・クリマのノックス君に気になるあのことを聞いてみた」に次ぐレポートです。

ボンドやプロモントリーなど、トップクラスのワインも登場する試飲会ですが、私の心を一番捉えたのはワンス・アンド・フューチャー。レイヴェンズウッドの創設者であるジョエル・ピーターソンが近年始めたブランドです。

といっても、中川ワインの方のお話によると、最近はレイヴェンズウッド自体が知られておらず、レイヴェンズウッドの創設者といってもなかなか響かないとか。かつては「ジンファンデルの3R」の一つ(後の2つはRidgeとRosenblum)として、ジンファンデルのトップクラスのワインだったのですが…

今、ジンファンデルでトップクラスというとターリーにベッドロックが2強で、リッジ、カーライル、ビアーレが続くという感じでしょうか。ちなみにこの5ワイナリーは古木の畑を守るヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティの主要メンバーでもあります。

話がなかなか本題に行きませんが、このベッドロックのオーナーであるモーガン・ピーターソンの父親がジョエル・ピーターソンであり、今となってはモーバン・パパとでも呼んだ方が通りがいいのかも…

という戯言はさておき、今回の試飲会ではワンス・アンド・フューチャーの輸入されている6種が勢揃いしたのです。これは前の試飲会であったボンドの揃い踏みに近い興奮ですよ(価格は10分の1以下ですが)。

このうちマタロ(ムールヴェードル)が1つとプティ・シラーが1つ。これも無茶苦茶いいんですが、今回は置いておいて残りのジンファンデルが4種です。この畑がオークレイ・ロードにテルデスキ、ベッドロック、オールド・ヒル・ランチとなっています。オールド・ヒル・ランチは1852年に作られた続けて耕作されているカリフォルニアで一番古い畑で、その後植え替えされているものの1885年の樹が今も使われています。かつてはレイヴェンズウッドのフラッグシップの畑でしたが、今はワンス・アンド・フューチャーと、息子のベッドロックが使っています。

ベッドロックの畑はその名の通りベッドロックが保有していますがこれも1880年代の畑。テルデスキは1890年代。一番新しいオークレイ・ロードでも1900年とどれも今は120年を超える畑となっています。

実際に飲んでみると、これがまた畑ごとに個性豊か。オークレイ・ロードはスムーズでシルキーなテクスチャ。テルデスキは酸がしっかりとして複雑な味わい。ベッドロックは一番タニックでパワフル。オールド・ヒル・ランチはものすごく深みのある味わい。4者4様で甲乙つけ難いできです。

あえて言うなら、今飲むならシルキーなオークレイ・ロード。ポテンシャルならオールド・ヒル・ランチでしょうか。

ちなみに、オークレイ・ロード以外の3つはベッドロックも手掛けている畑。これがまたワンス・アンド・フューチャーとは味わいが違うので、畑の違いプラス造り手の個性の違い(簡単に言ってしまうと、ジョエル・ピーターソンはガツンとくる味わいで息子のモーガンはもっとじわっと味わい深いタイプ)が出て非常に面白いのです。

それから、「とにかく濃いワインが飲みたいんだ」という人はプティ・シラー行っちゃってください。絶対に後悔はないです。

ショップはトスカニーです。