アカデミー・デュ・ヴァンで開催された、イスラエルワインのマスタークラスを受講しました。講師はイスラエルワインのアンバサダーとして活動しているタル・サンダーランド・コーヘンさん。

これまで見つかっている最も古いブドウの種は紀元前8000年頃のもので、東地中海で発見されています。実際にイスラエルでも紀元前1600年頃のワインセラーが発見されています。紀元前700年から250年頃のヘレニズム時代がイスラエルにおけるワインの黄金時代だったといいます。

ただ、イスラエルは長らくイスラム教徒の住む地域であり700年から1850年までの1000年以上、酒類の製造が禁止されていました。新たなワイナリーができたのは1870年で、そこからイスラエルの近代ワイン史が始まります。つまりイスラエルはワインの起源に近いオールド・ワールドでありながら、ワイン産業という意味ではカリフォルニアとあまり変わらない時期からのスタートなのです。

現在作られているワインを見ても、いくつか土着品種はありますが、メインとなるのはカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種です。また、EUのようなワイン法はなく、作りたい品種を作りたいように育てて醸造できます。醸造についてもルールはほとんどないようです。

イスラエルワインの品質向上が始まったのは1983年から。この年、UCデーヴィスのコーネリアス・オウがイスラエルを訪問したのをきっかけに、ゴランハイツ・ワイナリーが生まれたのがそのきっかけとなりました。つまりカリフォルニアからイスラエルへの技術の逆輸入的なことが起こっていたのです。

それで思い出したのですが、イスラエルではサスティナブルの認定に、カリフォルニアのローダイで作られたローダイ・ルールズを採用しています。今もそういったイスラエルとカリフォルニアの交流があるのは面白いと思います。

イスラエルの気候は地中海気候。砂漠もあり基本的には暑いところですが、最主要産地であるガリラヤ地方は標高500~800mと標高が高いので涼しくなっているようです。



12種のワインを試飲しました。最初の2種だけ白ワイン、後は赤です。白はソーヴィニヨン・ブランと、ゲヴェルツトラミネールとソーヴィニヨン・ブランのブレンド。アルコール度数はそれぞれ11.5%、12%とかない低く。味わいも酸がキリッとしてエレガント。こんなワインができるんだとかなり驚きました(もしかしたら加水と加酸によるのかもしれませんが)。


上の写真はArgaman(アルガマン)という品種のもの。SouzaoとCarignanの交配品種だそうです。タンニン強く、ブルーベリーやチョコレートの濃厚な風味、腐葉土のような香りもあります。


このワインはジンファンデル85%、シラーズ10%、プティ・シラー5%という構成。ジンファンデルでなで肩ボトルに入れるのも珍しいです。
フローラルな香り、レッドチェリーなど赤果実の風味があり、カリフォルニアのジンファンデルと比べると非常にエレガントな作り。酸がきれいなのも印象的です。こんなジンファンデルがあるのかと驚きました。


カベルネ・ソーヴィニヨン90%とメルロー10%のブレンド。濃厚でリッチだけどバランスがいいワイン。入手困難なワインだそうです。


シラー100%のワイン。アルコール度数は15%もあります。非常に濃厚でスパイシー。濃い系のシラー(シラーズ)が好きな人にははまると思います。とてもおいしい。

イスラエルワインというとヤルデンが有名で、受講生の多くもヤルデンだけは知っているという人が多かったようです。今回試飲したワインは講師が持ってきたもので残念ながら日本では未発売。ちなみに、コストコには結構イスラエルワインがあるそうです。

今回のセミナー、また飲みたいと思うワインも多く、イスラエルワインのレベルの高さもわかりました。また今後に期待したいと思います。