仏ボルドーのワイン流通システム「ラ・プラス・ドゥ・ボルドー」を経由して輸出するワイナリーが少しずつ増えています。ただ、ラ・プラスを使えば成功が約束されているかというとそういうわけではなく、戦略が必要だという記事が出ていました(What does it take for non-Bordeaux wines to succeed on La Place? - The Drinks Business)。

私が把握している、ラ・プラスを使って輸出しているカリフォルニアワインは30種程度。このほかオレゴンのボー・フレールもラ・プラスで出しています。
ラプラス

ワイナリーがラ・プラスを使って輸出するのは、世界中のワインコレクターにリーチできる能力に期待するのと、取引するワインに与えられる名声を利用したいという2つの理由があります。ですが、すべてのワインがうまくいくわけではなく2021年秋にラ・プラスを利用するようになった非ボルドーワイン12種のうち4つはうまくいった(取引価格が上昇した)ものの、4つは変わらず、4つは取引価格が下がってしまったといいます。ちなみに取引価格が下がった4つの中にはオレゴンのボー・フレールと、カリフォルニアのピーター・マイケル・レ・パヴォも含まれています。

うまくいくワインにはいくつかの条件があるようです。例えばボルドーとの親和性。オーパス・ワンのようにボルドー資本が入っているワイナリーは受け入れられやすいようです。希少性も求められるケースがあるようです。例えばペンフォールズは有名なグランジではなくBin 169というクナワラ産のワインをラ・プラスで出しています。シャンパーニュ・フィリポナの単一畑のキュヴェのトリオ、クロ・デ・ゴワス、クロ・デ・ゴワス「ジュスト・ロゼ」、クロ・デ・ゴワスLV(ロング・ヴィエリスマン)といったワインも希少性が売り物のようです。

ワイナリーによるサポートも重要です。チリのチャドウィックとセーニャは10年ほどラ・プラスを使っており、うまく行っています。「私たちは、世界中で最も有名で独占的な高級ワインのテイスティング、見本市、イベントに常に参加しています」と、その戦略を説明しています。こうやってプレゼンスをアピールすることがラ・プラスで取引されたり、その後の輸出先でワインが売られるには必要です。

前にも記事で書きましたが、日本のインポーターにとっては、ラ・プラスで輸入するワインについてマーケティング費用をかけて宣伝するモチベーションはあまりありません。独占的にそのワインを輸入するわけではないので、マーケティング費用を使っても他社を利するだけかもしれないからです。ワイナリー側がそこまでの覚悟を持って取り組んでいるのかどうかは気になるところです。