ナパツアー3日目その1ーーsナパのラザフォードにある小さなワイナリー「トレサボレス(Tres Sabores)」でナパにおけるサスティナビリティやオーガニック栽培について学びました。

畑はラザフォードの西側。いわゆるラザフォード・ベンチと呼ばれる山麓にあります。畑のすぐ上からはかなり急な傾斜になっています。1987年に購入した畑ですが、最初はフロッグス・リープで使うためだったそうです。10エーカー(約4ヘクタール)というこじんまりとした畑で、当初はすべてジンファンデルを植えていました。1989年に一部カベルネ・ソーヴィニヨンに植え替えています。敷地の中には150本のザクロの木もあり、オリーブも植わっています。オリーブの木の中には1890年代からの古いものもあるそうです。畑はカリフォルニアのオーガニック認証を得ています。


このほか、羊や山羊を飼っていたり、豆類など様々なものを植えていたりしており、広く深く多様性に溢れています。
ミツバチの巣箱も2つあり、ミツバチを管理する専門の会社の人を雇っています。ハチは受粉を助けてくれます。この季節はちょうど新しい女王蜂が巣を作る時期であり、私達が見た巣箱は、ハチの子供を育てているところとのことで、外に出ているハチはほとんどいませんでした。ちなみにこの時期の巣箱の中は華氏94度(摂氏35度超)を維持する必要があるそうです。

ブルーバードの巣箱もあります。鳥は害虫を食べてくれる大事な役割があります。

生産物をゴミにするのではなく、自然に戻していくという活動も行っています。例えば木を切ったものは細かいチップにして通路などに使っています。羊や山羊の糞、ブドウの種などはコンポストにして肥料として使います。

畑のカバークロップではマメ科の植物を中心に植えています。マメ科の植物は空気中の窒素を吸収して「根瘤」という根のコブに蓄えます。これで窒素を地中に戻すことができるわけです。カバークロップを刈り取っても根の部分は残りますから役割は果たせます。カバークロップはそれによって水分を保持するという役割もあります。ワイナリーによっては、カバークロップが水分を使うことでブドウに行く水分を少なくすることを期待しているところもあります。カバークロップに使う植物の種類によってもその役割は変わるので、なかなか理解するのが難しいところです。ここでは、カバークロップを使うことで灌漑なしのドライ・ファーミングを行っているとのことです。


ジュリーは、ナパ・グリーンというナパにおけるサスティナビリティの認証プログラムをリードする役割も担っています。ナパ・グリーンには2020年頃までに90%を超えるワイナリーが参加して認証を受けていましたが、その後、認証の基準を大幅に厳しくし、それまでの認証はリセットするという大きな変革を行いました。新しい認証基準では特に人を大事にすることなどソーシャル・レスポンシビリティ(社会的責任)における基準が厳しくなっています。このあたりからもナパのサスティナビリティの取り組みに対する真剣さが伝わってきます。

ワインはまずプティ・シラーとジンファンデルのロゼを飲みました。糖度20というかなり糖度が低い状態で収穫し、プレスした後、90分だけ果汁と果皮を接触させています。風味の強いブドウ品種だけあって、これだけの接触でもちゃんとロゼとしてしっかりした味が出ていました。

その次は樹齢51年のジンファンデルです。かなりエレガントで美味しい。ラザフォードのジンファンデルというイメージとはだいぶ違っています。7エーカーという小さな畑ですが、土壌の違いなどにより、収穫は4回に分けて行います。30%新樽で22カ月樽熟して出荷しているとのことです。

最後にTres Saboresというワイナリーの名前ですが、メキシコ人などがよく歌う「Sabora Me」という歌から影響を受けているそうです。ラテン系の人は考え方が明るく、それに共鳴しているそうです。また、ワインには品種、土壌、そして一緒に飲んでいる人たちという3つのフレーバーがあるということもかけているとのこと。

ワイナリーの説明の後はバーベキューランチです。スペアリブを長時間スモークしたテキサス系のバーベキューで、堪能しました。サラダにはこのワイナリーのザクロを使ったソースがかかっていたり、食後のアイスクリームにここで取れた蜂蜜をかけて食べたりと、地産地消を地で行く食事でもありました。

また、食事のときにはClos Pagese、Girard、Materra、Monticello、Pejuの人も来てそのワインを紹介しました。Clos PegaseやGirardは日本でも定番のワインです。それ以外のワインの中では、かなりエレガントなMonticelloのシラー、おまけで出してもらったPejuのカベルネ・フランが良かったです。