Flowers Vineyard & Winery(フラワーズ)は、ソノマ・コーストのパイオニアであり、この地域を代表するワイナリです。創設者はWaltとJoanのFlowers夫妻。1990年代末には大人気ワイナリになりました。
人気の理由はいろいろあります。Flowersという分かりやすく華やかな名前に加え、畑の名前がCamp Meeting Ridgeという何やらいわくありげなものであること。さらにはKistlerがCamp Meeting Ridgeで作ったシャルドネやピノ・ノワールがWine Spectator誌で非常に高得点を得たこと、Flowersのワインも良いレイティングを得たことなどが挙げられます。
おそらくFlowersでソノマ・コーストという地域を初めて知った人も多いでしょう。ソノマ・コーストの名前を広げた立役者と言っても過言ではないと思います
1989年に、太平洋からわずか3km、標高350~430mの丘の上にある321エーカーの土地を購入。1991年にピノ・ノワールとシャルドネの畑を作りました(畑はシャルドネが21エーカー、ピノ・ノワールはわずか8エーカー)。この場所は地元のカシャヤ・インディアンが夏に避暑のために住んでいたところ。19世紀にロシアからの毛皮の貿易商との取引の場所に使われ、Camp Meetingの名が付きました。そこで畑の名前はCamp Meeting Ridgeとなりました。
1994年からワイン作りを始め、同年キスラーにもブドウを売るようになりました。キスラーの1994年のCamp Meeting Ridgeピノ・ノワールはWine Spectator誌で94点。95年のシャルドネは95点、96年のシャルドネは97点と、いきなりの高得点続きで一躍Camp Meeting Ridgeの名が上がりました。2005年には有名な評論家のMatt Kramerが、カリフォルニアでグラン・クリュの畑を選ぶとしたらという記事において、Camp Meeting Ridgeを3つの候補の1つに挙げています。
1998年には、より海に近く標高が高い(430~570m)ところにSea View Ridgeという43エーカーの畑を作りました。ここはほぼピノ・ノワールだけの畑です。
どちらの畑も、海からの距離が近いため、冷たい風が吹く涼しいところです。ただし、標高が高いために海から来る霧に覆われる時間が短く、日差しを十分に受けられます。涼しいけど寒すぎないことで、シャルドネやピノ・ノワールに最適な地となっています。
ワインはピノ・ノワールとシャルドネが中心。このほかPerennialというピノ・ノワールとシラー中心のユニークなブレンド物があります。ピノ・ノワールはCamp Meeting RidgeとSea View Ridgeの単一畑、購入したブドウを含むソノマ・コースト、自社畑内の特定のブロックのもの、さらに自社畑から良いものを選んだMoon Selectがあります。シャルドネもCamp Meeting Ridgeの単一畑と購入ブドウを含むソノマ・コースト、自社畑から良い物を選んだMoon Selectがあります。フラグシップのMoon Selectは、ピノ・ノワールもシャルドネも人気が高いワインです。
このほか、2010年ころからCamp Meeting Ridgeではビオディナミによるブドウ作りにも取り組んでいます。灌漑もやめたため、ブドウのみは小さくなり、より凝縮されたフレーバーのワインができてきます。