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Date: 2008/1231 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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ギネスブックの記録を中心に世界のさまざまな数字をイラストを使って紹介する本です。イラストを描いたのが友人なので紹介します。

対象年齢は3歳~7歳。ひらがな,カタカナ,数字が読めれば楽しめますが,イラストがかわいいので字が読めない子でも,親と一緒であれば十分だと思います。うちの上の子(小6)も「絵がかわいい~」と興奮していました。巻末にゲームに使えるカードも付いているので,きっとこれに載っていることは,ずっと覚えていられるのではないでしょうか。僕もこれで世界一長いニンジンを覚えました(笑)。

世界地図も載っています。特に知識欲が旺盛な年中,年長くらいには最適だろうと思います。



Amazonの評価も星五つが4人で平均5。すばらしいです。
Date: 2008/1231 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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本書は,米国の海兵隊員としてパラオのペリリュー島および沖縄本島の戦いに従軍したユージン・B・スレッジ氏による記録である。戦争の最前線にいたものでなくては理解出来ないようなすさまじい体験をこれでもか,というほど詳細につづっている。

アメリカ人が戦争について書いたものというと,どうせ戦争賛歌ではないかとうがった見方をしてしまいそうになるが,本書の主題はむしろその真逆である。例えば次のような記述がある。
珊瑚礁岩の染みを見ていると、政治家や新聞記者が好んで使う表現がいくつか頭に浮かんだ。「祖国のために血を流し」たり「命の血を犠牲として捧げる」のはなんと「雄雄しい」ことだろう、等等。そうした言葉が空疎に思えた。血が流れて喜ぶのはハエだけだ。(太字は引用者)

著者は海兵隊員として,日本兵を憎み,殺すことを教わり,実際に迫撃砲の担当として数多くの日本兵を殺している。戦場においてはまさに殺すか殺されるかであり,そこに選択の余地はないわけである。その現実と,上記のようなアイロニーが矛盾することなく存在している。それがまさにペリリューや沖縄のような激しい消耗戦の果てに行きつくところなのだろう。

この視点は,日本人が太平洋戦争を捉えるときにも重要なポイントになるような気がする。最近,いわゆる「自虐史観」を否定する意見として「ご先祖様が国のために必死になって戦ってきたことを間違っているとするのか」といったものをよく目にする。そうではないのだ。戦争のむなしさ,無意味さと,戦場で兵隊が必死に戦うことは矛盾しないのだ。国の過ちと個人の過ちは全く違うのである。
われわれは頭のつぶれた敵の将校を砲壕の端まで引きずっていき、斜面の下に転がした。暴力と衝撃と血糊と苦難――人間同士が殺しあう、醜い現実のすべてがそこに凝縮されていた。栄光ある戦争などという妄想を少しでも抱いている人々には、こういう出来事をこそ、とっくりとその目で見て欲しいものだ。敵も味方も、文明人どころか未開の野蛮人としか思えないような、それは残虐で非道な光景だった。(太字は引用者)

戦争とは何かを考えるため,いろいろな人に読んで欲しい本である。
Date: 2008/1202 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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カラマーゾフの兄弟の新訳で話題を呼んだ光文社古典新訳文庫で,同じ訳者(東京外国語大学学長の亀山郁夫さん)による「罪と罰」の刊行が始まりました。「罪と罰」を読んだのはたぶん20年くらい前で,内容もほとんど忘れてしまっていましたが,これを機会に新訳を読んでみることにしました。

ほとんど初読みたいなものですし,ロシア文学やドストエフスキーに詳しいわけでもない一般人の感想としては「確かに読みやすい(ような気がする)。それでもかなり大変ではあるけど,2回読むとずいぶんクリアになる」と感じました。1巻は原著の第1部と第2部,主人公のラスコーリニコフが高利貸しの老女を殺すまでと,マルメラードフの死までが描かれます。例によって異様に饒舌で,行動を計りがたい人たちが登場するので,人を覚えるのは,呼び名などをかなり統一させた本書であってもやはり大変。どうしても「この人どこかででてきたっけ」というところが出てきます。2回読むとそのあたりがすっきりして全体像が見えてきます。ストーリー自体はラスコーリニコフを中心に時系列で進んでいるので,パラレルに行きつ戻りつするカラマーゾフと比べると,素直です。

2回読んですっきりしたところの例として警察署の事務官「ザメートフ」があります。ザメートフはラスコーリニコフが警察署に行く場面(224ページ)に「この事務官にはひどく興味をそそられた」と名前なしで登場し,ポマードで撫で付けた頭など,容姿の詳しい描写はあるものの警察署のエピソードの間は名前が出てきません。その次にはラズミーヒンとの会話の中で「ここの警察署の事務官をしているアレクサンドル・ザメートフという男とも知り合いになった」とあっさり触れられます。会話中ではその後295ページに登場してここでラズミーヒンが彼を絶賛することで,急に話の中における重みがまします。

そして本格的に再登場するのは「水晶宮」に行く378ページ。「あのときと同じ格好で…」となるわけですが,最初に読んだときは「これはだれだっけ,あのときっていつだ?」と思ってしまいました。

レベジャートニコフなども冒頭でちらっと言及されただけで,後から登場しますが,たいていどこでどう言及されたかは忘れています。読み直しをすると,「この人あとからここで出てくるんだ」と思いながら把握できるので,より小説の構造が見えやすくなります。それで,本訳のすっきり具合もより見えてきます。

というわけで久々に読む罪と罰,やっぱりこれだけ骨格がしっかりした小説を読むのは楽しいです。続きも楽しみ。