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Date: 2023/0125 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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すき焼きの老舗「人形町今半」が、毎年1月24日の牛肉記念日(明治天皇が初めて牛肉を食べた日だそうです)にすき焼きの食べ放題を行うイベントに行ってきました。店は永田町にある「紀尾井町ガーデンテラス店」。人形町今半の店の中には、お店の人が肉を焼いてくれる店と自分で焼く店がありますが、ここはお店の人が焼いてくれる店です。



この日は、すごい量の肉が消費されるので肉の産地も複数あるそうですが、今回は青森の肉だったそうです。

肉は3枚120gが通常の1人前。今回の価格(1万4300円、税込み)は大体1人前を食べたときの価格です。というわけで2人前以上食べれば元はしっかり取れる計算です。


事前にワインを持ち込めるか聞いたところ1本3000円で持ち込めるということだったので、1996年のエチュード(Etude)カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレーを持っていきました。その昔、ワイナリーで買ったワインです。個人的には非常に思い出深く、またワイナリーでテイスティングした中でも最も印象的だったワイン。もちろん、このころはまだトニー・ソーターが作っています。

ピークを過ぎていないかちょっと心配だったのですが、非常に素晴らしいです。まだ果実味もありますし、熟成によって革やマッシュルームの風味も出てきています。ボリューム感もほどよくあって牛肉に負けていません。ちょっと気が早すぎますが、今年のベストワインと言っても過言ではなさそう。

さて、肝心の牛肉ですが、結局4人で36枚ほどを食べました。私は11~12枚、4人前近くを食べたようです。途中から、くずだれとスダチでさっぱりいただいたので、そこそこ食べられました(最高20枚食べた人もいるそうです)。肉を食べるのが中心だったので、ワインは1本でちょうど足りました。

席を取るのはかなり大変なこの日ですが、がんばった甲斐がありました。
Date: 2023/0123 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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アルノー・ロバーツ(Arnot-Roberts)はダンカン・アルノー・メイヤーズ(Duncan Arnot Meyers)とネイサン・リー・ロバーツ(Nathan Lee Roberts)が2001年に設立したワイナリです。2人はナパで育った幼なじみ。ネイサンは父親が樽の製造業者を営んでおり、祖母が故ロバート・モンダヴィの夫人だった故マルグリット・モンダヴィというワイン関係の家系。一方ダンカンは父親が弁護士というワインとは関係のない家庭で育ち、一時はプロの自転車乗りを目指していました。後にCaymus、Groth、Acacia、Kongsgaardといったナパのワイナリで働いていました。

2001年に共にワインを作り始めましたが、最初は1樽と、ごくごく趣味的なレベルでした。2002年には1万ドルを集め4樽醸造。だんだんと商業レベルになっていきました。転機になったのが2005年。この年は気温が低く、ブドウがそれまでの年よりも熟成していない状態でした。ところがシラーのできが非常に良かったことから、その後も収穫時期を早くしてバランスの取れたワイン・スタイルを目指すようになりました。

その後、ジョン・ボネによる「ニュー・カリフォルニア・ワイン」の冒頭で大きく取り上げられるなどで注目されるようになりました。

今回は
2019 ロゼ(トゥリガ・ナショナル100%)
2013 シャルドネ ワトソン・ランチ
2014 シャルドネ ワトソン・ランチ
2018 ジンファンデル キルシェンマン・ヴィンヤード
2019 ジンファンデル キルシェンマン・ヴィンヤード
2017 トゥルソー
2021 トゥルソー-ピノ・ノワール
2013 ピノ・ノワール ピーター・マーティン・レイ サンタ・クルーズ・マウンテンズ
2014 ピノ・ノワール ピーター・マーティン・レイ サンタ・クルーズ・マウンテンズ
2013 ピノ・ノワール リーガン・ヴィンヤード サンタ・クルーズ・マウンテンズ
2014 ピノ・ノワール リーガン・ヴィンヤード サンタ・クルーズ・マウンテンズ
というラインアップ。同じワインのヴィンテージ違いなどを中心に味わいました。日本に輸入が始まったのが2015年ヴィンテージからなので、日本未輸入のものが大半です。



2013と2014の比較が3種類のワインでありました。一般的には2013年の方が暑い年となっていますが、ワインを飲んでみると意外と2013の方が酸がしっかりしていることもあります。収穫時期による影響もありそうですが、あまり細かい資料はないのでよくわかりません。
最初のロゼはトゥリガ・ナショナル100%というもの。花の香りがチャーミング。
シャルドネのワトソン・ランチはナパの最南部アメリカン・キャニオンにある畑。涼しいと言われるカーネロスよりも南東にあたり、かなり冷涼なところと想像できます。特に2013のシャルドネはレモンを絞ったようなキリッとした酸があり、個人的には非常に好印象でした。2014の方がややまったりとした味わいです。
ジンファンデルはローダイのキルシェンマン・ヴィンヤードのもの。この畑はターリー・ワイン・セラーズのワインメーカーであるティーガン・パサラクアが個人として所有している畑です。1915年植樹でカリニャン、サンソー、モンデュース・ノワールがフィールドブレンドで少量植わっています。2018も2019もおそらく95%くらいの人はジンファンデルとは思わないだろうというくらいのエレガントさ。その中でも2018は少し甘やかさがあって時間とともにじわじわジンファンデルらしさも出てきました。2019はややタンニンもありちょっとむずかしいワインという印象。
トゥルソーはアルノー・ロバーツの数あるワインの中でも人気の高いもの。2017年のトゥルソーは軽やかさと柔らかさを感じるワイン。こういうワインをどう表現したらいいのかはいまだによくわかっていませんが、アントニオ・ガッローニは「Dried cherry, wild flowers, rosewater, savory herbs」と書いていて、今から思うとなるほどなあという感じ。ワイルドフラワーとかローズウォーターとかテイスティング・コメントで使ったことなかったです。畑はレイク・カウンティの方にあるLuchsinger Vineyardだそうです。
2021年はトゥルソーとピノ・ノワールのブレンド(トゥルソーのみのものも作っているそうです)。よりチェリー感がましてチャーミングな味わい。ブラインドで品種を当てるのは無理でしょうね。あえていうなら、ヴァルディギエあたり?

最後はピノ・ノワール4本。ピーター・マーティン・レイ、リーガン(どちらもサンタ・クルーズ・マウンテンズ)の2013、2014という水平垂直です。サンタ・クルーズ・マウンテンズの中と言っても、畑の場所は結構違います。ピーター・マーティン・レイは名前の通り、伝説のワインメーカー「マーティン・レイ」が持っていた畑。マーティン・レイのワイナリーは現在マウント・エデンが引き継いでいますが、一部の畑を子孫が継いだようで、その畑です。場所もマウント・エデンの近くだと思いますが、サンタ・クルーズ・マウンテンズの中では一番サンフランシスコ・ベイよりのところ。おそらく山頂よりも内側なので、霧もあまりかからず、サンタ・クルーズ・マウンテンズの中では比較的温かいところだと思います。
一方、リーガンはサンタ・クルーズの街の東の方。こちらは太平洋からの霧がかなり早い時間からかかると思います。
ワインの味わいでもリーガンの方がやはりエレガント。ピーター・マーティン・レイの方が少しふくよかさがあります。特に2014年はよりまったりした印象。リーガンの冷たい感じはカリフォルニアのピノ・ノワールとしてはかなり稀でしょう。2013年のリーガンが一番好み。
アルノー・ロバーツのピノ・ノワールは意外とあまり飲んでことがなかったので、とても貴重な経験でした。

最後に料理の写真を上げておきます。お店はイルドコリンヌ。