シエラフットヒルズにあるデイビッド・ジラードというワイナリーが「おけいさん」という白ワインを作っています。
おけいさん
David Girard Vineyards

このワイン、その名の通り「おけいさん」という日本人にちなんで作られたもの。ではこのおけいさんとはどのような人物だったのでしょう。

長沢鼎が薩摩から英国に渡った3年後の1868年、戊辰戦争で敗れた会津から米国に移民として渡った人たちがいました。グループを率いていたのはジョン・ヘンリー・スネルという人。武器の商人として会津藩と関係を持ち、最後は平松武兵衛という名で軍事顧問まで勤めました。スネルには日本人の妻がおり、その子の乳母として渡ったのが当時弱冠17歳だった「おけい」でした。

彼らはエルドラド郡ゴールドヒルに入植し、「若松コロニー」と名をつけました。茶や絹を作ろうと奮闘しましたが、失敗し、スネルは資金調達のため日本に行くといったきり行方知らずに。グループもいつしか崩壊してしまいました。

おけいは、コロニーの土地を管理していた人に雇われましたが、翌年病気で亡くなりました。まだ19歳でした。同じように引き取られていた日本人が彼女の墓を作り、それが数十年後に「発見」されて、若松コロニーの悲劇も知られるようになったとのことです。

会津では『八重の桜』の八重さんと同じくらい知られた話だとのことですが、私は全然知りませんでした。

長沢鼎のように華々しい経歴ではありませんが、彼女のためにワインを作ってくれたのはありがたいですね。