前の記事で紹介した「ナパヴァレーの今」のイベントの翌日、今度はナパのワイナリー「ケール(Kale)」の生産者ディナーに参加しました。

創設者でオーナーのケール・アンダーソンはパルメイヤーでワインメーカーをしていたときに若くして「パーカー100点」のワインを作った才人。ケールでは、カベルネ・ソーヴィニヨンではなく、ローヌ系品種をメインに据えてワイン造りをしています。

4月のナパツアーではケールとの生産者ディナーがあり、そのワインに魅せられた人が続出。今回はその一人である八島さんのお店「焼きとりの八兵衛」六本木店でのディナーとなりました。私は残念ながらナパでは別グループだったのでケールのワインは今回が初めてです。


さらに、今回のディナーはケールのワイン+八兵衛の料理のペアリングに加えて、ナパヴァレー・ヴィントナーズ日本代表の小枝絵麻さんによる「ブリッジ食材」を使った一工夫が入っています。

最初のワインは2021 Kale Rose McGah Vineyard。これにゴマカンパチ。そしてブリッジ食材としてスイカと香味野菜を合わせます。ここでスイカを持ってくるという発想がすごいです。



McGahヴィンヤードはナパのラザフォードの畑。McGahファミリーは「スカーレット」というワイナリーもやっており、秀逸なワインを作っています。ケールはこの畑で0.5エーカーだけグルナッシュを作ってもらっており、それを使ったロゼです。カベルネ・ソーヴィニヨンだったら1本100ドルは軽く超えるようなワインができる場所での贅沢なワイン。ロゼはプレスする数時間だけスキンコンタクトして作っています。赤ワインを濃くするために途中で果汁を抜き取る「セニエ」ではなくロゼのためだけに作っていると強調していました。フレッシュな味わいでピーチやオレンジの風味。この有核果実的な風味がブリッジ食材のスイカによく合いました。

次はA-18ヴィンヤードという畑のシャルドネ2020年。アトラスピークの畑で以前はパルメイヤーがシャルドネに使っていたところですが、パルメイヤーの契約がなくなってケールで使えるようになったとのこと。ナパらしいリッチさときれいな酸があります。料理は手羽塩+レモン風味のからし味噌と、えんどう豆の串揚げ+スパイシーレモンマーマレード。ブリッジ食材はどちらもレモン風味ですが酸を利かしすぎるのではなく味噌やマーマレードといったまろやかな食材と混ぜているところがワインとの相性を引き立てます。



次は2017年のシラー「ハイド・ヴィンヤード」。畑には少量のヴィオニエも植えられていて混醸しているとのこと。料理は椎茸にピンクペッパーとイチゴ風味のゆかり、ラムチョップにチェリと赤しそのチャツネ。
シラーは冷涼なカーネロスのものだけあって、ナパのシラーとしてはとても酸が豊か。スパイスの風味もしっかりとあり、北ローヌ系の味わいです。うまい。

そして、まあこのラムチョップが絶品なのですよ。10本くらい食べたかった(笑)。美味しすぎてペアリングのことを忘れていました。




次のワインは2016年のケール「ヘリテージ」McGahヴィンヤード。グルナッシュ・メインのローヌ系ブレンドです。畑は前述のMcGah。料理は和牛串タレ+ほうじ茶と黒ごまのデュッカ、やきおにぎり+カリフォルニアポイントレーのチーズ。


ワインはハイドのシラーの硬質さと比べると柔らかさがありますが、赤果実ときれいな酸でバランスよく仕上がっています。そして焼きおにぎりも激うま。5個くらい食べたかった(笑)。



最後はアトラス・ピークの銘醸畑「ステージコーチ」のブドウを使ったシラーです。ローヌ系の赤が3つ続く中で。これが一番リッチな味わい。料理は「和牛すき焼き+黒七味」と「フォンダンショコラ+味噌、醤油、参照」で、ワインのリッチさとスパイシーさに合わせているのがわかります。


和牛すき焼き。食べなくても美味しいのわかりますね。食べたらもっと美味しいです。


フォンダンショコラ。

今回はケール・アンダーソン本人は残念ながら来日しなかったのですが、パートナーのトレイ・エップライトが参加して、テーブルを回ってワインの解説もしてくれました。ホスピタリティも素晴らしい。


最後の方はだいぶ酔っ払って記憶も怪しいですが、むちゃくちゃ楽しんでいたのは確かです。