ソノマのエレガンス、フリーマンのワインを堪能
ソノマの冷涼なグリーン・ヴァレーやソノマ・コーストなどのシャルドネやピノ・ノワールを作るフリーマン。その共同オーナーでありワインメーカーでもあるアキコさんが来日、新製品を含むワインを飲みながら、日本食を味わう機会を得ました。
場所は広尾の「こうもと」というお蕎麦やさん。場所も、店の構えも隠れ家という言葉がぴったりくるような店です。
最初のワインは「涼風」シャルドネ2017。ちょうど日本に届いたばかりのワインです。フリーマンが作る唯一の白ワインで、2013年のものがオバマ大統領時代に安倍首相を招いた公式晩餐会で使われたことでも知られています。ハインツ・ランチのブドウが35%、KRランチ(旧キーファー・ランチ)が28%のほか、リンマーが26%とサービー(Searby)が11%となっています。サービーはチャーリー・ハインツが栽培している畑です。
樽発酵、樽熟成で新樽率は10%。
名前の通り、余韻の長い酸があり、とても冷涼感のあるシャルドネ。「きれい」という言葉が似合います。白い花の香り、パイナップル、洋梨の風味。トロピカルフルーツの味わいはごくわずかで上品さを保っています。
次のワインはソノマ・コースト ピノ・ノワール2016。このヴィンテージから自社畑ユーキのブドウが半分使われています。後はペタルマギャップのケラー・エステート。キャンベル・ランチは故ユリシス・ヴァルデスが栽培していた畑だとのこと。
オープントップの容器で5日間低温浸漬。フリーランとプレスの果汁を分けて発酵。熟成は28%新樽で11ヶ月。
バランスの取れたワイン。ややダークなフルーツとスパイス感があります。酸もきれい。
合わせた料理は前八寸で、とうもろこしすり流し、おぼろ豆腐雲丹わさび餡かけ、だし巻き天ぷら、鱧焼き霜造り梅肉醤油。前2つはシャルドネ、後ろ2つはピノ・ノワールに合わせて。和食のデリケートさを壊さないきれいさがワインにあるので、いい感じに料理と味わえました。
3つめのワインはロシアン・リバー・ヴァレー ピノ・ノワール2016。フリーマンのラインアップの中で一番チャーミングなワインで、このワインを嫌いという人はいない、とアキコさん。「このワインを嫌いという人はいない」というのはアキコさんの師匠であるエド・カーツマンのワインを飲むときにいつも私が感じていたことで、図らずも同じセリフがアキコさんから聞かれたのが面白かったです。
とはいえアキコさんのワインはエド・カーツマンと比べて、もっとエレガントで旨味を強く感じるタイプ。より日本人の口には合っているかもしれません。 ダーク・チェリーの風味がロシアン・リバー・ヴァレーらしい感じです。 フリーマンのワインの入門にもいいワインだと思います。
ロシアン・リバー・ヴァレーの畑は36%が自社のグロリア、23%がプラット、17%がKRランチと4分の3は単一畑で使ってもおかしくないような畑です。ワイン造りはソノマ・コーストと同様です。
料理は鮎の塩焼き。ワタの苦味とピノ・ノワールは素晴らしい組み合わせの一つです。
次は自社の単一畑のワインが2つ。グロリア・エステート2016とユーキ・エステートです。
グロリア・エステートは前述のようにロシアン・リバー・ヴァレーのAVA。2012年から単一畑でボトリングしています。UCデーヴィス系のクローンではなく、スワンやカレラなどのクローンを使用。かなりの急斜面で斜面の向きもさまざまだとのこと。
ロシアン・リバー・ヴァレーのワインと比べて、オレンジの風味や赤系の果実味がしっかりしており、旨味もより強く感じられます。
もう一つの単一畑はアキコさんの甥から名前を取ったユーキ・エステート。グロリアよりも海に近いところにあり、非常に冷涼な畑です。AVAもロシアン・リバー・ヴァレーではなくソノマ・コーストになります。グロリアと比べると最高気温で10℃、最低気温で5℃ほども違うとのこと。涼しいところなので収量が安定するUCデーヴィス系のディジョン・クローンを主に使っています。グロリア以上に斜面がきつく最大斜度は20度ほどもあるとのこと。2010年に急斜面の畑の開発は禁止されたので、今からは作れない畑だそうです。
また、ここは涼しく熟成も遅いため収穫も最後になります。フリーマンでは醸造用のタンクを使い回す必要があることから、基本的には培養酵母を使うことが多いのですが、このワインだけは最後なので天然酵母で時間をかけて発酵させているとのことです。また、ここは完全に除梗しますが、後から梗だけ足すこともあるそうです。
果実味よりも出汁系の旨味の味わいが印象的なワイン。酸がきれいで、非常にエレガント。試飲会で試飲したときには、やや複雑味が足りないかと思ったのですが、時間がたったせいもあるのか非常にいい感じのバランスに仕上がってきています。
2本の単一畑に合わせた料理は合鴨のロースと、うなぎの押し寿司。鴨とピノ・ノワールも鉄板の組み合わせ。うなぎもおいしいです。
最後のワインはピノ・ノワール アキコズ・キュベ2015。これはフリーマンのピノ・ノワールの中から一番いいと思うブレンドをアキコさんやエド・カーツマンなどが作り、その中からベストのものを選んで作るキュベ。これまで毎年アキコさんのものが選ばれていますが、エドさんのが選ばれることがあったら「エドズ・キュベ」になるはずです。
とにかく香りが素晴らしいワイン。複雑さもバランスもいい。単一畑の2種を飲んで素晴らしいと思いましたが、アキコズ・キュベを飲んだらやっぱりこちらが上だと感じます。
料理は手打ちそばに飛騨牛の花山椒佃煮。山椒とピノ・ノワールもすごくよく合う組み合わせなので、おいしくないはずがないです。
フリーマンのワイン、日本に輸出されているのは生産量の3%程度。半分はメーリング・リストで残りの大半はレストランに入っているそうです。米国にもしっかりと根を下ろしています。
フリーマンのワインはどれもレベルが高く、エドさん譲りの親しみやすさとアキコさんならではの気品を併せ持っています。このレベルのワインが日本人の手によって作り出されているというのは、同じ日本人として誇らしく思いますし、もっと日本の多くの人にも飲んでほしいワインだと思います。
場所は広尾の「こうもと」というお蕎麦やさん。場所も、店の構えも隠れ家という言葉がぴったりくるような店です。
最初のワインは「涼風」シャルドネ2017。ちょうど日本に届いたばかりのワインです。フリーマンが作る唯一の白ワインで、2013年のものがオバマ大統領時代に安倍首相を招いた公式晩餐会で使われたことでも知られています。ハインツ・ランチのブドウが35%、KRランチ(旧キーファー・ランチ)が28%のほか、リンマーが26%とサービー(Searby)が11%となっています。サービーはチャーリー・ハインツが栽培している畑です。
樽発酵、樽熟成で新樽率は10%。
名前の通り、余韻の長い酸があり、とても冷涼感のあるシャルドネ。「きれい」という言葉が似合います。白い花の香り、パイナップル、洋梨の風味。トロピカルフルーツの味わいはごくわずかで上品さを保っています。
次のワインはソノマ・コースト ピノ・ノワール2016。このヴィンテージから自社畑ユーキのブドウが半分使われています。後はペタルマギャップのケラー・エステート。キャンベル・ランチは故ユリシス・ヴァルデスが栽培していた畑だとのこと。
オープントップの容器で5日間低温浸漬。フリーランとプレスの果汁を分けて発酵。熟成は28%新樽で11ヶ月。
バランスの取れたワイン。ややダークなフルーツとスパイス感があります。酸もきれい。
合わせた料理は前八寸で、とうもろこしすり流し、おぼろ豆腐雲丹わさび餡かけ、だし巻き天ぷら、鱧焼き霜造り梅肉醤油。前2つはシャルドネ、後ろ2つはピノ・ノワールに合わせて。和食のデリケートさを壊さないきれいさがワインにあるので、いい感じに料理と味わえました。
3つめのワインはロシアン・リバー・ヴァレー ピノ・ノワール2016。フリーマンのラインアップの中で一番チャーミングなワインで、このワインを嫌いという人はいない、とアキコさん。「このワインを嫌いという人はいない」というのはアキコさんの師匠であるエド・カーツマンのワインを飲むときにいつも私が感じていたことで、図らずも同じセリフがアキコさんから聞かれたのが面白かったです。
とはいえアキコさんのワインはエド・カーツマンと比べて、もっとエレガントで旨味を強く感じるタイプ。より日本人の口には合っているかもしれません。 ダーク・チェリーの風味がロシアン・リバー・ヴァレーらしい感じです。 フリーマンのワインの入門にもいいワインだと思います。
ロシアン・リバー・ヴァレーの畑は36%が自社のグロリア、23%がプラット、17%がKRランチと4分の3は単一畑で使ってもおかしくないような畑です。ワイン造りはソノマ・コーストと同様です。
料理は鮎の塩焼き。ワタの苦味とピノ・ノワールは素晴らしい組み合わせの一つです。
次は自社の単一畑のワインが2つ。グロリア・エステート2016とユーキ・エステートです。
グロリア・エステートは前述のようにロシアン・リバー・ヴァレーのAVA。2012年から単一畑でボトリングしています。UCデーヴィス系のクローンではなく、スワンやカレラなどのクローンを使用。かなりの急斜面で斜面の向きもさまざまだとのこと。
ロシアン・リバー・ヴァレーのワインと比べて、オレンジの風味や赤系の果実味がしっかりしており、旨味もより強く感じられます。
もう一つの単一畑はアキコさんの甥から名前を取ったユーキ・エステート。グロリアよりも海に近いところにあり、非常に冷涼な畑です。AVAもロシアン・リバー・ヴァレーではなくソノマ・コーストになります。グロリアと比べると最高気温で10℃、最低気温で5℃ほども違うとのこと。涼しいところなので収量が安定するUCデーヴィス系のディジョン・クローンを主に使っています。グロリア以上に斜面がきつく最大斜度は20度ほどもあるとのこと。2010年に急斜面の畑の開発は禁止されたので、今からは作れない畑だそうです。
また、ここは涼しく熟成も遅いため収穫も最後になります。フリーマンでは醸造用のタンクを使い回す必要があることから、基本的には培養酵母を使うことが多いのですが、このワインだけは最後なので天然酵母で時間をかけて発酵させているとのことです。また、ここは完全に除梗しますが、後から梗だけ足すこともあるそうです。
果実味よりも出汁系の旨味の味わいが印象的なワイン。酸がきれいで、非常にエレガント。試飲会で試飲したときには、やや複雑味が足りないかと思ったのですが、時間がたったせいもあるのか非常にいい感じのバランスに仕上がってきています。
2本の単一畑に合わせた料理は合鴨のロースと、うなぎの押し寿司。鴨とピノ・ノワールも鉄板の組み合わせ。うなぎもおいしいです。
最後のワインはピノ・ノワール アキコズ・キュベ2015。これはフリーマンのピノ・ノワールの中から一番いいと思うブレンドをアキコさんやエド・カーツマンなどが作り、その中からベストのものを選んで作るキュベ。これまで毎年アキコさんのものが選ばれていますが、エドさんのが選ばれることがあったら「エドズ・キュベ」になるはずです。
とにかく香りが素晴らしいワイン。複雑さもバランスもいい。単一畑の2種を飲んで素晴らしいと思いましたが、アキコズ・キュベを飲んだらやっぱりこちらが上だと感じます。
料理は手打ちそばに飛騨牛の花山椒佃煮。山椒とピノ・ノワールもすごくよく合う組み合わせなので、おいしくないはずがないです。
フリーマンのワイン、日本に輸出されているのは生産量の3%程度。半分はメーリング・リストで残りの大半はレストランに入っているそうです。米国にもしっかりと根を下ろしています。
フリーマンのワインはどれもレベルが高く、エドさん譲りの親しみやすさとアキコさんならではの気品を併せ持っています。このレベルのワインが日本人の手によって作り出されているというのは、同じ日本人として誇らしく思いますし、もっと日本の多くの人にも飲んでほしいワインだと思います。