2021年もあとわずかになりました。久々に年末のまとめをしてみたいと思います。本サイトが選んだカリフォルニアワインの10大トピックです。

10 有名人効果
カトゥーンが今年出した曲が「Roar」でRoarのワインが一時品薄になりました。ワインファンでない人にとっては相当高額なワインだと思いますが、ありがたいことです。また、世界的大人気のBTSの新曲は「Butter」。ロゴ?デザインがジャム・セラーズの「Butter」とそっくりで、これも結構売れたとか。このほか、メンタリストのDaiGoさんが失言で活動自粛する前にYouTubeで「Aril」のワインをべた褒めして、これも一時品薄になったようです。有名人効果といえば明石家さんまさんによる「ナパ・ハイランズ」の爆売れなどもありましたし、すっかり定着したYOSHIKIさんのワインもあり、市場拡大には相当な貢献があると思います。

9 Wine Advocate編集長交代
ロバート・パーカーの後を次いで編集長をつとめてきたリサ・ペロッティ・ブラウンが辞任しました。3代目の編集長はこれまでカリフォルニアの担当をしてきた人ではないので、これからレビューにどう影響が出るのか気になるところです。そもそも、ワインのレビューをするメディアもかなり増えましたし、消費者がそれらの点を気にしなくなってきたということもあります。再編の始まりになるのかもしれません。そういえばVinousではステファン・タンザーが「名誉評論家」になり、一線から引退するということもありました。

8 買収
2021年はびっくりするような大きな買収はなかったですが、先日のシャトー・セント・ジーンの買収など、いくつか動きがありました。コロナの影響で、というものは今のところ目立ってはいませんが、2022年にもいろいろ再編が起こりそうです。

7 スラムダンク
今年一躍大人気のワインになったのが「スラムダンク」。2000円台という価格とわかりやすい美味しさ、オレンジ色の目立つラベル、バスケットボールファンでなくてもすぐに覚えられる名前、とヒットする要素がたくさんありました。2000円台の高品質レッドブレンドというのは一つのジャンルになってきそうです。

6 限定格安品
「訳あり」で国内に格安で入ってきたワインも目立ちました。代表格は「セニス」。ヴェリテのピエール・セイヤンの娘が作っていたワインですが、ヴェリテのアシスタント・ワインメーカーになるためにブランドを終了、日本に格安で入荷してきました。味わいも本格的で美味しく、私も何本か購入しました。もう一つ、コロナの影響でセカンドラベルにファーストのワインを入れてしまったというのはフープラ2018。これも素晴らしいコスパです。この2つはあまりにもコスパが良すぎて、これが普通だと思われるとこれからきついなあと思わなくもないところです。

5 干ばつ
カリフォルニアで2021年のトピックといえば2016年以来の干ばつでしょう。過去最悪というレベルにまでなり、ソノマでは収穫をあきらめた畑もありました。ただ、懸念された乾燥による山火事はさほどなく、火事の被害という点ではここ数年で比較的少なく済んだ年でもありました。また、乾燥のため収量はどこも減っていますが、クオリティは高いと言われています。

4 コンテナゲドン
日本のインポーターにとってはおそらくこれが最大の問題でしょう。コロナの影響によるコンテナの「目詰まり」でワイン(に限らず世界中の様々な流通に影響しています)が日本に届かないという問題に悩まされています。港湾の労働力の問題が重要なのかと思っていましたが、先日書いたように実はコンテナの大半は空のまま米国から中国に行っているということで、このあたり効率的な配送ができるようにならないと、問題はなかなか解決できないと思います。

3 スティーブン・スパリュア
「パリスの審判」から45年の今年、スティーブン・スパリュアが亡くなりました。カリフォルニアワインにとっての功績はもちろんのこと、人格者として慕われた方でした。

2 カリフォルニアワインの資格
期せずしてナパ・ヴァレー・ヴィントナーズとカリフォルニアワイン協会が同時期にワインの資格試験を始めました。ただ、ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの方は日本ソムリエ協会と組んだ日本独自のもの、カリフォルニアワイン協会は世界共通のプログラムと、内容は結構異なっています。これでカリフォルニアワインの勉強に取り組む人が増えるといいですね。

1 ジム・クレンデネン逝去
親日家としても知られたジム・クレンデネンが亡くなりました。サンタ・バーバラのワインの普及への貢献は極めて大きく、またその人柄で皆に愛された方でした。娘のイザベルさんは既にオー・ボン・クリマで働いており、日本の大学に通っているノックス君も卒業後はオー・ボン・クリマを継いでいく予定です。