95年前に1927年に米国に寄贈された甲州を、ナパやオレゴン、そして日本でもワインに育てようというプロジェクトが進行しています。

これはインポーター「Sun Bridge」の鬼崎徳朗さんが米国に留学中だった2006年に始めたプロジェクトで、ようやく今年ワインとして醸造される見込みになっています。

このブドウは現・宮崎大学のある教授が1927年に個人的に米国に寄贈したもので、UCデーヴィスで保管されていました。それを鬼崎さんが見つけたものの、苗木がウイルスに侵されており、ウイルスを除去して培養し、少しずつ増やしていっています。ウイルスを除去するには、春にブドウが芽吹いたら、ウイルスに侵されるまえにそれを取り、培養液で培養するといった、かなり地道な作業で、今年はやっと7000本の穂木を収穫できました。

米国ではナパに「Napa Koshu LLC.」を設立して、Mount Veeder、Rutherford、Hope Valleyに植樹しました。2022年にはようやく植樹もできる本数になってきました。

鬼崎さんは、さらにこの甲州を日本に持ち帰り、日本でもこのクローンを使って甲州を育て、ワインにしていく計画(上の写真)。また、米国ではナパ以外にオレゴン州でも栽培する予定です。

甲州は、現在は山梨県以外ではほとんど栽培されていません。これを打ち破ることも鬼崎さんの目的の一つです。ナパやオレゴンといった、山梨と大きく異なる栽培環境で甲州種がどういうワインになるのか、非常に楽しみです。