カベルネ・フラン好きを自称しており、ナパのカベルネ・フランだけのセミナーを開催したこともあるアンディです。(「ナパのカベルネ・フラン、その魅力と実力は?」で紹介しています)

カベルネ・フランのブームをより広く捉えた記事があったので内容を紹介します(Cabernet Franc: Red-Hot Red | Wine-Searcher News & Features)。

まずカベルネ・フランの畑の面積ですが、カリフォルニアでは2014年の2852エーカーから2022年の3414エーカーへと2割近く増加しています。オレゴンでは2011年の120エーカーから2022年の344エーカーと3倍近くにもなっています。また、米国内ではニューヨーク州とヴァージニア州で一番多く植えられている赤ワイン用品種となっています。

もっと増えているのはアルゼンチンで1990年の188エーカーから2021年の3877エーカーと30年で20倍にも増加しています。カリフォルニアよりも多くなっているのはちょっと驚きました。

また、カリフォルニアではカベルネ・フランは最も販売価格の高いブドウになっています。ワシントン州でも2021年は3位だったのが、1位になっています。

ワイナリーにおける販売も伸びています。消費者に直接販売するDtC(Direct to Consumer)の分野では2023年上期の数字が前年より販売額で87.3%、販売量は56.9%伸びています。順位も16位から7位に上がりました。

ナパで1996年からカベルネ・フランを軸に据えているラング&リードでは過去18カ月で販売額が25%増加しています。

リバモアにあるスティーブン・ケント・ワイナリーはCabFranc-a-Paloozaというカベルネ・フランのイベントを始めました。イベントの参加者は2021年の150人から2022年は600人に増えました。またワイナリーでは5種類のカベルネ・フランを作っており、過去2年は倍倍で増えています。一番の問題は需要に対して供給が全く追いついていないことだとしています。ちなみにパソ・ロブレスでも「カベルネ・フラン・デー」が行われているとのことです。

オンラインでレアワインを販売しているベンチマーク・ワイン・グループのデヴィッド・パーカーCEOも供給が需要を上回っているといいます。また、ロワールのカベルネ・フランがクラシックな味わいを続けているのに対して、米国のカベルネ・フランを求める人は違ったスタイルを好んでいるといいます。

ニューヨークのドクター・コンスタンティン・フランクのミーガン・フランクは、ピーマン香をもたらすメトキシピラジンは、ワインのスタイルとして敢えて入れるのでなければ減らすかなくすかしないといけないとしています。栽培の工夫でフィンガー・レイクスでもよりよりカベルネ・フランが作られるようになっているとのことです。

若い世代がカベルネ・フランを好んでいるという話もあります。彼らは親世代が子供の頃から飲んできたカベルネ・ソーヴィニヨンには興味がなく、違うものとしてフランへの興味を持っているそうです。

間違いなくカベルネ・フランへの注目は今後も続きそうです。ちなみにアルゼンチンでは20ドルのカベルネ・フランもあるそうで、高価格が敷居の高さにつながっている日本の現状では、そういったものが輸入されるのも期待したいところです。