バルクワインといえば安くておいしくないワインの代名詞のように捉えられていますが,バルクワインを使って20ドルを超える「高級」ワイン市場に入っていく人もいます。

その代表の一つが数年前に話題を呼んだWhispering Dove。Screaming Eagleから買ったワインで作ったという噂が流れ,30ドルのワインがあっという間になくなりました。

この記事で紹介するWaterstoneもワインの購入先は明かしませんが,バルクワインだけで作られています。2001年のCabernetはParkerが89点を付けていますから25ドルのワインとしてはなかなかのもの。Jancis Robinsonも,このワインがこの値段であるのは奇跡的と言っています。
"But you won't find a Waterstone winery in Napa Valley or anywhere else. It's not a winery in any traditional sense. Unlike most of the appellation-specific California wines you find at this price point, what's inside this bottle is bulk wine."

Say hello to Forty Buck Chuck - Los Angeles Times

さて,元記事によると,バルクワインの市場というのは意外に大きいということが分かります。例えばShafer Vineyardsの場合,瓶詰めするワインの15%増しのワインを通常作るそうです。Shaferの生産量が3万4000ケースですから,ざっと5000ケース分のワインが余る計算です。豊作だった2005年にいたっては30%増しとのことで1万ケースが余剰分として他のワイナリに売却されます。Waterstoneはこういったワインを使っているわけです。

「10ドルを超えるワインは,“ストーリー”がないと売れない」と言われる中,このワインがどのように売られるのか興味深いところです。

なお,日本国内ではヴィノスやまざきで取り扱っているようです。