インポーターWine to Styleが、ニュー・カリフォルニアに絞った試飲会を開催しました。そこから良かったワインを報告します。

ニュー・カリフォルニアっていったい何? という人もいると思うので簡単に解説します。ニュー・カリフォルニアとは2013年に当時SFクロニクル紙のワイン担当だったジョン・ボネが書いた「New California Wine」という本に端を発するワインのスタイルです。これより数年前にIPOB(In Pursuit of Balance)という団体で、濃厚でアルコール度数の高いカリフォルニアワインへのアンチテーゼとして、エレガントでアルコール度数が低く、食事に合わせやすいワインを造るという運動が起こっており、ニュー・カリフォルニアはその流れを汲むものでした。テロワールを重視し、濃厚さや味わいの強さよりもバランスの良さを求めるスタイル。また、ヴァルディギエやトゥルソーなど、マイナーな品種やごく少量作られている古い畑のブドウなどに取り組む生産者、いわゆる自然派的なワイン造りをする生産者などが含まれます。

Wine to Styleは以前からニュー・カリフォルニア系の生産者のワインを積極的に輸入しており、今回は久しぶりにニュー・カリフォルニアに限定した試飲会となりました。

参考:以前4社で行った試飲会の記事はこちら
ニュー・カリフォルニア試飲会でおいしかったワイン(前編)
ニュー・カリフォルニア試飲会でおいしかったワイン(後編)


フェイラは、以前ターリーのワインメーカーだったエーレン・ジョーダンのワイナリー。ターリーがむちゃくちゃ濃厚だった時代のワインメーカーですが、自身のワイナリーではバランスを重視したワインを造っています。このソノマ・コーストのピノ・ノワール2023(6800円)とDayブランドのジンファンデル2022(5300円)はコスト・パフォーマンス抜群。どちらもきれいな味わいです。


タトーマーはリースリングの名手として知られるワイナリーですが、サンタ・バーバラのピノ・ノワール2021(5900円)とサンタ・リタ・ヒルズのクステンニーベルピノ・ノワール2022(6800円)を紹介します。サンタ・バーバラはとてもエレガント、サンタ・リタ・ヒルズはうまみがあり、柔らかなテクスチャーのワインです。


サンディはオレゴンのイヴニングランドやサンタ・バーバラのドメーヌ・ド・ラ・コートを持つラジャ・パーとサシ・ムーアマンがもう一つサンタ・バーバラで営むワイナリー。ドメーヌ・ド・ラ・コートが自社畑なのに対し、サンディは買いブドウでコスパの高さが光ります。シャルドネ・セントラル・コースト2021(4900円)は酸高く、複雑さもあり、コスト・パフォーマンス抜群。


ロマンスは、上記のサンディのワインですが、これだけラベルが大きく異なっています。畑はドメーヌ・ド・ラ・コートのもので、自社畑みたいなものというちょっと変わった位置付けのワインです。ロマンス・ピノ・ノワール2021(18000円)は非常に高いレベルでバランスの取れたワイン。酸もきれいでうまみもあります。素晴らしい。


マヤカマスはクラシックな造りで知られる老舗ワイナリー。クラシックな造りがニュー・カリフォルニアに分類されるのも面白いです。シャルドネ2022(1万3000円)は、ほどよい樽感も魅力です。


センティアムは、ロバート・モンダヴィの次男でナパのプレミアムワイン「コンティニュアム」を作るティム・モンダヴィの次女キアラが作るソーヴィニヨンブランのワイナリー。ブドウはメンドシーノから調達しています。16000円は、カリフォルニアのソーヴィニヨンブランの中でもかなり高価ですが、のびやかな酸ときれいな果実味や複雑さが非常に魅力的。高級ソーヴィニヨンブランとして十分なクオリティを持っています。ヴィンテージは2023年。


もはや、カリフォルニアのエレガント系ピノ・ノワールのトップを走るといっても過言ではないほど高い評価を受けているのが、レイン(Raen)。上記のキアラの兄弟であるカルロとダンテがソノマ・コーストで作っています。全房発酵にこだわりを持っているのも特徴。ロイヤル・セント・ロバート2023(16000円)は、こくと奥行きが素晴らしいワイン。

以下は後編で。