クリスマス企画第2弾としてカリフォルニアのカベルネ・ソヴィニョンやそのブレンドのワインを紹介します。クリスマス向けということで普段飲まないような高級ワインを中心に説明していきます。

世界のワイン界においてカリフォルニアワインの地位が大きく上がったきっかけになったのが1976年の「パリ・テイスティング」でした。このときに赤ワインで対決したのがボルドーの赤とナパのカベルネでした。それ以来,カリフォルニアを代表する赤ワイン品種といえばカベルネであり,特に産地として名高いナパではカベルネが代表的な品種になっています。

例えば,ロバート・パーカーのWine Advocate誌で100点を取っている米国の赤ワインは37本(注:98-100など幅があるものは一般には100点とみなさないことになっています。日本のショップではそれも100点として書いていることがあるのでちょっと注意が必要です)。そのうち10本がSyrah系であとの27本はカベルネ・ソヴィニョンやそのブレンド。さらにそのうちワシントン州のQuilceda Creekが4本あるのとVerite La Joieを除いた22本はナパ産です。

ワイナリ名で挙げるとAbreu(2本),Bryant Family(1本),Colgin(3本),Dalla Valle(1本),Dana Estates(1本),Harlan Estate(4本),Kapcsandy Family(1本),Paul Hobbs(1本),Scarecrow(1本),Scrader Cellars(4本),Screaming Eagle(1本),Shafer(1本),Sloan(1本)。

1990年代末に「カルトワイン」として,少量生産の一部の高級ワインが高得点を取って市場価格が急騰したことがありましたが,Bryant,Colgin,Dalla Valle,Harlan,Screaming Eagleといったところがいわゆる「カルト」銘柄で,パーカー100点リストと共通していることがよく分かると思います。

「カルト」の中でも価格が高いのはScreaming Eagle。今でも10万円台半ばから20万円くらいで流通しています。その次がHarlan。Harlan EstateのBill Harlanは2000年ころからBondというワイナリもやっており,そちらもかなり高く評価されています。BryantはワインメーカーだったHelen Turleyを解雇して裁判沙汰になったあたりからちょっと名を落とし,Dalla Valleも2000年以降植え替えなどで一時質が落ちたと言われていますがまた復活傾向にあります。



注目はColginで3本の100点ワインを出していますが,これはHarlanとSchraderの4本に次ぐ物。さらに面白いのはColginのオーナーであるAnn ColginとSchrader CellarsのFred Schraderはかつては夫婦だったこと。Colginは100点銘柄の中では比較的安価に入手できます。2006,2007年のColgin IX Proprietary Red(IXにはシラーもあるので注意)はどちらも100点ワインです。


●[RP100点] コルギン レッドワイン "IX・エステート" ナパヴァレー 2007 (正規品) @ 柳屋



残りの「100点」銘柄の中でDanaやKapcsandy(キャプサンディ),Scarecrow,Sloanといったあたりは2000年を過ぎてから名前が出てきたワイナリで,「次のカルト」などと言われていますが,そのあたりに手を出すよりは,既に実績を持つところ,例えばAbreu(エイブリュー)やShaferなどの方が賢明な感じがします。

「カルト」と実力では劣らない,それらの銘柄としてはAbreuのCabernet Sauvignon ThorevilosやMadrona Ranch,ShaferのHillside Select,Araujo(アラウホ)のEstate Cabernet Sauvignonあたりを覚えておきましょう。とくにShaferのHillside Selectは国内の価格が米国より安いことがあるので,狙い目です。


最後に,これも比較的長期間一定品質以上のワインを作ってきたところがあります。例えば有名なOpus Oneなどもその一つ。パーカー100点といった派手な結果は残していませんが,その代わり値段も比較的安めで,普通に考えたら十分以上においしいワインです。Opus Oneは2000年代半ばまではコスト・パフォーマンスが悪いワインの代表格でしたが,質の向上と価格低下によって,今ではいいワインに戻っていると思います。こういったすばらしいカベルネを長らく作っている例としてはJoseph PhelpsのInsigniaやRidgeのMonte Bello(これはナパではありません),Ch MontelanaのEstate,SpottswoodeのEstate,DominusのEstateなどがあります。

各ワイナリの特徴を簡単に説明するとOpus Oneはフランスのムートンとナパのモンダヴィの合弁でできたワイナリ。現在はモンダヴィの手を離れています。Joseph Phelps InsigniaはWine Spectator誌のWine of the Yearを取ったこともあるすばらしいワイン。誰が言い出したか不明ですが「玄人のOpus One」などという呼び方もありました。RidgeのMonte Belloはパリ・テイスティング30年を記念する試飲会でトップを取ったワイン,Montelenaはカリストガの名門。Spottswoodeはパーカーが「ナパのマルゴー」と呼ぶ気品あるワイナリ。女性ワインメーカーの先駆けとも言われています。最後のDominusはペトリュスのムエックス家がナパで作るワイン。90年代後期に一時味を落とした時期がありましたが,最近は高評価のわりに値段が安く流通しています。


ほかにもいいカベルネは山ほどありますが,まずはこのあたりを覚えておきましょう。