カリフォルニアには3000近くのワイナリがありますが,スパークリング・ワインを作っているところとなると,おそらく20とか30とかくらいしかないのではないでしょうか。スパークリング・ワインの消費はカリフォルニアの4.6%と,まだまだ少ないのですが,それにしてもワイナリ数が比例するとしたら100以上はあってしかるべきだし,2010年の消費は前年より10%も増えているなど,伸びているカテゴリーでもあります。ワインライターのW. Blake Gray氏は,その理由が税金ではないかと述べています(The Gray Report: Why aren't there more sparkling wine producers? Taxes. )。

スチル・ワインの場合,アルコール度数が14.0%未満だと1ガロン当たり1.07米ドルの税金(1本当たり21セントくらい)かかり,14.0%以上だと1.57米ドル。これがスパークリング・ワインだと3.40米ドルと倍以上に上がってしまいます。

さらに年間生産量が25万ガロン(約10万ケース)未満の小規模ワイナリの場合,スチル・ワインでは1ガロン当たり90セントの控除が受けられるのに,スパークリングではこれがありません。したがって,この場合1ガロン当たりの税金はそれぞれ0.17ドル,0.67ドル,3.40ドルと,スパークリング・ワインは5倍あるいは20倍もの税金を課せられてしまうのです。

Gray氏は,このような高い税金は,禁酒法が解けたあと,高いシャンパーニュを飲む富裕層に向けて課さられたのではないかとしています。

理由はどうあれ,この高い税金がカリフォルニアでスパークリング・ワインを作るときの障壁の一つであることは確かなようです。近年ではオレゴンのArgyle,ワシントンのChateau Ste. Michelle,ニュー・メキシコのGruetなどカリフォルニア外で良いスパークリング・ワインが生まれる傾向もでてきています。

定番の生産者が高品質なワインを変わらずに作ってくれているのはもちろんいいことですが,新しい生産者が増えることでの分野の活性化というのは見逃せないところ。税金が変われば状況も変わるのであれば,ぜひそうあってほしいと思います。