カリフォルニアで今一番注目されているワイナリのグループがIPOB(In Pursuit of Balance)です。その名の通り、バランスの取れたワインを作るワイナリの集まりで、年に2回サンフランシスコとニューヨークで試飲会を開催しています。表舞台に登場したのは2013年からといっていいほど新しい団体ですが、SFクロニクルのワイン担当Jon Bonne氏の後ろ盾もあり、その動きに皆が注目するようになってきました。

IPOBは「バランス」という、地域や品種で括った従来のワイナリ団体とは大きく異るくくり方をしています。その成り立ちやどうやってそれを評価しているのか、など不思議な点もいろいろあります。

先週、創設者のラジャ・パー(Rajat Parr)氏が来日し、IPOBについて説明しました。合わせてIPOBのワインとして、自身のSandhiおよびDomaine de la Côteのワイン、Liocoのワインの試飲も行われました。
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IPOBはRajat ParrとHirsch VineyardのJasmine Hirschが中心となって、2011年に友人たちと作ったグループでした。参加するワイナリも基本的には知りあいのところだけ。Rajat Parr自身が選定していました。

しかし、参加希望のワイナリが増えるに連れ、その体制には疑問の声も上がるようになったため、評論家やソムリエ、ワインメーカー、流通業者による審査員グループがワイナリを選定するような形になっています。ラジャ・パーは試飲には参加しますが、審査員としての意見は言わないそうです。

年に1回、新たに参加希望するワイナリのワイン(ピノ・ノワールとシャルドネ限定)を集め、完全にブラインドでテイスティングし、「バランスが取れているかどうか」という点に限って評価します。アルコール度数といった個々の要素は評価しません。そこで、バランスが取れているとされたワイナリがメンバーに加わります。

また、既にメンバーになっているワイナリも2年に1回は同じ審査を経ないといけません。

こうして、現在は30余りのワイナリがメンバーになっています。

IPOBのワインは、欧州志向が強いニューヨークのブルックリンにレストランでもワインリストに載るようになるなど、ソムリエなどに高く評価されています。入会希望も急増しているとか。

なお、イベントは多くの業界団体のイベントと異なり、スポンサーを取らずに入場料収入だけで運営しています。ワイナリにとっても手弁当での参加となるため、回数を増やすのはかなり難しいとのこと。それでも、2014年か2015年には東京でイベントを開催したいとのことです。

また、ピノ、シャルドネ以外の品種に対象を広げるのも現状では難しそうです。

IPOBのワインの試飲については記事を改めます。