2006年にスクリーミング・イーグルを買収して一躍有名になったのがチャールズ・バンクス(Charles Banks)です。サンタ・バーバラのホナタ(Jonata)のオーナーでもありましたが2009年には両ワイナリーから手を引き(スクリーミング・イーグルの共同オーナーであったスタンリー・クロンクは残りました)、新たにテロワール・キャピタルというワイナリーに出資する会社を設立しました。

その後はマヤカマス(Mayacamas)やキュペ(Qupe)といった老舗ワイナリーを買収したり、サンディ(Sandhi)やウィンド・ギャップ(Wind Gap)といった新進気鋭のワイナリー設立に協力したりするなど、幅広いワイナリーに出資しています。南アフリカ、ニュージーランド、フランスと、海外のワイナリーにも出資しています。

そのチャールズ・バンクスのインタビュー記事がありました(Charles Banks Venture Capital and Wine - Grapecollective.com)。

下の写真右がチャールズ・バンクス



非常に面白いインタビューなので、ぜひ元記事を読んでいただきたいところですが、ここではいくつかのポイントだけ紹介します。

まず、スクリーミング・イーグルから手を引いた理由ですが、端的に言えばブランドの構築においてやれることがあまりなかった、ということに尽きます。たかだか2000ケースのワイナリーで、既に名声も確立しているところでは、ビジネスを育てる面白みがなかったようです。

キュペについては、ワイン自体には全く問題がなく、プロモーションの仕方がよくないために埋没したブランドになってしまっていました。そこで、作るワインの種類を減らして焦点を明らかにするなどのテコ入れを行っているとのこと。チャールズ・バンクスが一番好きなワインはローヌ系だとのことで、キュペには結構思い入れがありそうです。

マヤカマスには、スクリーミング・イーグルでワインメーカーを務めたアンディ・エリクソンを抜擢。ところが、ブドウの選果をするための最新機器を送ったら、全部突き返してきたとのこと。ここも、従来からのワインの作り方を変える必要は一切ないと、アンディ・エリクソンが判断したそうてす。マヤカマスのワインは熟成能力に定評があり、それを活かすことにしたのです。

その代わりに変えたのはビジネスモデル。作ったワインのうち4割は倉庫に保管しておき、10年、あるいは30年や40年経ってから市場に出そうというのです。

このほか、南アフリカの話もかなり興味深いものでした。

スクリーミング・イーグルを買収したときには、ただの金持ちの道楽なのかと思っていましたが、このインタビューを読んで、完全に見方が変わりました。非常によく考えているし、ワインが好きなことも分かります。やみくもに買収しているのではなく、それなりに勝算があって取り組んでいることも分かりました。彼のこれからに、もっと注目していこうと思います。