十数年ぶりに山梨のワイナリーに行ってきました。家族旅行で行ったので、ワイナリー巡りというほどではないですが、計5つのワイナリーに訪問できました。2回にわけてレポートします。
奥野田葡萄酒
最初に訪問したのは奥野田(おくのた)ワイナリー。勝沼のワイナリー密集地帯から少し北に行ったところ、甲州市の旧奥野田地区にあるワイナリーです。スタッフ4人で切り盛りしている小さなワイナリーですが、その一人であるほげちゃんこと細川さんとは旧知の間柄。ここに来てからは4年ということでしたが、会いにいってきました。

午後にイベントを控えていて、あまり時間はなかったのですが、畑も案内してもらいました。
奥野田葡萄酒
ここはワイナリーの近くの畑「HIYAKE VINEYARD」でカベルネ・ソーヴィニヨンが植わっています。このほか盆地の東側の斜面(上の写真の奥の方)にも2カ所畑があり、計1.5haの畑を持っています。自社畑以外に購入したブドウでもワインを造っています。この畑は「奥野田ヴィンヤードクラブ」という、会員がブドウの木を所有して、年に数回作業も行うクラブでも利用しており、木には所有者の名札がついています。
奥野田葡萄酒
また、富士通の福利厚生などを行う「富士通GP2020ワインファーム」もここを使っており、富士通のIoT技術を使って畑の状態を観測するための装置が置いてありました。

日本では特に甲州種など、旧来の棚作りにしているところもありますが、ここはすべて垣作りにしています。また、自社畑ではカベルネ・ソーヴィニヨンのほかシャルドネやメルローといった欧州系の品種だけを育てています。樹は1ha当たり4500~6000本というかなりの密植で植えています。この畑は粘土層で水の保持能力が高く、日本の畑はどうしても肥沃な傾向が強いため、ブドウによりストレスを与えるよう、土は全く耕さず、肥料も与えていません。カバークロップも自然に任せていますが、以前植えていた芝や、マメ科の植物などが生えています。訪れたときにはオオイヌノフグリが可憐な花を咲かせていました。

このようにある程度ストレスを与えるほかは自然に任せていますが、収穫は少しずつ上がってきたそうです。

また、ここでは殺虫剤も使わず、ボルドー液や生物農薬を使っています。いわゆる自然派ではありますが、特に自然派と名乗ってはいません。私も自然派は「目的ではなく手段」だと思っているので、その態度はとてもよく理解できます。
奥野田葡萄酒
訪問した3月半ばは、まだ芽が出るには早い時期ですが、ブドウの木の「揚水」が始まっていて、樹の切り口からは吸い上げた水がぽたぽた落ちてくるところが見られます。冬の間からからに感想していた枝が、水を含んで柔らかくなると、枝をワイヤーに這わせる「誘引」作業をします。

試飲に移ります。
奥野田葡萄酒
最初は奥野田ビアンコ2016。蝶のラベルのシリーズです。甲州にシャルドネ、デラウェア、ミルズをブレンドしたもの。購入したブドウで造っています。税込み1944円。ステンレスタンクで発酵・熟成しています。半年間シュール・リーしているとのことで、ちょっとオレンジワインのような感じがあります。レモンに白桃、ハーブのニュアンス。アフターに軽い苦味。どちらかというと爽やかというよりリッチなテーストのワイン。

次は桜沢シャルドネ2016。3780円。自社畑のワインです。新樽で発酵・熟成しています。樽に関しては、本当は風味を付けすぎないよう、ニュートラルなものを使いたいそうですが、このところ樽のメーカーがウイスキー用の樽で手一杯とのことで、中古の樽が手に入らず、新樽を使って中古にしていくということをしています。そのため、年によって新樽になったりそうでなかったりと、コントロールには苦労しているとのこと。確かに、樽の風味はかなり強めで、まだ果実味としっかりなじんでいない感じがしました。2、3年経つともっとこなれて美味しくなりそうです。2016年は雨が多く、ブドウの15%に貴腐菌がついたとのこと。それもあるのか、酸はそれほどきつくなく、オレンジの風味。ミネラルも感じます。

次はメルロー・カベルネ2015(3780円)。自社畑のメルロー(65%)とカベルネ・ソーヴィニヨン(35%)をブレンドしたワイン。カシスの風味、酸がきれいです。タンニンもしっかりしていますが、きめ細かく、荒々しさは感じません。こくもあり美味しい。個人的にはこれが一番気に入ったので購入しました。

最後はローズ・ロゼ2016(1944円)。ミルズというブドウ品種を使って発酵を途中で止めて、ほの甘に仕上げたロゼ。女性にとても人気があるワインだとのこと。花の香り、白桃の味わい。

ワインはどれも誠実に造っているのがわかる味わい。山梨の2大品種である甲州やマスカット・ベーリーAをあまり造っていないので、それを期待するなら他のワイナリーの方がいいでしょう。
奥野田葡萄酒