ニュージーランドのクスダ・ワインズや、ソノマのリトライ、ゲイリー・ファレル、ナパのマサイアソン、チリのモンセカーノといった一流のワイナリーで修行した日本人女性、平林園枝さんが自身のワイン・ブランド「シックス・クローヴス」(Six Cloves)を立ち上げました。その最初のワインを試飲する機会をいただきました。



ナパのマサイアソンやソノマのリトライといえば、ワインとしてだけでなく、ブドウの生産者としても非常に有名で、尊敬を集めているワイナリーです。特にリトライのテッド・レモンはソノマにおけるビオディナミ(バイオ・ダイナミクス)の実践者として知られています。

そういったワイナリーで修行した平林さんが最初に選んだ品種はシャルドネ。2017年のヴィンテージはソノマのロシアン・リバー・ヴァレーで長年ブドウを造ってきた中井章恵さんのブドウを使っています。

収穫は8月31日とやや早めでした。熱波の到来が迫っており、それによって糖度が上がりすぎてしまうことを防ぐために早めの収穫となりました。ステンレスタンクで発酵、樽熟成では25%新樽を使っています。マロラクティック発酵は半分程度を目指していましたが、約3割進んだところで止まってしまったそうです。生産量は56ケースで、すべて日本で販売します。

ワインは上品なバニラのフレーバーに、豊かな酸が特徴。人によっては酸っぱすぎると感じるかもしれません。ピュアな果実味があり、全体に非常に品の良さを感じます。平林さんは、いわゆる「ニュー・カリフォルニア」の流れに影響を受けており、過熟気味のブドウでアルコール度数が高いワインを造るよりも、酸をしっかり残してアルコール度数を上げない方向を選ぶようです。

ちなみに2018年はナパのマサイアソンのシャルドネと、ソノマのペタルマ・ギャップのカラ・ヴィンヤード(Karah)という畑からのピノ・ノワールを造っています。今年は全体に豊作であり、マサイアソンほどの引く手あまたの生産者でもブドウが余ってしまったとのこと。スティーブ・マサイアソンがFacebookに「だれかブドウ買わない?」と書いたのに平林さんが即反応して購入したとのこと。なので2019年以降もマサイアソンが続くかどうかはわかりません。


今回はランチをいただきながらワインを試飲したのですが、ほかにも平林さんが修行したワイナリーのピノ・ノワールが4本並ぶという豪華さ。なかなか入手できないクスダ・ワインズのワインもありました。

なお、シックス・クローヴスは布袋ワインズが輸入販売します。価格は5800円。生産量が少ないので当初はレストランなどでの採用が中心になりそうです。