豊作だった2018年産から、カリフォルニアでもついにワイン余り状態に陥っており、醸造したものの売り先のないバルクワインが出てきています。そういったワインを使ってお買い得なワインを作るワイナリーも登場しているという話がSFクロニクルに出ていました(Top-tier Napa Cab for $10? With bulk wine prices so low, new brands offer deep discounts - SFChronicle.com)。

登場するワイナリーは「de Negoce」と「Bêcheur」の2つ。

de Negoceを立ち上げたのはキャメロン・ヒューズ。キャメロン・ヒューズは2001年に同名のワイナリーを立ち上げ、同じようにバルクワインを使ってコスト・パフォーマンスの高いワインを作って一世を風靡しました。その都度、安価に仕入れられたものを売るため、毎年同じワインを作るのではなく、ロット番号を付けて毎回違うワインをt作っていました。ただ、売り先のほとんどがコスコ(コストコ)だったことと、2010年、2011年の不作の年に自社での醸造に切り替えざるを得なくなったことから財務状況が悪化して2017年にヴィンテージ・ワイン・エステーツに売却することになりました。

今回はその反省に立って、中間コストを極力排除し、ワインのリリース前に「フューチャー」としてメールを送って注文を受ける形にしています。最初にリリースするのはナパのカベルネ・ソーヴィニヨン。通常であれば50ドルになるワインをなんと10ドルで販売しました。

Bêcheurを立ち上げたのはマイケル・テリエンという人。オブシディアン・リッジというワイナリーの共同創設者兼ワインメーカーでもあります。彼の場合は友人のワインメーカーたちが、作ったワインを本来売るはずだったブランドで売れなくなり、二束三文で売らざるを得なくなった状況を憂いて、このワイナリーを始めたとのこと。
Bêcheur
ワイナリーのサイトを見ると、売っているワインは一つだけ。上の写真が添えられており、ワインのコストが詳らかにされています。

ここの仕組みはユニークで、ワインが売れれば売価を上げ、売れなければ下げる形になっています。本来40ドルで売られるはずだったアンダーソン・ヴァレーのピノ・ノワールは1ドルで売り始め、現在は23.92ドルになっています。その値段の推移もすべて明らかにしています。

ワイン余りで生まれる新しいワイナリー、これからもあるかもしれません。