2つの土壌がもたらすデリンガー(akaデリンジャー)の個性
ついに国内輸入が始まったデリンガー(Dehlinger)のワインを試飲してきました。
カリフォルニアのピノ・ノワールのブームは有名な映画「サイドウェイ」が公開された2004年頃から始まりましたが、それよりはるか前、1970年代にピノ・ノワールを植えた先駆者の一つがデリンガーでした。ロキオリやジョセフ・スワン、デイヴィス・バイナムなどと並ぶロシアン・リバー・ヴァレーの偉大な先人です。
ワイナリーの場所はグラトンの町の近く。ロシアン・リバー・ヴァレーをいくつかの地域に分類してその個性を説明しようとしているrussianrivervalley.orgによるとセバストポール・ヒルズに分類されていますが、実際にはラグーナ・リッジだと思います。グリーン・ヴァレーとサンタ・ローザ・プレインズと呼ばれる平地の間にある丘陵地帯です。
ロシアン・リバー・ヴァレーというと「ゴールドリッジ」と呼ばれる粘土と砂が混じった黄色い土壌が有名で、ピノ・ノワールやシャルドネ、特に後者に最適と言われています。水はけはよく、それでも深く根を張ると適度な水を得られるのが特徴です。
デリンガーのある土地は、それに加えて「アルタモント(Altamont)」と呼ばれる赤っぽい表土があります。ゴールドリッジよりも粘土と砂利の比率が高く、ゴールドリッジよりも水分を保持しない土壌。1mくらいの深さの表土ですが、植物の生産性はゴールドリッジよりも低く、昔のリンゴ農家には避けられていた土壌のようです。生産性が低い分、味わいの凝縮したブドウができます。
写真で左側がゴールドリッジ、右側がアルタモントです。色がだいぶ違うのがわかります。
前述のようにここは丘陵地帯になっていて、デリンガーの畑の中でも低いところと高いところがあります。アルタモントの土壌は高いところにあり、それが削られた部分がゴールドリッジになっているようです。
畑のブロックの図と、土壌のマップを重ねてみました。アルタモントが多いところにカベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールを植えているようです。
試飲しました。
シャルドネの2017年はライムなどの柑橘系に、ネクタリンのようなとろっとした甘さがあります。ヴァニラやカスタード、ナッツの風味も。酸がいきいきとしていて美味しい。シャルドネの名手レイミーを思い出しました。
ピノ・ノワールはゴールドリッジ2017とアルタモント2016。名前の通り、ゴールドリッジの土壌とアルタモントの土壌のブドウを分けて作っています。
ゴールドリッジはレッドチェリーやレッドプラムの完熟した味わい。スパイスの風味も少しあります。柔らかくロシアン・リバー・ヴァレーらしい良さのでたピノ・ノワールです。
一方、アルタモントはかなり濃厚というか強烈。ダークチェリーにシナモン、五香粉のようなスパイスの風味。キノコの風味など熟成感も出てきているのですが、まだ味が落ち着いていない印象もあります。個性的で少し好き嫌いは分かれそうな気がします。
最後はカベルネ・ソーヴィニヨン2014。ロシアン・リバー・ヴァレーでカベルネ・ソーヴィニヨンというのもかなり珍しいですが、ナパなどのような味の詰まった感じはないもののミディアムプラスボディでエレガント系のいいカベルネ・ソーヴィニヨンです。ナパのスプリング・マウンテンにあるスミス・マドローンのクローンを使っているとのことで、実はスミス・マドローンも同じ輸入元であり、何か縁があったようです。
ロシアン・リバー・ヴァレーの名門、ついに輸入開始ということでオールドファンは興奮しています。
ところで、オールドファンはこのワイナリー「デリンジャー」と呼んでいたと思います。ここの発音は米国人にとっても難しく、「ジャー」なのか「ガー」なのかわからないそうなので、日本人がわからないのは当然ですね。ある掲示板の投稿によると、ワイナリーの人は「day」+「linger」の発音だったとのことで、カタカナにするなら「デイリンガー」が一番近いのかもしれません。ともかく輸入元の表記は今回「デリンガー」になったので、それで覚えましょうね。
以下、ショップはWassy'sです。
カリフォルニアのピノ・ノワールのブームは有名な映画「サイドウェイ」が公開された2004年頃から始まりましたが、それよりはるか前、1970年代にピノ・ノワールを植えた先駆者の一つがデリンガーでした。ロキオリやジョセフ・スワン、デイヴィス・バイナムなどと並ぶロシアン・リバー・ヴァレーの偉大な先人です。
ワイナリーの場所はグラトンの町の近く。ロシアン・リバー・ヴァレーをいくつかの地域に分類してその個性を説明しようとしているrussianrivervalley.orgによるとセバストポール・ヒルズに分類されていますが、実際にはラグーナ・リッジだと思います。グリーン・ヴァレーとサンタ・ローザ・プレインズと呼ばれる平地の間にある丘陵地帯です。
ロシアン・リバー・ヴァレーというと「ゴールドリッジ」と呼ばれる粘土と砂が混じった黄色い土壌が有名で、ピノ・ノワールやシャルドネ、特に後者に最適と言われています。水はけはよく、それでも深く根を張ると適度な水を得られるのが特徴です。
デリンガーのある土地は、それに加えて「アルタモント(Altamont)」と呼ばれる赤っぽい表土があります。ゴールドリッジよりも粘土と砂利の比率が高く、ゴールドリッジよりも水分を保持しない土壌。1mくらいの深さの表土ですが、植物の生産性はゴールドリッジよりも低く、昔のリンゴ農家には避けられていた土壌のようです。生産性が低い分、味わいの凝縮したブドウができます。
写真で左側がゴールドリッジ、右側がアルタモントです。色がだいぶ違うのがわかります。
前述のようにここは丘陵地帯になっていて、デリンガーの畑の中でも低いところと高いところがあります。アルタモントの土壌は高いところにあり、それが削られた部分がゴールドリッジになっているようです。
畑のブロックの図と、土壌のマップを重ねてみました。アルタモントが多いところにカベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールを植えているようです。
試飲しました。
シャルドネの2017年はライムなどの柑橘系に、ネクタリンのようなとろっとした甘さがあります。ヴァニラやカスタード、ナッツの風味も。酸がいきいきとしていて美味しい。シャルドネの名手レイミーを思い出しました。
ピノ・ノワールはゴールドリッジ2017とアルタモント2016。名前の通り、ゴールドリッジの土壌とアルタモントの土壌のブドウを分けて作っています。
ゴールドリッジはレッドチェリーやレッドプラムの完熟した味わい。スパイスの風味も少しあります。柔らかくロシアン・リバー・ヴァレーらしい良さのでたピノ・ノワールです。
一方、アルタモントはかなり濃厚というか強烈。ダークチェリーにシナモン、五香粉のようなスパイスの風味。キノコの風味など熟成感も出てきているのですが、まだ味が落ち着いていない印象もあります。個性的で少し好き嫌いは分かれそうな気がします。
最後はカベルネ・ソーヴィニヨン2014。ロシアン・リバー・ヴァレーでカベルネ・ソーヴィニヨンというのもかなり珍しいですが、ナパなどのような味の詰まった感じはないもののミディアムプラスボディでエレガント系のいいカベルネ・ソーヴィニヨンです。ナパのスプリング・マウンテンにあるスミス・マドローンのクローンを使っているとのことで、実はスミス・マドローンも同じ輸入元であり、何か縁があったようです。
ロシアン・リバー・ヴァレーの名門、ついに輸入開始ということでオールドファンは興奮しています。
ところで、オールドファンはこのワイナリー「デリンジャー」と呼んでいたと思います。ここの発音は米国人にとっても難しく、「ジャー」なのか「ガー」なのかわからないそうなので、日本人がわからないのは当然ですね。ある掲示板の投稿によると、ワイナリーの人は「day」+「linger」の発音だったとのことで、カタカナにするなら「デイリンガー」が一番近いのかもしれません。ともかく輸入元の表記は今回「デリンガー」になったので、それで覚えましょうね。
以下、ショップはWassy'sです。