ヴィナスのアントニオ・ガッローニが2019年のワインを中心とする最新のナパ・ヴァレーのレポートを公開しました。

山火事の影響が大きかった2017年に対して2018年はトラブルのない良好なヴィンテージ、2019年は2018年よりもフルボディで濃厚なスタイルで同じく良好なヴィンテージと考えられています。ただ、ガッローニは1年前の時点では2019年の方が少し上回ると考えていたのに対して、今回2018年の方が良さそうだと述べています。

理由としては2018年のワインが非常に良好で、この1年でさらに良くなってきていること、2019年は酸が低くタニックで、ワイナリーによる出来不出来が2018年よりも大きいことなどが挙げられています。また、2020年が2017年以上に山火事の影響が大きく収穫量が大幅に減っており、その分2019年のワインは量を増やそうとしているワイナリーも多くなっているようです。

今回、100点のワインが13本出ていますが、そのうち過半数の7本は2018年のワインです。昨年のレポートでは100点9本のうち8本は2018年で2017年は1本だけでした。ここからも2018年の方が優れている感じは伺えます。

通常、この時期のレポートには今年の秋にボトル詰めされる2シーズン前のワインの初期レポートも含まれますが、今回は2020年のレビューは省略されました。前述のように山火事の影響が大きく、ワイナリーによって完全にワイン造りをやめたり、赤だけやめたりなど状況が様々なことが一つ。また、ガッローニのようなベテランでもまだ2020年のヴィンテージの全体像をつかみかねていることが一つ。ともかく非常に難しく、消費者としても良い選択眼を持つ必要があるヴィンテージとなりそうです。

また、ガッローニは今回の特筆事項として、カベルネ・フラン単独のワインが増えてきたことを挙げています。フラン好きのわたしとしては嬉しいですが、ガッローニは割と辛口で、今のところあまりできが良くないものが多いとしています。その中で「2019 Sinegal Estate Cabernet Franc Old Vine」、「2019 Kapcsándy Family Winery Rapszodia」の2本が100点を取っているのは注目に値します。今回がデビューとなった「2019 Morlet Family Vineyards Force Tranquille」もカベルネ・フラン・ベースで98点。ガッローニも注目のニューカマーに挙げています。「2019 The Vineyardist Notre Mystere」も今回初リリースのワインでカベルネ・フランが65%。97点の高評価を得ています。「2019 Gandona Meia」も今回初リリースで96点。