ザンダー・ソーレン(Xander Soren)氏の立ち上げたワイナリー「ザンダー・ソーレン」の世界ローンチ・イベントが新宿のパークハイアット東京で開かれ、参加してきました。


ザンダー・ソーレン氏は元アップルのエグゼクティブでiPodやGarageBandなど音楽系の製品開発に長く携わった人。ワイン造りは10年ほど前から始めていましたが、このほど会社を辞め、ワイナリーに専念することになりました。その世界発表の場となったのが東京です。お披露目では、和食のコースにワインを合わせていました。


ワインのラベルも家紋を模したもの(米国西部に咲くフルセラという花にザンダー氏の頭文字の「X」を組み合わせたデザイン)で、ザンダー氏の日本への思い入れの深さがうかがえます。
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日本市場に投入されるのは2019年のヴィンテージからになるようですが、お披露目では2012年のワインなど、これまで作ってきたバックヴィンテージのワインもいただきました。なお、ワインはすべてピノ・ノワールです。

ブドウ畑は南はサンタ・バーバラから北はウエスト・ソノマ・コーストまで、カリフォルニアのピノ・ノワールの銘醸地から厳選された、いずれ劣らぬ銘醸畑ばかりです。例えばサンタ・バーバラではサンフォード&ベネディクトやラ・エンカンターダ、サンタ・ルシア・ハイランズではシエラ・マーやロゼラズ、ソノマではオリヴェット・レーンやユーキ・ヴィンヤードのブドウを使っています。ユーキ・ヴィンヤードはフリーマンがウエスト・ソノマ・コーストに持つ畑で、外部のワイナリーに出すのはザンダー・ソーレンが初めてとのことです。

ワインは食事とのペアリングで出されたので、順番はバラバラでしたが、ここではヴィンテージ順に簡単に紹介します。

2012年セントラル・コースト:畑はサンタ・ルシア・ハイランズのシエラ・マーとサンタ・バーバラ(サンタ・リタ・ヒルズ)のエンカンターダ。10年が過ぎて、熟成による旨味や漬物のような味わいも出てきています。カリフォルニアでは果実味が強いせいか熟成しても漬物感があまり出てこないことが多いですが、これはきれいに熟成しています。果実味もほどよく残っていて飲み頃でしょう。

2013年セントラル・コースト:1年の違いですが、レッド・チェリーやザクロのような果実味がより強く残っています。合鴨によく合いました。

2015年セントラル・コースト:ザクロやフランボワーズのやわらかな果実味。ほどよい酸味。腐葉土やマッシュルームのニュアンス。

2019年セントラル・コースト:サンタ・ルシア・ハイランズのロゼラズのブドウも入っている。フランボワーズなどの赤果実に、カシスのような黒果実の風味も加わり、ちょっとダークな味わい。

2019年ユーキ・ヴィンヤード:赤果実の風味が主体で、複雑味もある。数年熟成させるととても良くなりそう。

2019年オリヴェット・レーン:ロシアンリバー・ヴァレーらしい芳醇な味わい。比較的タンニン強く、ボディがしっかりしている。

2020年オリヴェット・レーン:2019年と似ているが、よりタンニンを感じ、グリップ感がある。

2020年Ludeon:Ludeonはフラッグシップの位置づけで、ほかのラベルが白地なのに対してこれだけは黒字になっています。ほかのワインがかなりエレガントな作りであるのに対して、これはかなりボディが強く、濃い味わい。青さを感じたので全房を使っているのかと思ったらそうではないとのこと。おそらくまだワインが若すぎるのだと思います。もう2、3年たってから飲んだほうが良さそうなワイン。


ワインメーカーはウイリアムズ・セリエムやロアーなどで働いていたShalini Sekhar (シャリニ・セイカ ル)という人。どのワインもそれぞれの地域らしさも出たきれいなワインで、とても優秀なワインメーカーだと思います。

生産量は毎年トータルで600ケースくらいというからかなり少なく、日本に入ってくる量もかなり限られていそうですが、探して飲む価値のあるピノ・ノワールだと思います。

日本では布袋ワインズが輸入元になります。
ザンダー・ソーレン : Hotei Wines







パークハイアット東京の和食レストラン「梢」の料理も実に素晴らしかったです。