「パリスの審判」で白ワインの1位になったシャトー・モンテレーナのシャルドネを作ったマイク・ガーギッチ。その後、ガーギッチ・ヒルズを立ち上げて今に至ります。今年4月1日に100歳を迎え、先週記念のイベントが開かれました。
Mike Grgich

たまたま5月22日にTwitter Spaceでパリスの審判を描いた映画「ボトル・ドリーム」の話をしたのですが、映画の中で大きなポイントになっているのが、試飲会に出すつもりのワインが茶色に変わっていてワインを捨てかけたというエピソード。実はこの映画の原題は「Bottle Shock」となっていて、そこからもこのエピソードがポイントであることがわかります。

Spaceのトークはこちらから聞けます。

トークの中で、この茶変エピソードが本当にあったのか質問されたのですが、パリスの審判の本にはそういった話は出てこないので、実際に1位になったワインではないのではないかと回答しました。

冒頭に戻って、ガーギッチ100歳のイベントの中でパリスの審判のワインの前年の1972年シャトー・モンテレーナ・シャルドネが振る舞われたそうです(Mike Grgich Celebrates his Century in Style | Wine-Searcher News & Features)。そこで明かされたのが、そのワインが実際に茶変したことがあったという話。それが映画の制作者に伝わったのかどうかは不明ですが、完全に作ったエピソードというわけではなかったようです。

ところで、映画にはそもそもマイク・ガーギッチは登場しません。オーナーのジム・バレット、息子で後を引き継いだボー・バレット、アシスタント・ワインメーカーだったグスタヴォ・ブランビーラは実名で出てきたのに、です。

実はマイク・ガーギッチはジム・バレットと折り合いが悪く、特にパリスの審判で1位を取ってからは、その名誉をワイナリーのものとするジム・バレットと、自身の功績と主張するガーギッチとの間に大きな軋轢が生じ、それもあってガーギッチは独立したのでした。その確執は映画の撮影時にもなくなっておらず、映画には全く登場しなかったのでした。パリスの審判に関連した試飲会などでもモンテレーナかガーギッチのどちらかが出ることはあっても両方が出るということは一度もありませんでした。

ただ、2013年にジム・バレットが亡くなり、ガーギッチがサンタ・ローザの新聞「プレス・デモクラット」で彼を称賛したことで、実質的に和解した形になりました。今回のイベントにもボー・バレットが参加しています。さらに今回は、不仲で知られたマイケル・モンダヴィとティム・モンダヴィの兄弟もそろって出席し、昔話に花を咲かせるという異例の光景も見られたそうです。

ガーギッチ・ヒルズのシャルドネやフュメ・ブラン(ソーヴィニヨン・ブラン)はナパの白ワインの中でもトップクラスに入る高いクオリティのものです。改めて映画を見ながら、モンテレーナと飲み比べてみたりするのも面白いかもしれません。




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