パリ・テイスティングでの勝利によって、欧州とくにフランスのワイナリがカリフォルニアに注目するようになりました。直接・間接的な形でカリフォルニアに進出するフランスの名門が続々と登場したのです。

その代表がRobert MondaviとChateau Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロートシルト)が作ったOpus Oneです。1978年に両ワイナリによって調印され、当時としては斬新なデザインのワイナリを建築しました。ラベルにはRobert Mondaviとムートンの当主だったBaron Philippe de Rothschildのサインと横顔のシルエットが入っている、これも画期的なものでした(左のかぎ鼻がRobert Mondaviです)。ぶどう品種を名乗らない「proprietary」(プロプライエタリ)なワインの走りでもあります。

Opus One


Opus OneにはRobert Mondaviとムートンがちょうど半々ずつ出資しました。名実ともに両者が対等の立場で作ったわけです。イタリア移民の2世であるRobert Mondaviにとって、名門であるRothschild家と対等に並んだというのは極めて名誉なことでした。


シャンパーニュのメーカーもこぞって、カリフォルニアにやってきました。トップを切ったのはChandon(シャンドン)で、パリ・テイスティングに先立つ1973年にDomaine Chandon(ドメーン・シャンドン)を作りました。1980年にはPiper-HeidsieckがPiper-Sonoma(パイパーソノマ)を、1982年にはLuis RoedererがRoederer Estate(ロデレール・エステート)を設立。1985年にはMumm(マム)、1987年にはTaittinger(テタンジェ)がDomaine Carneros(ドメーン・カーネロス)を設立しました。


ボルドーからはChateu Lafite-Rothschild(シャトー・ラフィット・ロートシルト)が一番早く、テクニカルディレクターの息子だったBernard Portet(ベルナール・ポルテ)が1970年にカリフォルニアに渡り、Clos du Val(クロ・デュ・ヴァル)を設立しています。Chateau Petrus(シャトー・ペトリュス)を持つMoueix(ムエックス)家は、1981年に旧InglenookのオーナーJohn Daniel Jr.の娘Robin LailらとDominus(ドミナス)を設立、1995年からはMoueix家が100%所有するようになっています。