ネイキッドワイン(Naked Wines)というユニークなワイナリーがあります。何がユニークかというと、クラウドファウンディングをビジネスモデルにしているのです(The story of Naked Wines | TechCrunch)。

クラウドファウンディングについては、これまで何回か取り上げていますが、改めて説明すると「不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である」と定義されています。

ワイン関連でもこれまでいくつかクラウドファウンディングの試みがあります。本ブログでは以下の様なものを紹介しています。
クラウドファウンディングでテイスティング・ルームを作ろうと試みるソノマのワイナリー
ワイン専用のクラウドファウンディングが登場
ワインを30日間フレッシュに保つ、世にも奇妙な無線LAN対応ワインボトル
1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる

ネイキッドワインはこの中だと「ワイン専用のクラウドファウンディングが登場」で紹介したCruzuに一番似ています。特に、ワインメーカーが複数いて、さまざまなワイン作りのプロジェクトを持っているという点は共通しています。

ただ、ビジネスモデルとしてはネイキッドワインの方が、より継続的にビジネスを続けられるよう工夫されています。

ネイキッドワインではユーザーは「エンジェル」として、毎月40ドルの会費を払います。現在7万5000人のエンジェルがいるとのことですから、毎月300万ドル(約3億円)の収入があるわけです。
ネイキッドワインの「エンジェル」

これを原資として、ネイキッドワインは、ワインメーカーが提案するさまざまなワイン作りのプロジェクトに出資します。どのプロジェクトを進め、どのプロジェクトをやめるかは会社が決定します。プロジェクトごとにユーザーが出資を決めるCruzuとはここも大きく異なります。

ワインメーカーは会社が出すお金や設備を使ってワインを作ります。しかし、作ったワインを宣伝したり売ったりすることには責任を持ちません。このため、世界のさまざまな地域のカベルネ・ソーヴィニヨンを使ったカベルネ・ブレンドだったり、「Vermentino」というブドウ品種に魅せられたワインメーカーのプロジェクトといったユニークなプロジェクトが実施されています。

一方、出資したエンジェルは、ワインを定価の40~60%割引で購入できたり、毎月ギフトボトルが送られてくるなどのメリットがあります。

ネイキッドワインはこのほか「Wine Bond」という形の出資も受けました。これもユーザーが出資するもので、1年後にキャッシュであれば7%、ワインの購入であれば10%の利子がつきます。2013年に開始して1カ月で650万ドルを集めました。

日本のワインでも、同じような挑戦はできるのではないかという気もするのですが、どうでしょうか。