「マスター・ソムリエ」はオワコンか?
米国のマスター・ソムリエ協会でセクハラなどの問題が噴出したのが1年前のこと。
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マスター・ソムリエ協会にはびこるセクハラ、NYタイムズが告発
今年11月には米国のマスター・ソムリエ協会の創設者でもあるフレッド・デイム(Fred Dame)など、6人のマスター・ソムリエが資格を剥奪ということで、とりあえず一件落着しました。しかし、そもそもマスター・ソムリエ自体が時代遅れなのではないか、という記事をW. ブレイク・グレイ氏が書いています(Master Sommelier Program Out of Time | Wine-Searcher News & Features)。
W. ブレイク・グレイはマスター・ソムリエ協会の健全化に向けた努力に対しては敬意を払っていますが、マスター・ソムリエが狭き門過ぎることと、マスター・ソムリエの資格を取った大半の人がソムリエからは卒業してしまうことに疑念を抱いています。
マスター・ソムリエの候補は現在800人弱いますが、これまでの統計から見るとこの中で試験に合格するのは30人程度ということになるでしょう。そうなるとほとんどの人がマスター・ソムリエ取得のためのすさまじい努力が実ることなく終わってしまうということになります。マスター・オブ・ワインの候補はこの半分程度であり、それくらいが適正な規模ではないかとしています。
マスター・オブ・ワインとマスター・ソムリエの試験の最大の違いとしてはマスター・ソムリエではサービスの実践が必要なことがあります。しかし、実際にはマスター・ソムリエを取得した人の大半はサービスを卒業してディレクターなどの職種についたり小売業に転職したりしています。これらの職種につくならマスター・オブ・ワインでも全く問題はなく、サービスの試験を通過した意味はあまりなくなっています。
結局マスター・ソムリエという枠組み自体を見直すことが必要なのではないかというのがグレイ氏の提言です。