以前に紹介した「for Dummies」シリーズのカリフォルニアワイン入門書「California Wine for Dummies」を読みました。あれからすぐ買ったのですが,図書館で借りた本を優先して読んでいるとなかなか出番が来ず,いつのまにか1カ月経っていたのであわてて読んだ次第です。
結論から言うとこの本,お勧めです。特に米国在住でカリフォルニアワインをこれから勉強したいと思っているような人には最適でしょう。教科書的なところを一応押さえながらも非常に現実的かつ役に立つ解説になっています。僕が見ても「ほう」と思うところもいくつかありました。
構成は,カリフォルニアワインの簡単な歴史とブドウ品種を中心にしたワインの簡単な分類,ラベルの見方,各地域の紹介,ブドウ品種ごとの解説,ヴィンテージや食事とのマッチング,ワイナリ訪問のマナーといった順になっています。一番役に立つのはブドウ品種ごとの解説のところでしょう。例えばピノ・ノワールだけで20ページ以上を割いて一般的な傾向や,地域ごとのお勧めワインなどを紹介しています。
特筆すべきポイントを三つ挙げます。
・文章が平易
・教科書的なきれいごとだけでなく現実的
・これというポイントが囲み記事で解説されている
最初のポイントについて,for Dummiesシリーズはどれも文章が平易ですがこれも例外ではありません。英語をそれほど得意にしていない人でもすらすら読めると思います。
2番目のポイントについては例を挙げるのが難しいですが,例えばカリフォルニアのシャルドネにはいろいろなスタイルがあることなどを素直に書いています。
三つ目のポイントとしては例えば,ピノの地域の説明で,カレラのMt. Harlanがすっ飛ばされていると思ったら,Caleraだけが囲みになっていたり,といった感じで,うまい具合に囲みが入っています。
また,巻末近くのヴィンテージ関連のところは著者の主張がかなり盛り込まれていて面白いです。著者によるとカリフォルニアワインで熟成が楽しめるのはカベルネ系とジンファンデルどのこと。また涼しい都市ほど熟成にむくということで近年で最高のヴィンテージは2005年だと評価しています。
旅行関係の情報はあまり重視されていませんが,それでもSonomaのHealdsburgあたりのお勧めレストランなど,なかなかのできです。
結論から言うとこの本,お勧めです。特に米国在住でカリフォルニアワインをこれから勉強したいと思っているような人には最適でしょう。教科書的なところを一応押さえながらも非常に現実的かつ役に立つ解説になっています。僕が見ても「ほう」と思うところもいくつかありました。
構成は,カリフォルニアワインの簡単な歴史とブドウ品種を中心にしたワインの簡単な分類,ラベルの見方,各地域の紹介,ブドウ品種ごとの解説,ヴィンテージや食事とのマッチング,ワイナリ訪問のマナーといった順になっています。一番役に立つのはブドウ品種ごとの解説のところでしょう。例えばピノ・ノワールだけで20ページ以上を割いて一般的な傾向や,地域ごとのお勧めワインなどを紹介しています。
特筆すべきポイントを三つ挙げます。
・文章が平易
・教科書的なきれいごとだけでなく現実的
・これというポイントが囲み記事で解説されている
最初のポイントについて,for Dummiesシリーズはどれも文章が平易ですがこれも例外ではありません。英語をそれほど得意にしていない人でもすらすら読めると思います。
2番目のポイントについては例を挙げるのが難しいですが,例えばカリフォルニアのシャルドネにはいろいろなスタイルがあることなどを素直に書いています。
三つ目のポイントとしては例えば,ピノの地域の説明で,カレラのMt. Harlanがすっ飛ばされていると思ったら,Caleraだけが囲みになっていたり,といった感じで,うまい具合に囲みが入っています。
また,巻末近くのヴィンテージ関連のところは著者の主張がかなり盛り込まれていて面白いです。著者によるとカリフォルニアワインで熟成が楽しめるのはカベルネ系とジンファンデルどのこと。また涼しい都市ほど熟成にむくということで近年で最高のヴィンテージは2005年だと評価しています。
旅行関係の情報はあまり重視されていませんが,それでもSonomaのHealdsburgあたりのお勧めレストランなど,なかなかのできです。
先日の記事は,2ちゃんねるその他で引用されたため,結構いろんな方が読まれているようです。今から見るとやや言葉足らずだったかなと思う部分もあるので,補足しておきます。
まず,最初の部分については「試飲」というところが引っかかります。ワイン・トレインは食事やワインの給仕はありますが,ワインを「試飲」するところではなく,そういった設備も持っていないはずです。
次に,試飲というのが言葉の綾だとしても,ここのワインの品揃えはほかのレストランと比べて特に優れているわけではありません。それはリストを見ていただければ分かると思います。したがってナパのさまざまなワインを味わうためにワイン・トレインに乗るというのはちょっとおかしいわけです。
さらに,今回登場したワインはリストにありません。この漫画を見て,「Etudeのピノが飲めるんだ」と思って乗車する人がもしいたら肩透かしをくらってしまうでしょう。
二つ目の引用のところについてもう少し説明します。オークヴィルを通り過ぎて次にヨントヴィル,それからナパというのは北から南に走っていることになります。ワイン・トレインは南のナパから北はセント・ヘレナまで行って折り返して戻ってきます。最初のカーネロスというのはナパをある程度含んでいますが,そこから北に上がって行っていると思って読んでいるので,「いつの間にか折り返しているんだろう」とかなり戸惑ってしまったことが一つあります。
次に,スタッグス・リープの位置関係の問題です。記事に書いたようにスタッグス・リープはナパ・ヴァレーの谷の東側です。「ヨントヴィルとナパを越えればスタッグス・リープがある」というのは,ボルドーでたとえるならば「グラーブからメドックを過ぎるとポムロールがある」と言うようなものです。また,南北の位置関係で見てもスタッグス・リープはナパほど南ではありません。ヨントヴィルの東にあたります。なお,さらに細かいことを言うとこのあたりはAVAの名前であるスタッグス・リープと,AVAの名前であり市の名前でもあるオークヴィルやヨントヴィル,AVAの名前ではなく,市の名前であるナパと,名前のレベルが混在しているのもちょっと問題です。
最後に,三つ目の問題として,記事に書いたようにワイン・トレインはスタッグス・リープをかすめもしません。ここは「ある」というだけで「通る」と書いてないから単なる位置関係だけを言おうとしたのかと解釈しようかとも思ったのですが,上述のように,それも大分おかしなことになっています。
それから「ワイン・トレインは観光用の列車ですからプロであるワイン評論家が乗るのはちょっと恥ずかしいのではないかという気もしないでもないですが…」と書きましたがこれは感想であって,内容が間違っているという問題とはちょっと別の話です。
このほか,「そもそもワイン・トレインはカーネロスを走っていない」という指摘をいただきましたが,出発地であるナパはCarnerosにぎりぎり入っているかどうかというところです。仮に入っていたとしてもワイン・トレインからカーネロスの畑は見えないだろうとは思いましたが,そこまでは目くじら立てなくていいかなと,それについては前記事では触れませんでした。
また,雑誌のキャプチャを記事内に入れたことで「著作権が心配」という意見も拝見しましたが,これについては漫画の批評のための引用というのが認められているので,問題ないはずです。
まず,最初の部分については「試飲」というところが引っかかります。ワイン・トレインは食事やワインの給仕はありますが,ワインを「試飲」するところではなく,そういった設備も持っていないはずです。
次に,試飲というのが言葉の綾だとしても,ここのワインの品揃えはほかのレストランと比べて特に優れているわけではありません。それはリストを見ていただければ分かると思います。したがってナパのさまざまなワインを味わうためにワイン・トレインに乗るというのはちょっとおかしいわけです。
さらに,今回登場したワインはリストにありません。この漫画を見て,「Etudeのピノが飲めるんだ」と思って乗車する人がもしいたら肩透かしをくらってしまうでしょう。
二つ目の引用のところについてもう少し説明します。オークヴィルを通り過ぎて次にヨントヴィル,それからナパというのは北から南に走っていることになります。ワイン・トレインは南のナパから北はセント・ヘレナまで行って折り返して戻ってきます。最初のカーネロスというのはナパをある程度含んでいますが,そこから北に上がって行っていると思って読んでいるので,「いつの間にか折り返しているんだろう」とかなり戸惑ってしまったことが一つあります。
次に,スタッグス・リープの位置関係の問題です。記事に書いたようにスタッグス・リープはナパ・ヴァレーの谷の東側です。「ヨントヴィルとナパを越えればスタッグス・リープがある」というのは,ボルドーでたとえるならば「グラーブからメドックを過ぎるとポムロールがある」と言うようなものです。また,南北の位置関係で見てもスタッグス・リープはナパほど南ではありません。ヨントヴィルの東にあたります。なお,さらに細かいことを言うとこのあたりはAVAの名前であるスタッグス・リープと,AVAの名前であり市の名前でもあるオークヴィルやヨントヴィル,AVAの名前ではなく,市の名前であるナパと,名前のレベルが混在しているのもちょっと問題です。
最後に,三つ目の問題として,記事に書いたようにワイン・トレインはスタッグス・リープをかすめもしません。ここは「ある」というだけで「通る」と書いてないから単なる位置関係だけを言おうとしたのかと解釈しようかとも思ったのですが,上述のように,それも大分おかしなことになっています。
それから「ワイン・トレインは観光用の列車ですからプロであるワイン評論家が乗るのはちょっと恥ずかしいのではないかという気もしないでもないですが…」と書きましたがこれは感想であって,内容が間違っているという問題とはちょっと別の話です。
このほか,「そもそもワイン・トレインはカーネロスを走っていない」という指摘をいただきましたが,出発地であるナパはCarnerosにぎりぎり入っているかどうかというところです。仮に入っていたとしてもワイン・トレインからカーネロスの畑は見えないだろうとは思いましたが,そこまでは目くじら立てなくていいかなと,それについては前記事では触れませんでした。
また,雑誌のキャプチャを記事内に入れたことで「著作権が心配」という意見も拝見しましたが,これについては漫画の批評のための引用というのが認められているので,問題ないはずです。
【追記】説明不足なところがあったので補足記事を書きました。
いよいよ遠峰一青のナパ編が始まりましたが,いきなり突っ込みどころ満載です。まあマンガなんでまじめに突っ込む必要は本来ないのですが,これを教科書か何かのように読んでしまう人も多いようなので,つまらないことでも一応書いておきます。
遠峰一青とローラン,ナパでWine Trainに乗ります。そのときの一青のせりふがこれ。
「ナパ・ヴァレーに点在するほとんどのワイナリーのワインを車内で試飲できるから」
できません。
ちなみにワインリストはこれ(PDF)。今回登場するワインはクロ・ペガス シャルドネ ミツコズ・ヴィンヤード 2007,エチュード ピノ・ノワール 2000,スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ Cask 23 2004の3本ですが,いずれもリストにはありません。
そもそも試飲が目的であればワインショップに行ったりワイン・バーに行く方が品揃えは良さそうです。
それに,ワイン・トレインは観光用の列車ですからプロであるワイン評論家が乗るのはちょっと恥ずかしいのではないかという気もしないでもないですが…
ワイン・トレインの旅は続きます。そして
出発はカーネロスでしたから北上中なのかと思っていたのですが,いつのまにか折り返して南下していたようです。しかし,ナパを越えてもスタッグス・リープはありません。スタッグス・リープはナパ・ヴァレーの東の丘側。西側のHighway 29沿いを走るワイン・トレインは通りません。
View Napa Valley Wine Train Route in a larger map
CWGにワインの問い合わせが行くくらいなので,登場したワインも紹介しておきます。エチュードはヴィンテージ違いですが。iWineは送料無料でお得です。
いよいよ遠峰一青のナパ編が始まりましたが,いきなり突っ込みどころ満載です。まあマンガなんでまじめに突っ込む必要は本来ないのですが,これを教科書か何かのように読んでしまう人も多いようなので,つまらないことでも一応書いておきます。
遠峰一青とローラン,ナパでWine Trainに乗ります。そのときの一青のせりふがこれ。
「ナパ・ヴァレーに点在するほとんどのワイナリーのワインを車内で試飲できるから」
できません。
ちなみにワインリストはこれ(PDF)。今回登場するワインはクロ・ペガス シャルドネ ミツコズ・ヴィンヤード 2007,エチュード ピノ・ノワール 2000,スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ Cask 23 2004の3本ですが,いずれもリストにはありません。
そもそも試飲が目的であればワインショップに行ったりワイン・バーに行く方が品揃えは良さそうです。
それに,ワイン・トレインは観光用の列車ですからプロであるワイン評論家が乗るのはちょっと恥ずかしいのではないかという気もしないでもないですが…
ワイン・トレインの旅は続きます。そして
出発はカーネロスでしたから北上中なのかと思っていたのですが,いつのまにか折り返して南下していたようです。しかし,ナパを越えてもスタッグス・リープはありません。スタッグス・リープはナパ・ヴァレーの東の丘側。西側のHighway 29沿いを走るワイン・トレインは通りません。
View Napa Valley Wine Train Route in a larger map
CWGにワインの問い合わせが行くくらいなので,登場したワインも紹介しておきます。エチュードはヴィンテージ違いですが。iWineは送料無料でお得です。
神の雫,次の使徒はカリフォルニアのようです。ヒントは「サグラダ・ファミリア」と「天地人」の「人」。雫君はDominus 94を飲んで人の手が加わっているのを感じるとかなんとか言っていましたが,人の手が加わっているかどうかってどうして分かるの? と思ってしまいました。そもそもDominusが本当にもう一つのワインより人の手を多くかけていると原作者は言えるのでしょうかねえ。Dominusについてはあまり醸造法などが語られていないような気がします。
ちょっと脱線しましたが,今回のポイントとなるのがこの「人の手」というところでしょうか。一般には人の手が加わるというのはネガティブな印象につながりがちですが,そこをポジティブな要素にしていくとしたら,畑を作るのに人が大変な思いをしてやっているとか,そういうことだろうかと想像しています。
サグラダ・ファミリア(聖家族)というのも難しい。ただ単に家族経営ということを指すのか,それともミッションのワインなどキリスト教と結びついたものを指すのか。後者だとすると,これといったものが思いつきません。
品種はカベルネ系の可能性が高そうですが,ジンファンデルという線もあるでしょうね。
畑の方から考えると,Pride,Viader,Martinelliなんていうところを思いつきました。PrideはSonomaとNapaの両方の畑を持ち,ViaderとMartinelliはいずれも急斜面を開墾して畑を作っています。ただどこも「聖」という感じじゃないんですよねえ。このあたりが難しいです。
一応,予想としては本命MartinelliのJackass Hill Zinfandel 2001,対抗でPride MountainのMerlot 1998ということにしてみます。もうちょい情報が増えたら修正するかもしれません。
ちょっと脱線しましたが,今回のポイントとなるのがこの「人の手」というところでしょうか。一般には人の手が加わるというのはネガティブな印象につながりがちですが,そこをポジティブな要素にしていくとしたら,畑を作るのに人が大変な思いをしてやっているとか,そういうことだろうかと想像しています。
サグラダ・ファミリア(聖家族)というのも難しい。ただ単に家族経営ということを指すのか,それともミッションのワインなどキリスト教と結びついたものを指すのか。後者だとすると,これといったものが思いつきません。
品種はカベルネ系の可能性が高そうですが,ジンファンデルという線もあるでしょうね。
畑の方から考えると,Pride,Viader,Martinelliなんていうところを思いつきました。PrideはSonomaとNapaの両方の畑を持ち,ViaderとMartinelliはいずれも急斜面を開墾して畑を作っています。ただどこも「聖」という感じじゃないんですよねえ。このあたりが難しいです。
一応,予想としては本命MartinelliのJackass Hill Zinfandel 2001,対抗でPride MountainのMerlot 1998ということにしてみます。もうちょい情報が増えたら修正するかもしれません。