今年買った本で考えると既に電子書籍の方が紙の本よりも多くなっています。読みやすさで言えば、まだ紙の方がいいとは思うのですが、何よりも場所を取らないというのが電子書籍のいいところ。売れ筋の小説など、以前だったら図書館で1年くらい予約待ちして借りていた本も、電子書籍でちょっと安めになっていたりすると、ついつい買ってしまいます。積ん読が見えないだけに、いつのまにか本がたまってしまうことも。
というわけで、iPhoneには電子書籍のアプリがたくさん入っています。一時期はKindleの本を中心に買っていましたが、最近は楽天のkoboで買うことが増えています。
理由は単純に本が安いから。
例えば、「半沢直樹」シリーズの第3弾『ロスジェネの逆襲』は、紙の単行本だと1575円。これが電子書籍だとどこでも大体1200円になります。Kindleもkoboの定価も同様です。
同じ定価ならKindleを選ぶという人が多そうですが、koboが強いのはここからです。割引クーポンがたくさんあるのです。
例えば今なら
文言書17,000作品がクーポンで最大50%引
というキャンペーンでこの本は600円になります。単行本と比べたら実に975円引き。この本、文庫になってから買おうと思っていたのですが、600円なら文庫と変わらないのでポチってしまいました。
これだけでなく、どの本でも40%や50%引きで使えるクーポンが、週に2,3回送られてきます。このあたりをうまく使えば、月に10冊くらいは40%引きや50%引きで買えるだろうと思います。
まとめ買いのキャンペーンなどポイント還元のプログラムもいろいろあるので、賢く買えばかなり節約できることは間違いありません。旅行に行く前のまとめ買いなどにもいいと思います。
僕は、koboの本を読むときもiPhoneを使うことが多いですが(初代kobo端末も持っています)、これだけ割引があれば、端末を買ってもすぐにもとが取れるでしょう。
というわけで、iPhoneには電子書籍のアプリがたくさん入っています。一時期はKindleの本を中心に買っていましたが、最近は楽天のkoboで買うことが増えています。
理由は単純に本が安いから。
例えば、「半沢直樹」シリーズの第3弾『ロスジェネの逆襲』は、紙の単行本だと1575円。これが電子書籍だとどこでも大体1200円になります。Kindleもkoboの定価も同様です。
同じ定価ならKindleを選ぶという人が多そうですが、koboが強いのはここからです。割引クーポンがたくさんあるのです。
例えば今なら
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というキャンペーンでこの本は600円になります。単行本と比べたら実に975円引き。この本、文庫になってから買おうと思っていたのですが、600円なら文庫と変わらないのでポチってしまいました。
これだけでなく、どの本でも40%や50%引きで使えるクーポンが、週に2,3回送られてきます。このあたりをうまく使えば、月に10冊くらいは40%引きや50%引きで買えるだろうと思います。
まとめ買いのキャンペーンなどポイント還元のプログラムもいろいろあるので、賢く買えばかなり節約できることは間違いありません。旅行に行く前のまとめ買いなどにもいいと思います。
僕は、koboの本を読むときもiPhoneを使うことが多いですが(初代kobo端末も持っています)、これだけ割引があれば、端末を買ってもすぐにもとが取れるでしょう。
カリフォルニアはバークレーにあるシェ・パニースといえば、カリフォルニア料理の発祥のレストランとして有名であり、そのオーナーのアリス・ウォーターズは偉大なる成功者として尊敬されている。
1971年にシェ・パニースが開店してから約40年、本書はその足跡を丹念に追ったものだ。
で、一読して分かるのは上記のような成功者のイメージと実際のレストランの状況が大幅に異なっていること。レストランは料理の評判こそ落ちたことはないが、経営状態としては綱渡りの連続であり、シェフも度重なる交代を経てきている。アリスのレストランではあるが、アリス自体がシェフとして腕を振るった時期は必ずしも長くない。
それでもシェ・パニースが続いてきたのはアリスの楽天性と、それを支えようと思う友人達、および父親の力が大きかったように思える。例えば、アリスは何度となく男性と付き合い、別れているが、別れた相手とはその後も友達付き合いが続いている。
最初から、カリフォルニア料理を作っていたわけでも、そのようなものを目指していたわけでもないことも驚きだった。例えば初期のシェフであるジェレマイア・タワーの料理はほぼ純粋なフランス料理だったというし、アリス自身も最初はフランス料理を作っていた。
ただ、スローフード的志向は初期からあり、アリスにとってはそれが一貫したものになっていたように感じる。学校の校庭で野菜をつくる食育菜園の活動に熱心になるのも、その発展とかんがえられる。
いろいろなことを考えさせられたし、カリフォルニア料理の発展を知る上でも読む価値のある本である。
また、本書の装丁は昨年発行された「アート オブ シンプルフード」と一貫している。合わせて読みたい本だ。
1971年にシェ・パニースが開店してから約40年、本書はその足跡を丹念に追ったものだ。
で、一読して分かるのは上記のような成功者のイメージと実際のレストランの状況が大幅に異なっていること。レストランは料理の評判こそ落ちたことはないが、経営状態としては綱渡りの連続であり、シェフも度重なる交代を経てきている。アリスのレストランではあるが、アリス自体がシェフとして腕を振るった時期は必ずしも長くない。
それでもシェ・パニースが続いてきたのはアリスの楽天性と、それを支えようと思う友人達、および父親の力が大きかったように思える。例えば、アリスは何度となく男性と付き合い、別れているが、別れた相手とはその後も友達付き合いが続いている。
最初から、カリフォルニア料理を作っていたわけでも、そのようなものを目指していたわけでもないことも驚きだった。例えば初期のシェフであるジェレマイア・タワーの料理はほぼ純粋なフランス料理だったというし、アリス自身も最初はフランス料理を作っていた。
ただ、スローフード的志向は初期からあり、アリスにとってはそれが一貫したものになっていたように感じる。学校の校庭で野菜をつくる食育菜園の活動に熱心になるのも、その発展とかんがえられる。
いろいろなことを考えさせられたし、カリフォルニア料理の発展を知る上でも読む価値のある本である。
また、本書の装丁は昨年発行された「アート オブ シンプルフード」と一貫している。合わせて読みたい本だ。
8月7日にTBSで「『生きろ』~戦場に残した伝言~」というドラマがあります。報道ドラマということで、ほぼ史実に沿ったものになるのだと思います。
舞台は沖縄。第二次世界大戦で日本国内において唯一住民を巻き込んだ戦いが行われたところです。その沖縄戦のときに沖縄県知事だった島田叡(あきら)さんが主人公。
島田さんは元々沖縄の人ではなく、1945年1月に前知事の逃亡によって急遽派遣されたのでした。当時の状況において次に沖縄が戦場になることはほぼ確実。生きて帰れる可能性はほとんどないことを理解しての就任でした。
就任後はとにかく一人でも住民を生かしたいと、荒井警察部長とともに奮闘しました。
島田知事と荒井警察部長については「沖縄の島守―内務官僚かく戦えり」という優れたノンフィクションが書かれています。おそらくドラマもこれを元にしているのでしょう。本書については以前感想を書いています。ネタバレ部分もあるのでここでは引用を控えますが、お読みいただけたらと思います(読書2点「ざわわ ざわわの沖縄戦」「沖縄の島守―内務官僚かく戦えり」)。
沖縄戦というと日本軍のダメなところばかりが目に付くのですが、日本の官僚にもこんな立派な人達がいたことをぜひ知ってほしいと思います。ドラマは本と比べて多くの人の目に触れるでしょうから、すばらしい機会になると思います。
著者の田村洋三さんはほかにも沖縄戦関連の素晴らしいノンフィクションを書かれています。こちらも関心がある方はぜひご覧になってください。
舞台は沖縄。第二次世界大戦で日本国内において唯一住民を巻き込んだ戦いが行われたところです。その沖縄戦のときに沖縄県知事だった島田叡(あきら)さんが主人公。
島田さんは元々沖縄の人ではなく、1945年1月に前知事の逃亡によって急遽派遣されたのでした。当時の状況において次に沖縄が戦場になることはほぼ確実。生きて帰れる可能性はほとんどないことを理解しての就任でした。
就任後はとにかく一人でも住民を生かしたいと、荒井警察部長とともに奮闘しました。
島田知事と荒井警察部長については「沖縄の島守―内務官僚かく戦えり」という優れたノンフィクションが書かれています。おそらくドラマもこれを元にしているのでしょう。本書については以前感想を書いています。ネタバレ部分もあるのでここでは引用を控えますが、お読みいただけたらと思います(読書2点「ざわわ ざわわの沖縄戦」「沖縄の島守―内務官僚かく戦えり」)。
沖縄戦というと日本軍のダメなところばかりが目に付くのですが、日本の官僚にもこんな立派な人達がいたことをぜひ知ってほしいと思います。ドラマは本と比べて多くの人の目に触れるでしょうから、すばらしい機会になると思います。
著者の田村洋三さんはほかにも沖縄戦関連の素晴らしいノンフィクションを書かれています。こちらも関心がある方はぜひご覧になってください。
ワイン評論家として知られるジャンシス・ロビンソンが米国のワインをまとめた本を出しました。タイトルは「American Wine: The Ultimate Companion to the Wines and Wineries of the United States」。
内容はAVAのマップや、ワイナリの紹介などということなので、自分の本と重なるなあと、気になっております。読みたいような読みたくないような…(笑)。まあ、ライバルだなんておこがましいにもほどがあるのですが。
ちなみにこちらは「American Wine」であって「California Wine」ではないので、カリフォルニア以外の米国のワイン産地もきちんと取り上げております。値段もそんなに高くないので、役に立つかなあとは思いますよ。
内容はAVAのマップや、ワイナリの紹介などということなので、自分の本と重なるなあと、気になっております。読みたいような読みたくないような…(笑)。まあ、ライバルだなんておこがましいにもほどがあるのですが。
ちなみにこちらは「American Wine」であって「California Wine」ではないので、カリフォルニア以外の米国のワイン産地もきちんと取り上げております。値段もそんなに高くないので、役に立つかなあとは思いますよ。
個人的にアベノミクスにはかなり懐疑的なのではありますが、円安のおかげで企業の業績が上向き、いろいろな面で日本経済が活性化してきたことは、いい兆しなのかと思っています。
一方で、カリフォルニアワインの日本での普及を応援するという立場からすると、円安は値上げに通じることが確実です。リーマン・ショックからのワイン業界の不況と、円高の相互作用で、過去4、5年かなり安くていいものが入るようになってきた状況でしたが、この先、値上げや輸入停止などのニュースが増えそうなのは残念なところでもあります。
このように、円安、円高それぞれメリットデメリットがあるわけですが、それを「伝説のトレーダー」である藤巻健史氏と、長年銀行に勤務しており、経済学者でもある宿輪純一氏が平易に解説したのが本書です。
*お断り:実は私は宿輪氏とは中高の同級生であり、今も交友があります。ただ、本はちゃんと自腹で買っており、この感想についても、いわゆるステマ的なものでは全くありません。
立ち位置としては藤巻氏が円安論者、宿輪氏が円高論者ということになっていますが、読んでいくと、実は2人が言っていることには大きな隔たりはなく、結局構造改革こそが日本を救うために必要であるということがわかります。円安も円高も、そこに行き着くための一種のツールであったりバランサーであったりするような役割をするのだと思います。
なかなかおもしろく読めた本ですが、ちょっと不満な点も。
経済が専門でないものに取っては、金融のメカニズムというのは簡単には理解できないものです。例えば「金融緩和」という言葉は年中耳にするものではありますが、自分できちんと説明できるかというと、あまり自信がありません。
本書では平易に(しかも同じ事を何度となく)説明しているのですが、それでも頭に入るのには時間がかかります。ここにメカニズムを図示してあげれば、理解は遥かに容易になると思うのです。いくつか、グラフは使われていますが、本書の読者に必要なのは、それよりもメカニズムの理解でしょう。特に、2人の主張の同じところと違うところを際立たせるためにも、それは必要だったと思います。
このあたりは編集者の力不足か、手抜きか、時間不足か…もうちょっとがんばってほしかったところです。
なお、本書は2003年に出た本の新板ということになっていますが、読んでいて古臭さは全くありません。必要なところはすべて、現在の状況に合わせて書きなおされています。
一方で、カリフォルニアワインの日本での普及を応援するという立場からすると、円安は値上げに通じることが確実です。リーマン・ショックからのワイン業界の不況と、円高の相互作用で、過去4、5年かなり安くていいものが入るようになってきた状況でしたが、この先、値上げや輸入停止などのニュースが増えそうなのは残念なところでもあります。
このように、円安、円高それぞれメリットデメリットがあるわけですが、それを「伝説のトレーダー」である藤巻健史氏と、長年銀行に勤務しており、経済学者でもある宿輪純一氏が平易に解説したのが本書です。
*お断り:実は私は宿輪氏とは中高の同級生であり、今も交友があります。ただ、本はちゃんと自腹で買っており、この感想についても、いわゆるステマ的なものでは全くありません。
立ち位置としては藤巻氏が円安論者、宿輪氏が円高論者ということになっていますが、読んでいくと、実は2人が言っていることには大きな隔たりはなく、結局構造改革こそが日本を救うために必要であるということがわかります。円安も円高も、そこに行き着くための一種のツールであったりバランサーであったりするような役割をするのだと思います。
なかなかおもしろく読めた本ですが、ちょっと不満な点も。
経済が専門でないものに取っては、金融のメカニズムというのは簡単には理解できないものです。例えば「金融緩和」という言葉は年中耳にするものではありますが、自分できちんと説明できるかというと、あまり自信がありません。
本書では平易に(しかも同じ事を何度となく)説明しているのですが、それでも頭に入るのには時間がかかります。ここにメカニズムを図示してあげれば、理解は遥かに容易になると思うのです。いくつか、グラフは使われていますが、本書の読者に必要なのは、それよりもメカニズムの理解でしょう。特に、2人の主張の同じところと違うところを際立たせるためにも、それは必要だったと思います。
このあたりは編集者の力不足か、手抜きか、時間不足か…もうちょっとがんばってほしかったところです。
なお、本書は2003年に出た本の新板ということになっていますが、読んでいて古臭さは全くありません。必要なところはすべて、現在の状況に合わせて書きなおされています。
ITジャーナリストの松村太郎さんのユニット茶太郎豆央(ちゃたろう・まめお)による米国西海岸の最新コーヒー事情をまとめた本「サードウェーブ」を読みました。
サードウェーブとは、スターバックスを代表とする「セカンドウェーブ」へのアンチテーゼとして起こった動き。元々、米国でコーヒーというと、いわゆる「アメリカンコーヒー」のような薄くて味気ないものばかりだったわけですが、そこに「グルメ」なコーヒーの楽しみ方を持ち込んだのがスターバックスや、本書でセカンドウェーブの発祥として取り上げているピーツ・コーヒーなどでした。
スターバックスは米国のコーヒー文化を大きく変えましたが、「大量生産・大量消費」という構造は残ったため、フェアトレードの動きに対応が遅れるなど、欠点も現れるようになってきました。
そこで2000年過ぎから起こったのが「サードウェーブ」です。
サードウェーブの特徴を端的にまとめると「コーヒー豆」へのこだわりということになりそうです。
例えば、コーヒーはブレンドせず1つの産地、1つの種類の豆を使うとか、店で焙煎をして、1杯ずつドリップするとか、煎り方は浅煎りが基本とか、いずれもコーヒー豆の特徴を引き出すことを狙っているようです。
バークレーで始まったこの動き、店では「カッピング」といってコーヒー豆の評価をするためのイベントを提供しているところもあるそうで、ワイナリにおけるワインの試飲のようだな、と思いました。
そもそも、コーヒー文化の発展過程も米国のワインの進化と似ているところがあるように感じました。スターバックスやピーツ以前のファーストウェーブの時代というのは、ワインでいうとGalloのHearty Burgandyなど、なんのブドウなのかも分からない、いわゆる「ジェネリック・ワイン」と似ています。
スターバックスなどのセカンドウェーブは、ロバート・モンダヴィなどが出てきて、ブドウ品種を明確にした「ヴァラエタル・ワイン」が広がった1970年代以降に相当します。
そして、サードウェーブは、より繊細な味わいを中心とするピノ・ノワールが流行り、単一畑の個性を引き出すワイナリが増えた2000年以降のカリフォルニア・ワインによく似ています。呼応しているとまでは言いませんが、何かしら空気感の共有があるように思います。
僕は、この本を読むまではコーヒーのサードウェーブについては知らなかったのですが、やはり同じ西海岸での動きだけあって、親近感を持って読むことができました。日本でもこういうコーヒー屋が出てくると面白いと思います。
(そういえばピーツ・コーヒーは一時期日本にも店があったのだけど、知っている人はどれだけいるだろう?)
なお、この本はKindle用になっています。Kindle端末を持っていなくても、iPhoneやAndroid端末で読めます。
こちらもよろしくお願いします。
サードウェーブとは、スターバックスを代表とする「セカンドウェーブ」へのアンチテーゼとして起こった動き。元々、米国でコーヒーというと、いわゆる「アメリカンコーヒー」のような薄くて味気ないものばかりだったわけですが、そこに「グルメ」なコーヒーの楽しみ方を持ち込んだのがスターバックスや、本書でセカンドウェーブの発祥として取り上げているピーツ・コーヒーなどでした。
スターバックスは米国のコーヒー文化を大きく変えましたが、「大量生産・大量消費」という構造は残ったため、フェアトレードの動きに対応が遅れるなど、欠点も現れるようになってきました。
そこで2000年過ぎから起こったのが「サードウェーブ」です。
サードウェーブの特徴を端的にまとめると「コーヒー豆」へのこだわりということになりそうです。
例えば、コーヒーはブレンドせず1つの産地、1つの種類の豆を使うとか、店で焙煎をして、1杯ずつドリップするとか、煎り方は浅煎りが基本とか、いずれもコーヒー豆の特徴を引き出すことを狙っているようです。
バークレーで始まったこの動き、店では「カッピング」といってコーヒー豆の評価をするためのイベントを提供しているところもあるそうで、ワイナリにおけるワインの試飲のようだな、と思いました。
そもそも、コーヒー文化の発展過程も米国のワインの進化と似ているところがあるように感じました。スターバックスやピーツ以前のファーストウェーブの時代というのは、ワインでいうとGalloのHearty Burgandyなど、なんのブドウなのかも分からない、いわゆる「ジェネリック・ワイン」と似ています。
スターバックスなどのセカンドウェーブは、ロバート・モンダヴィなどが出てきて、ブドウ品種を明確にした「ヴァラエタル・ワイン」が広がった1970年代以降に相当します。
そして、サードウェーブは、より繊細な味わいを中心とするピノ・ノワールが流行り、単一畑の個性を引き出すワイナリが増えた2000年以降のカリフォルニア・ワインによく似ています。呼応しているとまでは言いませんが、何かしら空気感の共有があるように思います。
僕は、この本を読むまではコーヒーのサードウェーブについては知らなかったのですが、やはり同じ西海岸での動きだけあって、親近感を持って読むことができました。日本でもこういうコーヒー屋が出てくると面白いと思います。
(そういえばピーツ・コーヒーは一時期日本にも店があったのだけど、知っている人はどれだけいるだろう?)
なお、この本はKindle用になっています。Kindle端末を持っていなくても、iPhoneやAndroid端末で読めます。
こちらもよろしくお願いします。
昨年から評判だった映画「桐島、部活やめるってよ」のDVDが出ていたので、レンタルで見ました。
話は、バレー部の部長だった桐島が部活をやめた、という話があり、その後数日の様々なエピソードを様々な生徒の立場から描いていくというもの。バレー部の男子、野球部をやめた男子、桐島の彼女、映画研究会のオタク男子、吹奏楽部の部長女子といった、それぞれの目を通して1つのエピソードが繰り返し登場するのが面白いところです。
原作だと、それを生徒ごとに短編の形にしているのですが、映画ではどちらかというとエピソードを主軸として、それを生徒ごとに描いていく形。原作よりも映画の方が面白く感じました。
特に秀逸だったのが映画研究会の撮影で、腹を抱えて笑ってしまった場面もいくつかありました。
また、高校生活における「スポーツができるやつがかっこいい」的な部分が、この作品における主テーマの1つなのですが、そのあたりの描き方は「ああ、こういうことあるよなあ」と多くの人が共感すると思います。
あと、レンタルDVDでは特典映像として、本編とは全く独立した映画研究会の10分ほどのストーリー(シチュエーションだけ決まっていてセリフはすべてアドリブだそうです)があったのですが、これがなかなか秀逸。セル版では、帰宅部と女子部のものも入っているとのことで、それ見るために買ってもいいかなあ、という気になりました。
以下は参考のために、ブクログに書いた書籍版の感想を載せておきます。
話は、バレー部の部長だった桐島が部活をやめた、という話があり、その後数日の様々なエピソードを様々な生徒の立場から描いていくというもの。バレー部の男子、野球部をやめた男子、桐島の彼女、映画研究会のオタク男子、吹奏楽部の部長女子といった、それぞれの目を通して1つのエピソードが繰り返し登場するのが面白いところです。
原作だと、それを生徒ごとに短編の形にしているのですが、映画ではどちらかというとエピソードを主軸として、それを生徒ごとに描いていく形。原作よりも映画の方が面白く感じました。
特に秀逸だったのが映画研究会の撮影で、腹を抱えて笑ってしまった場面もいくつかありました。
また、高校生活における「スポーツができるやつがかっこいい」的な部分が、この作品における主テーマの1つなのですが、そのあたりの描き方は「ああ、こういうことあるよなあ」と多くの人が共感すると思います。
あと、レンタルDVDでは特典映像として、本編とは全く独立した映画研究会の10分ほどのストーリー(シチュエーションだけ決まっていてセリフはすべてアドリブだそうです)があったのですが、これがなかなか秀逸。セル版では、帰宅部と女子部のものも入っているとのことで、それ見るために買ってもいいかなあ、という気になりました。
以下は参考のために、ブクログに書いた書籍版の感想を載せておきます。
でたときから気になっていた小説だが、最近映画化されて、そのインパクトあるタイトルがここかしこで話題になっているので、改めて読んでみた。
青春小説は数あれど、このような作りのものは珍しいのではないかと思う。このような、というのは高校生活における「ヒエラルキー」がテーマの1つになっていること。
イケメンだったり、スポーツが上手といった、ヒエラルキーの上位にいる生徒と、映画研究会でちょっと恥ずかしいタイトルの映画を作っている下位の生徒。多くの小説では、その1つの層にだけ焦点を当てることで、ヒエラルキー自体からは目をそらしている。それに対して本書では、それをストレートに表現してしまっているのだ。
バレーボール部の部長でありながら、部活をやめた桐島。彼は結局、表には1回も登場しないが、部活をやめるというのは、ヒエラルキー的には1つ下がったということなのだろう。
とはいえ、身も蓋もない話ではなく、最後には皆に救いがある。さわやかで良かった。
青春小説は数あれど、このような作りのものは珍しいのではないかと思う。このような、というのは高校生活における「ヒエラルキー」がテーマの1つになっていること。
イケメンだったり、スポーツが上手といった、ヒエラルキーの上位にいる生徒と、映画研究会でちょっと恥ずかしいタイトルの映画を作っている下位の生徒。多くの小説では、その1つの層にだけ焦点を当てることで、ヒエラルキー自体からは目をそらしている。それに対して本書では、それをストレートに表現してしまっているのだ。
バレーボール部の部長でありながら、部活をやめた桐島。彼は結局、表には1回も登場しないが、部活をやめるというのは、ヒエラルキー的には1つ下がったということなのだろう。
とはいえ、身も蓋もない話ではなく、最後には皆に救いがある。さわやかで良かった。
春は勉強を始める季節。ワインの勉強がしたくて本を読む人もいるでしょうが、ここでは勉強よりも楽しくカリフォルニアワインが分かる本を紹介したいと思います。絶版のものもありますが、幸いなことにアマゾンではマーケットプレースで中古品も簡単に買えます。いい時代になったものです。
●最高のワインをめざして―ロバート・モンダヴィ自伝
カリフォルニアワインを有名にした一番の立役者が亡くなったロバート・モンダヴィです。90年代半ばに書かれたこの自伝はまさにモンダヴィが絶頂期を迎えようとしていたころのもの。何よりも50台という普通ならば人生の後半になってからが、モンダヴィにとってはカリフォルニアワインを一流にするための始まりだったことに驚かされます。
●ロマネ・コンティに挑む―カレラ・ワイナリーの物語
90年代から日本で人気のワイナリであり、一時期低迷するも近年かつて以上に人気・実力を兼ね備えるようになったのがカレラです。カリフォルニアのピノ・ノワール好きでカレラを飲んだことがない人はほとんどいないでしょう。そのカレラについて書かれた唯一の本がこれ。著者のド・ヴィリエの名前は、現在6番目の単一畑で使われていますから、オーナーのジョシュ・ジェンセンにとっても本書の意味合いは大きいのでしょう。
●パリスの審判 カリフォルニア・ワインVSフランス・ワイン
カリフォルニアワインにとって過去最大のエポックメーキングなできごとが1976年のパリ・テイスティング。これについて詳細に書かれたのが本書です。「ブティック・ワイナリ」が次々と興った当時のナパの雰囲気も伝わってきます。本書については、以前レビューを書いています。
●カリフォルニア・ワイナリーの四季
今回紹介する中では最も古い本ですが、中古も安いのでぜひ読んで欲しいのがこれです。ソノマのワイナリIron HorseのオーナーであるJoy Sterlingさんが書いた、カリフォルニアのワイナリにおける1年間を記したもの。さしづめ、南仏プロヴァンスの12か月 (河出文庫)のカリフォルニア版といったところです。これを読むとIron Horseに行きたくなります。
●無敵のカリフォルニアワイン講座《ナパ編》
最後は手前味噌で恐縮ですが、ナパのワインについては本書以上に詳しく書かれたものは日本にはありません。ワイナリ150個を掲載しているのが白眉ですが、それ以外にカリフォルニアワインの基礎や、ぶどう品種、歴史といったものもひと通り分かりますし、ワイナリに行くときのティップスもあります。ヘレン・ターリーなど著名なワインメーカーの経歴をまとめた資料も貴重だと思います。なにせ、書いた本人も分からないことがあると、まずこの本を調べるくらいですから(笑)。Kindle端末のほか、iPhone/iPadやAndroidでも読むことができます。
●最高のワインをめざして―ロバート・モンダヴィ自伝
カリフォルニアワインを有名にした一番の立役者が亡くなったロバート・モンダヴィです。90年代半ばに書かれたこの自伝はまさにモンダヴィが絶頂期を迎えようとしていたころのもの。何よりも50台という普通ならば人生の後半になってからが、モンダヴィにとってはカリフォルニアワインを一流にするための始まりだったことに驚かされます。
●ロマネ・コンティに挑む―カレラ・ワイナリーの物語
90年代から日本で人気のワイナリであり、一時期低迷するも近年かつて以上に人気・実力を兼ね備えるようになったのがカレラです。カリフォルニアのピノ・ノワール好きでカレラを飲んだことがない人はほとんどいないでしょう。そのカレラについて書かれた唯一の本がこれ。著者のド・ヴィリエの名前は、現在6番目の単一畑で使われていますから、オーナーのジョシュ・ジェンセンにとっても本書の意味合いは大きいのでしょう。
●パリスの審判 カリフォルニア・ワインVSフランス・ワイン
カリフォルニアワインにとって過去最大のエポックメーキングなできごとが1976年のパリ・テイスティング。これについて詳細に書かれたのが本書です。「ブティック・ワイナリ」が次々と興った当時のナパの雰囲気も伝わってきます。本書については、以前レビューを書いています。
●カリフォルニア・ワイナリーの四季
今回紹介する中では最も古い本ですが、中古も安いのでぜひ読んで欲しいのがこれです。ソノマのワイナリIron HorseのオーナーであるJoy Sterlingさんが書いた、カリフォルニアのワイナリにおける1年間を記したもの。さしづめ、南仏プロヴァンスの12か月 (河出文庫)のカリフォルニア版といったところです。これを読むとIron Horseに行きたくなります。
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最後は手前味噌で恐縮ですが、ナパのワインについては本書以上に詳しく書かれたものは日本にはありません。ワイナリ150個を掲載しているのが白眉ですが、それ以外にカリフォルニアワインの基礎や、ぶどう品種、歴史といったものもひと通り分かりますし、ワイナリに行くときのティップスもあります。ヘレン・ターリーなど著名なワインメーカーの経歴をまとめた資料も貴重だと思います。なにせ、書いた本人も分からないことがあると、まずこの本を調べるくらいですから(笑)。Kindle端末のほか、iPhone/iPadやAndroidでも読むことができます。