ITジャーナリストの松村太郎さんのユニット茶太郎豆央(ちゃたろう・まめお)による米国西海岸の最新コーヒー事情をまとめた本「サードウェーブ」を読みました。



サードウェーブとは、スターバックスを代表とする「セカンドウェーブ」へのアンチテーゼとして起こった動き。元々、米国でコーヒーというと、いわゆる「アメリカンコーヒー」のような薄くて味気ないものばかりだったわけですが、そこに「グルメ」なコーヒーの楽しみ方を持ち込んだのがスターバックスや、本書でセカンドウェーブの発祥として取り上げているピーツ・コーヒーなどでした。

スターバックスは米国のコーヒー文化を大きく変えましたが、「大量生産・大量消費」という構造は残ったため、フェアトレードの動きに対応が遅れるなど、欠点も現れるようになってきました。

そこで2000年過ぎから起こったのが「サードウェーブ」です。

サードウェーブの特徴を端的にまとめると「コーヒー豆」へのこだわりということになりそうです。

例えば、コーヒーはブレンドせず1つの産地、1つの種類の豆を使うとか、店で焙煎をして、1杯ずつドリップするとか、煎り方は浅煎りが基本とか、いずれもコーヒー豆の特徴を引き出すことを狙っているようです。

バークレーで始まったこの動き、店では「カッピング」といってコーヒー豆の評価をするためのイベントを提供しているところもあるそうで、ワイナリにおけるワインの試飲のようだな、と思いました。

そもそも、コーヒー文化の発展過程も米国のワインの進化と似ているところがあるように感じました。スターバックスやピーツ以前のファーストウェーブの時代というのは、ワインでいうとGalloのHearty Burgandyなど、なんのブドウなのかも分からない、いわゆる「ジェネリック・ワイン」と似ています。

スターバックスなどのセカンドウェーブは、ロバート・モンダヴィなどが出てきて、ブドウ品種を明確にした「ヴァラエタル・ワイン」が広がった1970年代以降に相当します。

そして、サードウェーブは、より繊細な味わいを中心とするピノ・ノワールが流行り、単一畑の個性を引き出すワイナリが増えた2000年以降のカリフォルニア・ワインによく似ています。呼応しているとまでは言いませんが、何かしら空気感の共有があるように思います。

僕は、この本を読むまではコーヒーのサードウェーブについては知らなかったのですが、やはり同じ西海岸での動きだけあって、親近感を持って読むことができました。日本でもこういうコーヒー屋が出てくると面白いと思います。

(そういえばピーツ・コーヒーは一時期日本にも店があったのだけど、知っている人はどれだけいるだろう?)

なお、この本はKindle用になっています。Kindle端末を持っていなくても、iPhoneやAndroid端末で読めます。


こちらもよろしくお願いします。