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Date: 2023/0224 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパヴァレーの歴史を学ぶときに必ず登場するのがボーリュー・ヴィンヤード(Beaulieu Vineyards)、略してBV。特にロシアから1938年にワインメーカーとしてやってきたアンドレ・チェリチェフは1960年代から70年代のカリフォルニアワインの勃興期に、ナパのほとんどのワインメーカーにとってメンター的存在として、その成長を支えました。

2000年ころまではナパでもトップクラスのワイナリーとして君臨してきましたが、その後は決して落ちぶれたわけではないのですが、多くの新興ワイナリーの影に隠れて「昔の名前で出ています」的なあまり目立たないワイナリーになってしまっていました。

この状態を変えたのが2017年にワインメーカーに就任したトレヴァー・ダーリング。約120年のBVの歴史の中でわずか5人目のワインメーカーです。2018年にはフラッグシップのジョルジュ・ド・ラ・トゥール・プライベート・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨンがヴィナスで98点を取るなど早くも頭角を表していましたが、2019年の同ワインはジェームズ・サックリングが100点を付け、年間のトップワインとしました。さらにはナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨン2019がワインスペクテーターの2022年のコスパワイン1位を取るなど急速に注目を集める存在になっています。

2019年のジョルジュ・ド・ラ・トゥール・プライベート・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨンは一部に樽発酵を使うというのがユニークなところ。赤ワインで樽発酵はかなり珍しいと思います。プティ・ヴェルドが9%入るにも珍しいです。後の91%はカベルネ・ソーヴィニヨン。

このレベルのワインとしては2万円台で買えるのも嬉しいところ。

ウメムラです。


柳屋です。


Date: 2023/0217 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋でハロウ・リッジのプティ・シラー2015が1000円台で出ています。

プティ・シラーは最近気になっている品種の一つ。カリフォルニア「固有」の品種というと、「ジンファンデル」と考えるのが一般的だと思いますし、実際「ヘリテージ・グレープ」といった言われ方もします。ただ、ジンファンデルはイタリアのプリミティーボと同一品種であることが分かっていますから、カリフォルニアでないと飲めない品種かというと、そんなことはないですよね。もちろん、カリフォルニアの古木のジンファンデルやフィールド・ブレンドのワインなどはイタリアのプリミティーボとだいぶ違うオリジナルのワインといっていいと思っていますが。

一方、プティ・シラーはシラーとプルールサンという品種のかけ合わせで、1880年代に南仏のデュリフ博士が作った品種であることが判明しています。品種の正式名はデュリフ(Durif)です。ちなみに米国でのつづりはPetite Sirahで、プティトゥ・シラーと発音しますが、日本ではプティ・シラーと書くことが多くなっています。Sirahの綴はSyrahともShirazとも違うのでややこしいですね。

さて、この品種が米国に渡ったのは1884年と開発されてすぐのことですが、本国のフランスではほとんど造られていない品種となっています。オーストラリアではそこそこの量が植えられているようですが、ジンファンデル以上に米国以外ではほとんど造られていない品種となっています。一方、知名度ということでは、ジンファンデルはカリフォルニアワインファンでなくても聞いたことはある人が多いと思いますが、プティ・シラーはほとんど知られていません。そういう意味ではもっと知られてほしいと思っています。

余談ですが、米国におけるプティ・シラーの普及団体は「PS I love you」という名前です。自分的には「PS I love you」といえばビートルズなのですが、宮本浩次さんなども同じタイトルの曲を出しているようですね。

前置きが長くなりました。このハロウ・リッジというワイナリーについては全然知らなかったのですが、Two Buck Chuckなどと同じブロンコ・ワインのグループが作っているワインです。コスパワインでは定評のあるグループです。日本だとカルディで売っている「レッドウッド」を作っているところというとわかりやすいでしょうか。

プティ・シラーはとても濃厚な味わいが特徴で、強固なタンニンを持っています。そのためジンファンデルなどに少量ブレンドする形で使われるのが主流です(ジンファンデルはそれ自体は色づきはあまりよくないので、プティ・シラーを入れることでワインの色を濃くする狙いがあります)。

というわけで米国でもメジャーとはいえない品種であり、プティ・シラー単体で飲みやすいワインというとなかなか見つからない、しかも若いヴィンテージ以外のプティ・シラーはそもそもほとんど見つからないというのが現状です。

そういう意味でもこのワイン、1000円台でちょっと熟成した2015年のワインというのはなかなか貴重な位置付けです。

柳屋のセールでは2022年の桜・アワードで「ダイヤモンド・トロフィ」を受賞したスミス・アンド・フックの「プロプライエタリー・レッド」(プティ・シラーが37%で一番多い)もあるので、飲み比べてみるのもいいでしょう。

あるいはオッドロット(モントレーのコスパ王シャイドのブランドの一つです)のレッド・ブレンドもプティ・シラーを使って、実においしく、コスパも高く作っているので、そちらとの比較もいいと思います。




Date: 2023/0211 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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クインテッサの2019年が柳屋で格安になっています。

参考:クインテッサ2019は傑作2018を超える!? « カリフォルニアワインのお勝手口

クインテッサは2017年からリリース時に試飲していますが、2018年2019年は甲乙つけがたい大傑作。実際ジェームズ・サックリングはどちらも99点を付けています。ワイン・エンスージアストでは2019年が100点と、同誌では6本目の満点となりました。

もちろん。2018、2019ともによいヴィンテージというのもありますが、ワイナリー自身の努力も見逃せません。今のGMのロドリゴ・ソト氏になってから、26区画ある土壌の特徴や栽培への影響をよく調べて灌漑の方法を変えたり、剪定の専門家を読んで剪定を変えたりと、毎年改善を繰り返しています。

この図でもわかるように、クインテッサの畑は斜面の向きもさまざまで土壌も違うナパの畑の中でも多様性が高い畑であり、それを最大限に生かそうとしているのがよくわかります。

クインテッサのワインのスタイルはエレガントでクラシック。もちろんナパらしい果実味はありますが、タンニンもきめ細かいですがかなりしっかりしていますし、スパイスの風味やきれいな酸もあり、ストラクチャーのあるワインです。オーパス・ワンにも通じるところはありますが、よりエレガントと言っていいでしょう。

ほかに似たスタイルというとアイズリーが思い浮かびます。ビオディナミを実践しているという点でもアイズリーと共通しています。ただ、クインテッサは開墾以来オーガニックですから一度も農薬を使っていないという点ではアイズリーを上回りますし、価格はアイズリーの半額程度です。オーパス・ワンとくらべても2万円以上安いです。このクオリティとスタイルで3万円台は貴重なワインです。

なお、クインテッサの創設者・オーナーは、チリのコンチャ・イ・トロの元CEO。チリ出身のこだわりとして毎年少しですがカルメネールをブレンドしているのも面白いところです。


Date: 2023/0208 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部でピーチー・キャニオンのインクレディブル・レッドが税抜きだと1000円台という特価になっています。輸入元の希望小売価格から27%引き。

ピーチー・キャニオンはパソ・ロブレスの老舗ワイナリー。パソ・ロブレスの秀逸なワインはハイウェイ101より西側で作られると言われていますが、ピーチー・キャニオンの自社畑は101より西のウィロウ・クリーク、 アデレーダ、 テンプルトン・ギャップの3つのAVAにすべて含まれています。このインクレディブル・レッドも大半のブドウが自社畑。ピーチー・キャニオンの中ではエントリー的なワインですが、作りに手抜きはありません。

2019ヴィンテージはジンファンデル75%、プティ・シラー13%、アリカンテ・ブシェ9%、クーノワーズ3%。カシスやブラックベリーの黒果実の風味にラズベリーやレッド・チェリーといった赤果実も加わります。スパイシーさもありやや濃い系の美味しいワインです。酸もきれいでバランスよくできています。

昨今、このレベルでこの価格はありがたいです。

Date: 2023/0206 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ベラ・オークス(Bella Oaks)というと多くの人はハイツ・セラー(Heitz Cellar)のワインを思い浮かべると思いますが、ハイツが作っていたのは2009年まで。2010年にアート・ディレクターとして知られていたスザンヌ・ディール・ブースがこの畑を購入しました。

その後、ブースはデイビッド・エイブリューの指導で畑を4年かけて植え替えました。このころのブドウはスタッグリン(Staglin)に売られ、ブース・ベラ・オークスという畑名でボトル詰めされていました。

2015年にはブースは隣接する畑(以前はベラ・オークスの一部だった)を買収して、そこも植え替えをしています。

ブースは独立したワイナリーとしてベラ・オークスを再構築することにし、新進気鋭のワインメーカー、ナイジェル・キンズマンとコンサルティング・ワインメーカーのミシェル・ロランを雇いました。

2018年がそのデビュー・ヴィンテージとなりますが、ワイン・アドヴォケイトで当時担当していたリサ・ペロッティ・ブラウンは「顎が落ちる(jaw dropping)」と98+の高得点を献上、ヴィナスのアントニオ・ガッローニも「たまげた(mind blowing)」として98点を付けています。

日本にももちろん初上陸ですが、米国の価格の300ドルと比べたらほぼ為替プラスアルファくらいでお買い得です。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ベラ・オークス [2018]750ml (赤ワイン)
価格:43780円(税込、送料別) (2023/2/6時点)