27回目となるプルミエ・ナパヴァレー・オークションが2月25日に開催され、総額340万ドルの落札額となりました。2022年の270万ドルと比べて2割も上がっています。
Wine-Searcherの記事(Napa Cabs go Big at Auction | Wine-Searcher News & Features)によると、1本あたりの平均落札額は286ドルで、2015年の実績に並ぶ高さだったとのこと。また、いくつかの超高額落札によって平均が上がったのではなく全体の底上げがあったようです。例えば1000ドルを超えたワインは3つだけでしたが、2014年には12、2020年にも5本ありました。500ドルを超えたワインも154ロット中16本しかなかったとのことです。大半のワインが300ドル近辺で落札されたことになります。
プルミエ・ナパヴァレーはプロ向けのオークションで、このオークション専用に作られたワインだけがオークションにかけられます。一般向けのオークションのように旅行や食事などがセットになったロットはありません。
落札額のトップ3は以下のワインでした。
1. Brand Napa Valley See Clone Cabernet Sauvignon 2021, $1667
2. Tor The Centennial Beckstoffer To Kalon Oakville Cabernet Sauvignon 2021, $1333
3. Shafer Vineyards John's Upper Seven Napa Valley Cabernet Sauvignon 2021, $1000
オークションからも、ようやくコロナの時代が終わって新たな時代が始まりつつあることを感じます。
荒天の多いカリフォルニアの今年の冬ですが、2月24日から25日には各地で雪が積もり、ぶどう畑も一面雪に埋もれたところが多数出ました。水曜日頃まで雪や雨、嵐に注意が必要とのことです。カリフォルニアの南北をつなぐインターステート5も積雪で通行止めになり、ロスアンゼルス周辺では洪水で通行止めになっているところもあります。
写真はナパのハウエルマウンテン。Pina Vineyard Managementという畑の管理会社がアップした写真です。
ソノマのナイツヴァレーにあるピーター・マイケルの畑も雪に埋もれています。
カレラです。
サンタ・クルーズ・マウンテンズのリッジも雪です。
温暖なパソ・ロブレスでも、少し積もったようです。
サンタ・バーバラではさすがに降らなかったようですが、山の方は積もっています。
写真はナパのハウエルマウンテン。Pina Vineyard Managementという畑の管理会社がアップした写真です。
ソノマのナイツヴァレーにあるピーター・マイケルの畑も雪に埋もれています。
It's a snow day on Mt. Harlan! Vineyard Supervisor, John Nolan, snapped these this morning. The vines are still dormant and the snow will have no impact, but will take the water in any shape or form. pic.twitter.com/B1ayGK9hVh
— Calera Wine Company (@CaleraWine) February 23, 2023
カレラです。
サンタ・クルーズ・マウンテンズのリッジも雪です。
温暖なパソ・ロブレスでも、少し積もったようです。
Snow in Paso! ❄️ #PasoRobles pic.twitter.com/20ua9XLlC0
— Glunz Family Winery (@glunzwinery) February 25, 2023
サンタ・バーバラではさすがに降らなかったようですが、山の方は積もっています。
Santa Barbara’s having a snow moment. #SantaBarbara pic.twitter.com/0D5N0lBuxw
— Michelle O’Connor (@Mq2Oco) February 26, 2023
仏ボルドーのワイン流通システム「ラ・プラス・ドゥ・ボルドー」を経由して輸出するワイナリーが少しずつ増えています。ただ、ラ・プラスを使えば成功が約束されているかというとそういうわけではなく、戦略が必要だという記事が出ていました(What does it take for non-Bordeaux wines to succeed on La Place? - The Drinks Business)。
私が把握している、ラ・プラスを使って輸出しているカリフォルニアワインは30種程度。このほかオレゴンのボー・フレールもラ・プラスで出しています。
ワイナリーがラ・プラスを使って輸出するのは、世界中のワインコレクターにリーチできる能力に期待するのと、取引するワインに与えられる名声を利用したいという2つの理由があります。ですが、すべてのワインがうまくいくわけではなく2021年秋にラ・プラスを利用するようになった非ボルドーワイン12種のうち4つはうまくいった(取引価格が上昇した)ものの、4つは変わらず、4つは取引価格が下がってしまったといいます。ちなみに取引価格が下がった4つの中にはオレゴンのボー・フレールと、カリフォルニアのピーター・マイケル・レ・パヴォも含まれています。
うまくいくワインにはいくつかの条件があるようです。例えばボルドーとの親和性。オーパス・ワンのようにボルドー資本が入っているワイナリーは受け入れられやすいようです。希少性も求められるケースがあるようです。例えばペンフォールズは有名なグランジではなくBin 169というクナワラ産のワインをラ・プラスで出しています。シャンパーニュ・フィリポナの単一畑のキュヴェのトリオ、クロ・デ・ゴワス、クロ・デ・ゴワス「ジュスト・ロゼ」、クロ・デ・ゴワスLV(ロング・ヴィエリスマン)といったワインも希少性が売り物のようです。
ワイナリーによるサポートも重要です。チリのチャドウィックとセーニャは10年ほどラ・プラスを使っており、うまく行っています。「私たちは、世界中で最も有名で独占的な高級ワインのテイスティング、見本市、イベントに常に参加しています」と、その戦略を説明しています。こうやってプレゼンスをアピールすることがラ・プラスで取引されたり、その後の輸出先でワインが売られるには必要です。
前にも記事で書きましたが、日本のインポーターにとっては、ラ・プラスで輸入するワインについてマーケティング費用をかけて宣伝するモチベーションはあまりありません。独占的にそのワインを輸入するわけではないので、マーケティング費用を使っても他社を利するだけかもしれないからです。ワイナリー側がそこまでの覚悟を持って取り組んでいるのかどうかは気になるところです。
私が把握している、ラ・プラスを使って輸出しているカリフォルニアワインは30種程度。このほかオレゴンのボー・フレールもラ・プラスで出しています。
ワイナリーがラ・プラスを使って輸出するのは、世界中のワインコレクターにリーチできる能力に期待するのと、取引するワインに与えられる名声を利用したいという2つの理由があります。ですが、すべてのワインがうまくいくわけではなく2021年秋にラ・プラスを利用するようになった非ボルドーワイン12種のうち4つはうまくいった(取引価格が上昇した)ものの、4つは変わらず、4つは取引価格が下がってしまったといいます。ちなみに取引価格が下がった4つの中にはオレゴンのボー・フレールと、カリフォルニアのピーター・マイケル・レ・パヴォも含まれています。
うまくいくワインにはいくつかの条件があるようです。例えばボルドーとの親和性。オーパス・ワンのようにボルドー資本が入っているワイナリーは受け入れられやすいようです。希少性も求められるケースがあるようです。例えばペンフォールズは有名なグランジではなくBin 169というクナワラ産のワインをラ・プラスで出しています。シャンパーニュ・フィリポナの単一畑のキュヴェのトリオ、クロ・デ・ゴワス、クロ・デ・ゴワス「ジュスト・ロゼ」、クロ・デ・ゴワスLV(ロング・ヴィエリスマン)といったワインも希少性が売り物のようです。
ワイナリーによるサポートも重要です。チリのチャドウィックとセーニャは10年ほどラ・プラスを使っており、うまく行っています。「私たちは、世界中で最も有名で独占的な高級ワインのテイスティング、見本市、イベントに常に参加しています」と、その戦略を説明しています。こうやってプレゼンスをアピールすることがラ・プラスで取引されたり、その後の輸出先でワインが売られるには必要です。
前にも記事で書きましたが、日本のインポーターにとっては、ラ・プラスで輸入するワインについてマーケティング費用をかけて宣伝するモチベーションはあまりありません。独占的にそのワインを輸入するわけではないので、マーケティング費用を使っても他社を利するだけかもしれないからです。ワイナリー側がそこまでの覚悟を持って取り組んでいるのかどうかは気になるところです。
ナパヴァレーの歴史を学ぶときに必ず登場するのがボーリュー・ヴィンヤード(Beaulieu Vineyards)、略してBV。特にロシアから1938年にワインメーカーとしてやってきたアンドレ・チェリチェフは1960年代から70年代のカリフォルニアワインの勃興期に、ナパのほとんどのワインメーカーにとってメンター的存在として、その成長を支えました。
2000年ころまではナパでもトップクラスのワイナリーとして君臨してきましたが、その後は決して落ちぶれたわけではないのですが、多くの新興ワイナリーの影に隠れて「昔の名前で出ています」的なあまり目立たないワイナリーになってしまっていました。
この状態を変えたのが2017年にワインメーカーに就任したトレヴァー・ダーリング。約120年のBVの歴史の中でわずか5人目のワインメーカーです。2018年にはフラッグシップのジョルジュ・ド・ラ・トゥール・プライベート・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨンがヴィナスで98点を取るなど早くも頭角を表していましたが、2019年の同ワインはジェームズ・サックリングが100点を付け、年間のトップワインとしました。さらにはナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨン2019がワインスペクテーターの2022年のコスパワイン1位を取るなど急速に注目を集める存在になっています。
2019年のジョルジュ・ド・ラ・トゥール・プライベート・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨンは一部に樽発酵を使うというのがユニークなところ。赤ワインで樽発酵はかなり珍しいと思います。プティ・ヴェルドが9%入るにも珍しいです。後の91%はカベルネ・ソーヴィニヨン。
このレベルのワインとしては2万円台で買えるのも嬉しいところ。
ウメムラです。
柳屋です。
2000年ころまではナパでもトップクラスのワイナリーとして君臨してきましたが、その後は決して落ちぶれたわけではないのですが、多くの新興ワイナリーの影に隠れて「昔の名前で出ています」的なあまり目立たないワイナリーになってしまっていました。
この状態を変えたのが2017年にワインメーカーに就任したトレヴァー・ダーリング。約120年のBVの歴史の中でわずか5人目のワインメーカーです。2018年にはフラッグシップのジョルジュ・ド・ラ・トゥール・プライベート・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨンがヴィナスで98点を取るなど早くも頭角を表していましたが、2019年の同ワインはジェームズ・サックリングが100点を付け、年間のトップワインとしました。さらにはナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨン2019がワインスペクテーターの2022年のコスパワイン1位を取るなど急速に注目を集める存在になっています。
2019年のジョルジュ・ド・ラ・トゥール・プライベート・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨンは一部に樽発酵を使うというのがユニークなところ。赤ワインで樽発酵はかなり珍しいと思います。プティ・ヴェルドが9%入るにも珍しいです。後の91%はカベルネ・ソーヴィニヨン。
このレベルのワインとしては2万円台で買えるのも嬉しいところ。
ウメムラです。
柳屋です。
ナパヴァレー・ヴィントナーズが日本ソムリエ協会の協力で開催したNAPA VALLEY WINE EXPERTの2次試験が行われました。エデュケーター部門で2次試験に進んでいたのですが、幸いにもNAPA VALLEY WINE BEST EDUCATOR 2023に選ばれました。これから2年間、ナパヴァレー・ヴィントナーズの教育・普及活動に携わります(本業はそのままです、念のため)。
2次試験は午前11時から午後3時半ころまでとかなりの長丁場でブラインド・テイスティングや面談、ディスカッション、筆記試験、ペアリング・ワークと様々な課題をこなしました。なかなかハードでした。
ソムリエ部門ではパレスホテル東京の山田琢馬さんがNAPA VALLEY WINE BEST SOMMELIER AMBASSADOR 2023に選ばれました。山田さんはペアリング・ワーク(課題のワインに合うカナッペを用意されている数十の食材や調味料を使い、さらに与えられたテーマに合う形で作る)でも1位を取って見事2冠となりました。
また、1次試験の成績最優秀者としてエデュケーター部門に参加されていた日原靖之さんが表彰されました。
せっかくだからナパのスパークリングで乾杯したいと思い、会場からほど近い柳屋でドメーヌ・カーネロスのBrutを購入、副賞としていただいたマグナムボトルのワインや額入りの賞状とえっちらおっちら持ち帰りました。
このサイトをご覧いただいた皆様、試飲会やセミナーなどで貴重な経験をいつもいただくインポーターの方々、セミナーを受講していただいた方々、SNSでお相手していただいている方々、皆様のおかげで取れたものだと思います。引き続きよろしくお願いします。
2次試験は午前11時から午後3時半ころまでとかなりの長丁場でブラインド・テイスティングや面談、ディスカッション、筆記試験、ペアリング・ワークと様々な課題をこなしました。なかなかハードでした。
ソムリエ部門ではパレスホテル東京の山田琢馬さんがNAPA VALLEY WINE BEST SOMMELIER AMBASSADOR 2023に選ばれました。山田さんはペアリング・ワーク(課題のワインに合うカナッペを用意されている数十の食材や調味料を使い、さらに与えられたテーマに合う形で作る)でも1位を取って見事2冠となりました。
また、1次試験の成績最優秀者としてエデュケーター部門に参加されていた日原靖之さんが表彰されました。
せっかくだからナパのスパークリングで乾杯したいと思い、会場からほど近い柳屋でドメーヌ・カーネロスのBrutを購入、副賞としていただいたマグナムボトルのワインや額入りの賞状とえっちらおっちら持ち帰りました。
このサイトをご覧いただいた皆様、試飲会やセミナーなどで貴重な経験をいつもいただくインポーターの方々、セミナーを受講していただいた方々、SNSでお相手していただいている方々、皆様のおかげで取れたものだと思います。引き続きよろしくお願いします。
ワイン評論家によるナパの2020年のレポートが相次いで発表されています。発表された中で購読しているのはVinousだけなので、Vinousのアントニオ・ガッローニによる評価と、短いレポートを公開しているジェームズ・サックリングの記事(Finding Clairity in Napa Valley's 2020 Vintage)を参考に、2020年のナパ(のカベルネ・ソーヴィニヨンやそのブレンド)を評論家がどう見ているかを簡単にまとめたいと思います。
写真はナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの会長に就任したアンディ・エリクソン
先日、オーパス・ワンが2020年を発売しないという記事を書きました。2020年9月27日に発生した「グラス・ファイアー」という山火事の影響で、多くのブドウを収穫できなかったのが理由です。
コルギンやシェーファーなど、その前から2020年を作らないと公表していたワイナリーも少なからずあります。また、今回のレポートを読むと、ワインは作ったけど、販売を見送るという判断をしたワイナリーも結構あるようです。例えばクインテッサは昨年私が聞いたときには2020年のワインも作っているという話でしたが、今回のレポートでは「火事の影響で販売しない」だけ書かれていました。先日紹介した新生ベラ・オークスのワインメーカーであるナイジェル・キンズマンも、いくつかのワインを醸造したが販売できるクオリティではないと判断した(おそらくこれは自身のキンズマン・イーズについて語ったものです)としています。
特に、ナパの東側、ヴァカ山脈側は煙の被害が大きく、プリチャード・ヒルやスタッグス・リープの2020年のカベルネはほぼゼロと言ってもいいくらいだとのこと。ナパ全体では少なくとも数百のブランドが2020年を販売しないことにしたようです。
2021年2月に発表されたクラッシュ・レポートによると2020年のナパのカベルネ・ソーヴィニヨンの収穫は前年より43%も減っていました。醸造しても販売を行わないことにしたものがかなりありそうなことを考えると半分以下に減っていることも考えられるかもしれません。
一方、2020年を売ることを選んだワイナリーももちろんたくさんあるわけです。有名どころでいうとスクリーミング・イーグルやハーラン・エステートは2020年を発売します。
特に興味深いのがハーラン・エステートの動きです。ハーラン・エステートが2020年のワインを作った、あるいは作れたのは収穫時期を大幅に前倒ししたからでした。ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンは9月中旬くらいから10月末くらいの間に収穫するのが普通です。オーパス・ワンなど1カ月以上かけて収穫を行いますし、いいワイナリーほど、収穫期間を長く持つ傾向があります。
ハーランは2017年(これも火事の影響が大きかった年でした)以降、収穫時期を早める傾向が出ており8月から収穫を始めることもあるそうです。2020年は火事のために通常よりもさらに早く収穫したわけですが、結果としてワインによりフレッシュさが出たことに満足して2021年以降も早い時期での収穫を行っているそうです。
ハーラン、ボンド、プロモントリーのハーラン・ファミリーのジェームズ・サックリングによる2020年の評価は「ほとんどが99か98点」だったとのこと。ヴィナスでの評価は例年と比べると低いようですが、これがどのように熟成して将来の評価がどうなるかは、現時点ではだれもわからないというのが本音のようです。ヴィナスでの評価が将来上ブレしたり、逆に下ったりする可能性もないとは言えません。
他の2020年を発売する決断をしたワイナリーの中にも、収穫時期を早めにしたところはかなりありそうです。逆に、早めに収穫したから火事の被害を少なく抑えられたといった方がいいのかもしれません。
ヴィナスでの2020年のワインの評価は全体として例年より低めであることは否めないと思います。ワインのフレッシュなスタイルが低めの評価につながったという面もあるかもしれません。
思い出すのは1998年のヴィンテージで、大豊作でクオリティも高いとされた97年に対し、98年はエルニーニョの影響で涼しく雨も多く、ナパでは珍しくブドウが完熟しない年でした。評論家の評価もかなり低く抑えられましたが、現在ではむしろ98年の方が97年よりも熟成すると美味しいという評価もあります。2020年のフレッシュなスタイルが将来どう評価されるかはわからないというのが正直なところで、98年のように評価が変わる可能性もあるでしょう。
いろいろ書きましたが、まとめると
・2020年のナパのカベルネは、おそらく半分くらいに減っている
・作られたカベルネは、やや軽いスタイルのものが多いかもしれない
・熟成したときにこのヴィンテージがどう評価されるかは神のみぞ知る
というのが現在の私の見方です。まだ実際に自分で飲んでいるわけではないので、あくまで評論家の評価を参考にしてということですが。
写真はナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの会長に就任したアンディ・エリクソン
先日、オーパス・ワンが2020年を発売しないという記事を書きました。2020年9月27日に発生した「グラス・ファイアー」という山火事の影響で、多くのブドウを収穫できなかったのが理由です。
コルギンやシェーファーなど、その前から2020年を作らないと公表していたワイナリーも少なからずあります。また、今回のレポートを読むと、ワインは作ったけど、販売を見送るという判断をしたワイナリーも結構あるようです。例えばクインテッサは昨年私が聞いたときには2020年のワインも作っているという話でしたが、今回のレポートでは「火事の影響で販売しない」だけ書かれていました。先日紹介した新生ベラ・オークスのワインメーカーであるナイジェル・キンズマンも、いくつかのワインを醸造したが販売できるクオリティではないと判断した(おそらくこれは自身のキンズマン・イーズについて語ったものです)としています。
特に、ナパの東側、ヴァカ山脈側は煙の被害が大きく、プリチャード・ヒルやスタッグス・リープの2020年のカベルネはほぼゼロと言ってもいいくらいだとのこと。ナパ全体では少なくとも数百のブランドが2020年を販売しないことにしたようです。
2021年2月に発表されたクラッシュ・レポートによると2020年のナパのカベルネ・ソーヴィニヨンの収穫は前年より43%も減っていました。醸造しても販売を行わないことにしたものがかなりありそうなことを考えると半分以下に減っていることも考えられるかもしれません。
一方、2020年を売ることを選んだワイナリーももちろんたくさんあるわけです。有名どころでいうとスクリーミング・イーグルやハーラン・エステートは2020年を発売します。
特に興味深いのがハーラン・エステートの動きです。ハーラン・エステートが2020年のワインを作った、あるいは作れたのは収穫時期を大幅に前倒ししたからでした。ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンは9月中旬くらいから10月末くらいの間に収穫するのが普通です。オーパス・ワンなど1カ月以上かけて収穫を行いますし、いいワイナリーほど、収穫期間を長く持つ傾向があります。
ハーランは2017年(これも火事の影響が大きかった年でした)以降、収穫時期を早める傾向が出ており8月から収穫を始めることもあるそうです。2020年は火事のために通常よりもさらに早く収穫したわけですが、結果としてワインによりフレッシュさが出たことに満足して2021年以降も早い時期での収穫を行っているそうです。
ハーラン、ボンド、プロモントリーのハーラン・ファミリーのジェームズ・サックリングによる2020年の評価は「ほとんどが99か98点」だったとのこと。ヴィナスでの評価は例年と比べると低いようですが、これがどのように熟成して将来の評価がどうなるかは、現時点ではだれもわからないというのが本音のようです。ヴィナスでの評価が将来上ブレしたり、逆に下ったりする可能性もないとは言えません。
他の2020年を発売する決断をしたワイナリーの中にも、収穫時期を早めにしたところはかなりありそうです。逆に、早めに収穫したから火事の被害を少なく抑えられたといった方がいいのかもしれません。
ヴィナスでの2020年のワインの評価は全体として例年より低めであることは否めないと思います。ワインのフレッシュなスタイルが低めの評価につながったという面もあるかもしれません。
思い出すのは1998年のヴィンテージで、大豊作でクオリティも高いとされた97年に対し、98年はエルニーニョの影響で涼しく雨も多く、ナパでは珍しくブドウが完熟しない年でした。評論家の評価もかなり低く抑えられましたが、現在ではむしろ98年の方が97年よりも熟成すると美味しいという評価もあります。2020年のフレッシュなスタイルが将来どう評価されるかはわからないというのが正直なところで、98年のように評価が変わる可能性もあるでしょう。
いろいろ書きましたが、まとめると
・2020年のナパのカベルネは、おそらく半分くらいに減っている
・作られたカベルネは、やや軽いスタイルのものが多いかもしれない
・熟成したときにこのヴィンテージがどう評価されるかは神のみぞ知る
というのが現在の私の見方です。まだ実際に自分で飲んでいるわけではないので、あくまで評論家の評価を参考にしてということですが。
柳屋でハロウ・リッジのプティ・シラー2015が1000円台で出ています。
プティ・シラーは最近気になっている品種の一つ。カリフォルニア「固有」の品種というと、「ジンファンデル」と考えるのが一般的だと思いますし、実際「ヘリテージ・グレープ」といった言われ方もします。ただ、ジンファンデルはイタリアのプリミティーボと同一品種であることが分かっていますから、カリフォルニアでないと飲めない品種かというと、そんなことはないですよね。もちろん、カリフォルニアの古木のジンファンデルやフィールド・ブレンドのワインなどはイタリアのプリミティーボとだいぶ違うオリジナルのワインといっていいと思っていますが。
一方、プティ・シラーはシラーとプルールサンという品種のかけ合わせで、1880年代に南仏のデュリフ博士が作った品種であることが判明しています。品種の正式名はデュリフ(Durif)です。ちなみに米国でのつづりはPetite Sirahで、プティトゥ・シラーと発音しますが、日本ではプティ・シラーと書くことが多くなっています。Sirahの綴はSyrahともShirazとも違うのでややこしいですね。
さて、この品種が米国に渡ったのは1884年と開発されてすぐのことですが、本国のフランスではほとんど造られていない品種となっています。オーストラリアではそこそこの量が植えられているようですが、ジンファンデル以上に米国以外ではほとんど造られていない品種となっています。一方、知名度ということでは、ジンファンデルはカリフォルニアワインファンでなくても聞いたことはある人が多いと思いますが、プティ・シラーはほとんど知られていません。そういう意味ではもっと知られてほしいと思っています。
余談ですが、米国におけるプティ・シラーの普及団体は「PS I love you」という名前です。自分的には「PS I love you」といえばビートルズなのですが、宮本浩次さんなども同じタイトルの曲を出しているようですね。
前置きが長くなりました。このハロウ・リッジというワイナリーについては全然知らなかったのですが、Two Buck Chuckなどと同じブロンコ・ワインのグループが作っているワインです。コスパワインでは定評のあるグループです。日本だとカルディで売っている「レッドウッド」を作っているところというとわかりやすいでしょうか。
プティ・シラーはとても濃厚な味わいが特徴で、強固なタンニンを持っています。そのためジンファンデルなどに少量ブレンドする形で使われるのが主流です(ジンファンデルはそれ自体は色づきはあまりよくないので、プティ・シラーを入れることでワインの色を濃くする狙いがあります)。
というわけで米国でもメジャーとはいえない品種であり、プティ・シラー単体で飲みやすいワインというとなかなか見つからない、しかも若いヴィンテージ以外のプティ・シラーはそもそもほとんど見つからないというのが現状です。
そういう意味でもこのワイン、1000円台でちょっと熟成した2015年のワインというのはなかなか貴重な位置付けです。
柳屋のセールでは2022年の桜・アワードで「ダイヤモンド・トロフィ」を受賞したスミス・アンド・フックの「プロプライエタリー・レッド」(プティ・シラーが37%で一番多い)もあるので、飲み比べてみるのもいいでしょう。
あるいはオッドロット(モントレーのコスパ王シャイドのブランドの一つです)のレッド・ブレンドもプティ・シラーを使って、実においしく、コスパも高く作っているので、そちらとの比較もいいと思います。
プティ・シラーは最近気になっている品種の一つ。カリフォルニア「固有」の品種というと、「ジンファンデル」と考えるのが一般的だと思いますし、実際「ヘリテージ・グレープ」といった言われ方もします。ただ、ジンファンデルはイタリアのプリミティーボと同一品種であることが分かっていますから、カリフォルニアでないと飲めない品種かというと、そんなことはないですよね。もちろん、カリフォルニアの古木のジンファンデルやフィールド・ブレンドのワインなどはイタリアのプリミティーボとだいぶ違うオリジナルのワインといっていいと思っていますが。
一方、プティ・シラーはシラーとプルールサンという品種のかけ合わせで、1880年代に南仏のデュリフ博士が作った品種であることが判明しています。品種の正式名はデュリフ(Durif)です。ちなみに米国でのつづりはPetite Sirahで、プティトゥ・シラーと発音しますが、日本ではプティ・シラーと書くことが多くなっています。Sirahの綴はSyrahともShirazとも違うのでややこしいですね。
さて、この品種が米国に渡ったのは1884年と開発されてすぐのことですが、本国のフランスではほとんど造られていない品種となっています。オーストラリアではそこそこの量が植えられているようですが、ジンファンデル以上に米国以外ではほとんど造られていない品種となっています。一方、知名度ということでは、ジンファンデルはカリフォルニアワインファンでなくても聞いたことはある人が多いと思いますが、プティ・シラーはほとんど知られていません。そういう意味ではもっと知られてほしいと思っています。
余談ですが、米国におけるプティ・シラーの普及団体は「PS I love you」という名前です。自分的には「PS I love you」といえばビートルズなのですが、宮本浩次さんなども同じタイトルの曲を出しているようですね。
前置きが長くなりました。このハロウ・リッジというワイナリーについては全然知らなかったのですが、Two Buck Chuckなどと同じブロンコ・ワインのグループが作っているワインです。コスパワインでは定評のあるグループです。日本だとカルディで売っている「レッドウッド」を作っているところというとわかりやすいでしょうか。
プティ・シラーはとても濃厚な味わいが特徴で、強固なタンニンを持っています。そのためジンファンデルなどに少量ブレンドする形で使われるのが主流です(ジンファンデルはそれ自体は色づきはあまりよくないので、プティ・シラーを入れることでワインの色を濃くする狙いがあります)。
というわけで米国でもメジャーとはいえない品種であり、プティ・シラー単体で飲みやすいワインというとなかなか見つからない、しかも若いヴィンテージ以外のプティ・シラーはそもそもほとんど見つからないというのが現状です。
そういう意味でもこのワイン、1000円台でちょっと熟成した2015年のワインというのはなかなか貴重な位置付けです。
柳屋のセールでは2022年の桜・アワードで「ダイヤモンド・トロフィ」を受賞したスミス・アンド・フックの「プロプライエタリー・レッド」(プティ・シラーが37%で一番多い)もあるので、飲み比べてみるのもいいでしょう。
あるいはオッドロット(モントレーのコスパ王シャイドのブランドの一つです)のレッド・ブレンドもプティ・シラーを使って、実においしく、コスパも高く作っているので、そちらとの比較もいいと思います。
いつもお世話になっているしあわせワイン倶楽部の木之下夫妻と、しあわせワイン倶楽部に寄稿している山本香奈さん、私で食事に行きました。かれこれ2年近く寄稿していますが、こうやって4人で会うのは初めてです。
スパークリングは私のリクエストで、飲んだことがなかったウルトラマリンを持ってきていただきました。しかもロゼ。ヴィンテージは2011年です。
ロゼのスパークリングとしても、かなり濃い色です。香りはいちごジャムのよう。甘やかで蠱惑的な香りが広がります。泡の出方も素晴らしい。飲んでみると、意外と甘やかさは感じず、むしろスッキリと後味に爽やかな余韻が残るほど。これは素晴らしいですね。スパークリング・ワインにはそれほど思い入れを持っていない方なのですが、これは本当に魅力的なワインでした。そして食事とのペアという点でもオールマイティ感があります。中華の前菜や北京ダックにもしっかりと合ってきました。
ちなみにVinousによるとドサージュは6g/リットルだそうです。香奈さんによるとドサージュの甘みは余韻の最後まで甘さとして残るそうですが、果実の甘味はそれがないそうです。たしかにこのウルトラマリンも香りの甘やかさに対して余韻はとてもすっきりしていました。これもまた勉強になりました。
デゴルジュマンは2015年。同じ2011年のスパークリングでももっと最近にデゴルジュマンしたものもあるようです。。
コングスガードのセカンドワイン「キングス・ファーム」のシャルドネ2011年。キングス・ファームは赤しか飲んだことはなく白は初めてでした。ややまったり系のシャルドネで、コングスガードっぽさは意外と感じられなかったですが、いいシャルドネでした。
私が持っていったのはブリュワー・クリフトンのピノ・ノワール「メルヴィル」2001。自宅セラーの湿気が多いためラベルがむちゃくちゃ年季入っています。
これもきれいに熟成していていいピノ・ノワールでした。アルコール度数が15.6%もあるのですが、それを感じさせないバランスの良さ。美味しくてずっと飲んでいたいピノ・ノワール。
最後はナパのダン1994。ナパ・ヴァレーものですが、大部分がハウエル・マウンテンのブドウです。最近はちょっと作りが変わってきているという話もありますが、このダンも良かったです。バカ山脈のカベルネらしい酸の豊かさと果実味がまだ感じられます。
本当に素晴らしいワインばかりで堪能しました。
スパークリングは私のリクエストで、飲んだことがなかったウルトラマリンを持ってきていただきました。しかもロゼ。ヴィンテージは2011年です。
ロゼのスパークリングとしても、かなり濃い色です。香りはいちごジャムのよう。甘やかで蠱惑的な香りが広がります。泡の出方も素晴らしい。飲んでみると、意外と甘やかさは感じず、むしろスッキリと後味に爽やかな余韻が残るほど。これは素晴らしいですね。スパークリング・ワインにはそれほど思い入れを持っていない方なのですが、これは本当に魅力的なワインでした。そして食事とのペアという点でもオールマイティ感があります。中華の前菜や北京ダックにもしっかりと合ってきました。
ちなみにVinousによるとドサージュは6g/リットルだそうです。香奈さんによるとドサージュの甘みは余韻の最後まで甘さとして残るそうですが、果実の甘味はそれがないそうです。たしかにこのウルトラマリンも香りの甘やかさに対して余韻はとてもすっきりしていました。これもまた勉強になりました。
デゴルジュマンは2015年。同じ2011年のスパークリングでももっと最近にデゴルジュマンしたものもあるようです。。
コングスガードのセカンドワイン「キングス・ファーム」のシャルドネ2011年。キングス・ファームは赤しか飲んだことはなく白は初めてでした。ややまったり系のシャルドネで、コングスガードっぽさは意外と感じられなかったですが、いいシャルドネでした。
私が持っていったのはブリュワー・クリフトンのピノ・ノワール「メルヴィル」2001。自宅セラーの湿気が多いためラベルがむちゃくちゃ年季入っています。
これもきれいに熟成していていいピノ・ノワールでした。アルコール度数が15.6%もあるのですが、それを感じさせないバランスの良さ。美味しくてずっと飲んでいたいピノ・ノワール。
最後はナパのダン1994。ナパ・ヴァレーものですが、大部分がハウエル・マウンテンのブドウです。最近はちょっと作りが変わってきているという話もありますが、このダンも良かったです。バカ山脈のカベルネらしい酸の豊かさと果実味がまだ感じられます。
本当に素晴らしいワインばかりで堪能しました。
アイコニックワイン・ジャパンの試飲会から美味しかったワイン、コスパの高いワインを紹介します。
フィールド・レコーディングスはパソ・ロブレスなどセントラル・コーストの様々な畑からコスパの高いワインを作っているナチュラル系の生産者。写真の「サラダ・デイズ」はシャルドネ、シュナン・ブラン、コロンバールからなるペット・ナットタイプのスパークリング。アルコール度数は9.9%とかなり低くなっています。さっぱりとしてフレッシュな味わいはサラダの名前がぴったりです。希望小売価格2800円(税抜き、以下同)。
ナパでコスパの高いワインを作るカモミのソーヴィニヨン・ブラン(2700円)。フレッシュでほの甘さがあります。
モントレーのモーガンの「ダブルLヴィンヤード」リースリング(4400円)。いやこれ、むちゃうまです。値段はちょっと高いですが。オフドライくらいの甘み。アルコール度数11%。ダブルLはモントレー地区で最初に有機栽培の認証を得た畑。
グラウンドワークのグルナッシュ・ブラン(3300円)。これもすごくいいです。酸がとてもきれいで旨味が乗っています。グルナッシュ・ブランというややマイナーな品種ですが侮れません。是非試してほしいワイン。
老舗ワイナリー「ファイアーストーン」のシャルドネ。バランスよくコスパ抜群です。2200円。
ジアポーザのシャルドネ(3200円)。これも非常にバランスよく美味しいです。
フィールド・レコーディングスの「スキンズ」(3200円)は米国で一番売れているオレンジワイン。オレンジワインというとファンキーな味わいのものを想像するかもしれませんが、これはとてもきれいな作りで旨味があります。非常にいいです。
サンタ・バーバラの銘醸畑ビエン・ナシードのオーナーによる「バラード・レーン」のピノ・ノワール。フルボディでパワフル系のピノ・ノワールなので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、これはこれで魅力的です。2400円は格安。
ストルプマンがカーボニック・マセレーション(ボージョレ・ヌーヴォーの発酵で使われる方法)で作るフレッシュな味わいのワイン3つです。一番右の「ラブ・ユー・バンチ」はサンジョベーゼ、中央の「GGT(Grenache Gamay Trousseau)」はその名の通り3種のブドウのブレンド、左の「クランチー・ロースティ・レインボー」はシラー中心でヴィオニエが少し入っています。いずれも4400円。フレッシュさはラブ・ユー・バンチ、こくうまはGGT、パワフルさではクランチー・ロースティ・レインボーがいいです。
グラウンドワークのムールヴェードル。4000円は高く感じるかもしれませんが、実際にはかなりコスパの高いワイン。それだけの品質です。ミネラル感と味わいの深みがすばらしい。
ファブリストはフィールド・レコーディングスとグラウンドワークのオーナーがタッグを組んで作るブランド。どれもフレッシュな味わいで今どきなタイプですが、その中でもこのジンファンデルは素晴らしいです。ジンファンデルの概念を覆すようなワイン。3200円。
大人気の「689」のワイナリーが作るレッドブレンド「キラードロップ」(4200円)。カリフォルニアワインらしい果実味の豊かさに複雑さもあって文句なく美味しいワイン。
注目のワイナリー「レッジ」のシラーブレンド「MCAキュヴェ」。パワフルでフルボディのシラー。とてもいいです。7500円は格安。
グラウンドワークのシラー(4000円)。落ち着いた味わいで美味しいです。
ストルプマンのカーボニック・マセレーションによるシラー「パラマリア」。前に紹介したラブ・ユー・バンチなどはフレッシュでいかにも今風の味わいですが、こちらは果実味のきれいさはありますが、言われないとカーボニック・マセレーションだとは気が付かないかもしれません。よくできたシラー(4200円)。
カモミのメルロー(3100円)。100%ナパ・ヴァレーのブドウを使用。柔らかくメルローの良さが出たワイン。とてもいいです。
ジアポーザのカベルネ・ソーヴィニヨン(3200円)。バランスよくコスパ高いです。
ファブリストのカベルネ・ソーヴィニヨン。すばらしくエレガントで味わいに深みもあります(3600円)。
ナパの開拓が始まった年にちなんだ「Napa 1847」のカベルネ・ソーヴィニヨン。オークヴィルらしい果実の濃厚さと深みを持つ素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨン。5500円。
上の1847がオークヴィルなのに対し、こちらの「ラザフォード・ロード」はナパのラザフォードのブドウを使ったカベルネ・ソーヴィニヨン。「ラザフォード・ダスト」と言われるようなラザフォードのちょっと土臭いような味わい(それが何なのかは常に議論になるところではありますが)を感じられるワイン。洗練のオークヴィルに対して、無骨なラザフォード。どちらもいいワインです。
フィールド・レコーディングスはパソ・ロブレスなどセントラル・コーストの様々な畑からコスパの高いワインを作っているナチュラル系の生産者。写真の「サラダ・デイズ」はシャルドネ、シュナン・ブラン、コロンバールからなるペット・ナットタイプのスパークリング。アルコール度数は9.9%とかなり低くなっています。さっぱりとしてフレッシュな味わいはサラダの名前がぴったりです。希望小売価格2800円(税抜き、以下同)。
ナパでコスパの高いワインを作るカモミのソーヴィニヨン・ブラン(2700円)。フレッシュでほの甘さがあります。
モントレーのモーガンの「ダブルLヴィンヤード」リースリング(4400円)。いやこれ、むちゃうまです。値段はちょっと高いですが。オフドライくらいの甘み。アルコール度数11%。ダブルLはモントレー地区で最初に有機栽培の認証を得た畑。
グラウンドワークのグルナッシュ・ブラン(3300円)。これもすごくいいです。酸がとてもきれいで旨味が乗っています。グルナッシュ・ブランというややマイナーな品種ですが侮れません。是非試してほしいワイン。
老舗ワイナリー「ファイアーストーン」のシャルドネ。バランスよくコスパ抜群です。2200円。
ジアポーザのシャルドネ(3200円)。これも非常にバランスよく美味しいです。
フィールド・レコーディングスの「スキンズ」(3200円)は米国で一番売れているオレンジワイン。オレンジワインというとファンキーな味わいのものを想像するかもしれませんが、これはとてもきれいな作りで旨味があります。非常にいいです。
サンタ・バーバラの銘醸畑ビエン・ナシードのオーナーによる「バラード・レーン」のピノ・ノワール。フルボディでパワフル系のピノ・ノワールなので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、これはこれで魅力的です。2400円は格安。
ストルプマンがカーボニック・マセレーション(ボージョレ・ヌーヴォーの発酵で使われる方法)で作るフレッシュな味わいのワイン3つです。一番右の「ラブ・ユー・バンチ」はサンジョベーゼ、中央の「GGT(Grenache Gamay Trousseau)」はその名の通り3種のブドウのブレンド、左の「クランチー・ロースティ・レインボー」はシラー中心でヴィオニエが少し入っています。いずれも4400円。フレッシュさはラブ・ユー・バンチ、こくうまはGGT、パワフルさではクランチー・ロースティ・レインボーがいいです。
グラウンドワークのムールヴェードル。4000円は高く感じるかもしれませんが、実際にはかなりコスパの高いワイン。それだけの品質です。ミネラル感と味わいの深みがすばらしい。
ファブリストはフィールド・レコーディングスとグラウンドワークのオーナーがタッグを組んで作るブランド。どれもフレッシュな味わいで今どきなタイプですが、その中でもこのジンファンデルは素晴らしいです。ジンファンデルの概念を覆すようなワイン。3200円。
大人気の「689」のワイナリーが作るレッドブレンド「キラードロップ」(4200円)。カリフォルニアワインらしい果実味の豊かさに複雑さもあって文句なく美味しいワイン。
注目のワイナリー「レッジ」のシラーブレンド「MCAキュヴェ」。パワフルでフルボディのシラー。とてもいいです。7500円は格安。
グラウンドワークのシラー(4000円)。落ち着いた味わいで美味しいです。
ストルプマンのカーボニック・マセレーションによるシラー「パラマリア」。前に紹介したラブ・ユー・バンチなどはフレッシュでいかにも今風の味わいですが、こちらは果実味のきれいさはありますが、言われないとカーボニック・マセレーションだとは気が付かないかもしれません。よくできたシラー(4200円)。
カモミのメルロー(3100円)。100%ナパ・ヴァレーのブドウを使用。柔らかくメルローの良さが出たワイン。とてもいいです。
ジアポーザのカベルネ・ソーヴィニヨン(3200円)。バランスよくコスパ高いです。
ファブリストのカベルネ・ソーヴィニヨン。すばらしくエレガントで味わいに深みもあります(3600円)。
ナパの開拓が始まった年にちなんだ「Napa 1847」のカベルネ・ソーヴィニヨン。オークヴィルらしい果実の濃厚さと深みを持つ素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨン。5500円。
上の1847がオークヴィルなのに対し、こちらの「ラザフォード・ロード」はナパのラザフォードのブドウを使ったカベルネ・ソーヴィニヨン。「ラザフォード・ダスト」と言われるようなラザフォードのちょっと土臭いような味わい(それが何なのかは常に議論になるところではありますが)を感じられるワイン。洗練のオークヴィルに対して、無骨なラザフォード。どちらもいいワインです。
「クラッシュ・レポート」と呼ばれるカリフォルニアのブドウ収穫量や価格のレポートの暫定版が発表されました。2022年の収穫量は335 万トン。2021年の360 万トンから約7% 減少し、2011年以降で最少だった2020年より約1.5% 減少しています。昨年8月時点の予想では350万トンであり、それを少し下回りました。
過去のレポート
カリフォルニアのブドウ収穫、2021年は前年より増加
カリフォルニアのブドウ収穫、2020年は大幅減少し過去10年で最少
カリフォルニアワイン、供給過剰で2019年は収穫量減少
2018年のカリフォルニアのワイン用ブドウ収穫量は過去最高
2017年の収穫量は2016年から微増
2年ぶりに400万トンを超えた2016年の収穫
赤ワインの品種は、2021 年から7.2% 減の 188万5875トンで、白ワインの品種は、2021 年から8.6%減少し、合計 146万3787トンでした。
赤ワイン用ブドウの平均価格は1,150.58ドルで、2021年から7.2%上昇しました。白ワイン用ブドウの平均価格は682.07ドルで、2021年から1%上昇しました。2022 年の全品種の平均価格は910.80 ドルで、2021年から 5.7% 上昇しました。
ナパではカベルネ・ソーヴィニヨンの平均価格は、1トンあたり8900ドルを超えました。収穫量も増えています。パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニヨンの価格も上昇し、1トンあたり平均212 ドル上がって1800ドルに達しました。
セントラル バレーの収穫量は6年連続で減少しており、かつて約 210 万トンのワイン用ブドウを生産していましたが、現在は 150 万トン近くになっています。
2022年は干ばつの影響や春先の霜の影響で収穫量が減ったのが大きな理由ですが、カリフォルニアワイン業界全体の高価格帯へのシフトも長期的には影響しているように思えます。
品種別の収穫量では、ついにカベルネ・ソーヴィニヨンがシャルドネを抜いて1位になりました。ピノ・ノワールは0.7ポイント下がって、収穫量ではフレンチ・コロンバールに抜かれました。
このほか、カベルネ・ソーヴィニヨンの価格は州全体で9%上昇し、ソーヴィニヨン・ブランの価格は州全体で8.8%上昇しました。ソノマの価格は6.89%上昇し、ナパの全体的な価格は12.5%上昇しました。ソノマでは、ソーヴィニヨン・ブランが11.6%上昇しました。カベルネはソノマで8.8%上昇しました。ナパのカベルネの価格は平均で 11.6% 上昇し、8947 ドルに達しました。ナパで一番高価だったのはカベルネ・フランで1万830ドルでした。
カリフォルニアワインの需要は2020年からやや停滞しており、収穫量の少なさは在庫調節の意味合いも含んでいると考えられています。
過去のレポート
カリフォルニアのブドウ収穫、2021年は前年より増加
カリフォルニアのブドウ収穫、2020年は大幅減少し過去10年で最少
カリフォルニアワイン、供給過剰で2019年は収穫量減少
2018年のカリフォルニアのワイン用ブドウ収穫量は過去最高
2017年の収穫量は2016年から微増
2年ぶりに400万トンを超えた2016年の収穫
赤ワインの品種は、2021 年から7.2% 減の 188万5875トンで、白ワインの品種は、2021 年から8.6%減少し、合計 146万3787トンでした。
赤ワイン用ブドウの平均価格は1,150.58ドルで、2021年から7.2%上昇しました。白ワイン用ブドウの平均価格は682.07ドルで、2021年から1%上昇しました。2022 年の全品種の平均価格は910.80 ドルで、2021年から 5.7% 上昇しました。
ナパではカベルネ・ソーヴィニヨンの平均価格は、1トンあたり8900ドルを超えました。収穫量も増えています。パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニヨンの価格も上昇し、1トンあたり平均212 ドル上がって1800ドルに達しました。
セントラル バレーの収穫量は6年連続で減少しており、かつて約 210 万トンのワイン用ブドウを生産していましたが、現在は 150 万トン近くになっています。
2022年は干ばつの影響や春先の霜の影響で収穫量が減ったのが大きな理由ですが、カリフォルニアワイン業界全体の高価格帯へのシフトも長期的には影響しているように思えます。
品種別の収穫量では、ついにカベルネ・ソーヴィニヨンがシャルドネを抜いて1位になりました。ピノ・ノワールは0.7ポイント下がって、収穫量ではフレンチ・コロンバールに抜かれました。
このほか、カベルネ・ソーヴィニヨンの価格は州全体で9%上昇し、ソーヴィニヨン・ブランの価格は州全体で8.8%上昇しました。ソノマの価格は6.89%上昇し、ナパの全体的な価格は12.5%上昇しました。ソノマでは、ソーヴィニヨン・ブランが11.6%上昇しました。カベルネはソノマで8.8%上昇しました。ナパのカベルネの価格は平均で 11.6% 上昇し、8947 ドルに達しました。ナパで一番高価だったのはカベルネ・フランで1万830ドルでした。
カリフォルニアワインの需要は2020年からやや停滞しており、収穫量の少なさは在庫調節の意味合いも含んでいると考えられています。
クインテッサの2019年が柳屋で格安になっています。
参考:クインテッサ2019は傑作2018を超える!? « カリフォルニアワインのお勝手口
クインテッサは2017年からリリース時に試飲していますが、2018年2019年は甲乙つけがたい大傑作。実際ジェームズ・サックリングはどちらも99点を付けています。ワイン・エンスージアストでは2019年が100点と、同誌では6本目の満点となりました。
もちろん。2018、2019ともによいヴィンテージというのもありますが、ワイナリー自身の努力も見逃せません。今のGMのロドリゴ・ソト氏になってから、26区画ある土壌の特徴や栽培への影響をよく調べて灌漑の方法を変えたり、剪定の専門家を読んで剪定を変えたりと、毎年改善を繰り返しています。
この図でもわかるように、クインテッサの畑は斜面の向きもさまざまで土壌も違うナパの畑の中でも多様性が高い畑であり、それを最大限に生かそうとしているのがよくわかります。
クインテッサのワインのスタイルはエレガントでクラシック。もちろんナパらしい果実味はありますが、タンニンもきめ細かいですがかなりしっかりしていますし、スパイスの風味やきれいな酸もあり、ストラクチャーのあるワインです。オーパス・ワンにも通じるところはありますが、よりエレガントと言っていいでしょう。
ほかに似たスタイルというとアイズリーが思い浮かびます。ビオディナミを実践しているという点でもアイズリーと共通しています。ただ、クインテッサは開墾以来オーガニックですから一度も農薬を使っていないという点ではアイズリーを上回りますし、価格はアイズリーの半額程度です。オーパス・ワンとくらべても2万円以上安いです。このクオリティとスタイルで3万円台は貴重なワインです。
なお、クインテッサの創設者・オーナーは、チリのコンチャ・イ・トロの元CEO。チリ出身のこだわりとして毎年少しですがカルメネールをブレンドしているのも面白いところです。
参考:クインテッサ2019は傑作2018を超える!? « カリフォルニアワインのお勝手口
クインテッサは2017年からリリース時に試飲していますが、2018年2019年は甲乙つけがたい大傑作。実際ジェームズ・サックリングはどちらも99点を付けています。ワイン・エンスージアストでは2019年が100点と、同誌では6本目の満点となりました。
もちろん。2018、2019ともによいヴィンテージというのもありますが、ワイナリー自身の努力も見逃せません。今のGMのロドリゴ・ソト氏になってから、26区画ある土壌の特徴や栽培への影響をよく調べて灌漑の方法を変えたり、剪定の専門家を読んで剪定を変えたりと、毎年改善を繰り返しています。
この図でもわかるように、クインテッサの畑は斜面の向きもさまざまで土壌も違うナパの畑の中でも多様性が高い畑であり、それを最大限に生かそうとしているのがよくわかります。
クインテッサのワインのスタイルはエレガントでクラシック。もちろんナパらしい果実味はありますが、タンニンもきめ細かいですがかなりしっかりしていますし、スパイスの風味やきれいな酸もあり、ストラクチャーのあるワインです。オーパス・ワンにも通じるところはありますが、よりエレガントと言っていいでしょう。
ほかに似たスタイルというとアイズリーが思い浮かびます。ビオディナミを実践しているという点でもアイズリーと共通しています。ただ、クインテッサは開墾以来オーガニックですから一度も農薬を使っていないという点ではアイズリーを上回りますし、価格はアイズリーの半額程度です。オーパス・ワンとくらべても2万円以上安いです。このクオリティとスタイルで3万円台は貴重なワインです。
なお、クインテッサの創設者・オーナーは、チリのコンチャ・イ・トロの元CEO。チリ出身のこだわりとして毎年少しですがカルメネールをブレンドしているのも面白いところです。
SFクロニクルにカベルネ・フランの記事が掲載されていました。
ナパのトレンディな人気ワイナリーであるアッシュ&ダイヤモンド(Ashes and Diamonds)によると、調達するカベルネ・フランの価格はこの2年間で30%もねあげされたとのこと。ワインの価格も75ドルから80ドルに上げざるを得なくなりましたが、それでも完売を続けているそうです。
カベルネ・フランは遺伝的にはカベルネ・ソーヴィニヨンの親になりますが、育てるのが難しいブドウでもあります。ナパのブドウ価格でいうと、実はカベルネ・ソーヴィニヨンよりも平均価格は高く、一番高額で取引されるブドウになっています。
ナパのラング&リード(Lang and Reed)は1993年の設立時に、他のワイナリーと違うことをやりたいと思い、カベルネ・フランをメインに据えることにしました。今でも45ドルから250ドルまでのカベルネ・フランを作っており、カベルネ・フランのトッププロデューサーと目されています。
ナパでカベルネ・フランを最初に使ったのはジョセフ・フェルプスのインシグニアだったそうです。ボルドー系ブレンドの走りであり、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とするものの、カベルネ・フランなど他のボルドー系品種も加わっていました。とはいえ、少しだけブレンドするというのがほとんどでしたが、1990年代に大ヒットしたダラ・ヴァレのマヤは4割近くカベルネ・フランを入れるという画期的なワインでした。
カベルネ・フランは気難しいブドウであり、正しい土壌に植わっていないとピーマン香の元になる「ピラジン」という物質も増えて青臭さが増してしまいます。そういった面からもなかなか量が増えないといった要素があるようです。
このほか著名ワインメーカーのアンディ・エリクソンもカベルネ・フランに力を入れている一人。自身のファヴィア(Favia)や、コンサルティングをしているアリエッタでカベルネ・フラン主体のワインを作っています。コンステレーション・ブランズ傘下のト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーでもカベルネ・フランの比率を高めた「エリザズ・キュヴェ」をリリースしました。
自然派プロデューサーであるブロック・セラーズ、Lo-Fi、フィールド・レコーディングスもカベルネ・フラン人気の高まりに貢献しています。フィールド・レコーディングスはラベルに「Franc」と入れたワインを作っており、ブロック・セラーズはあえてカベルネ・フランという言葉を避けて「KouKou」という名前のワインで売っています。
それなりに歴史と実績を持つカベルネ・フランですが、まだ適地や栽培方など、まだ進行形な部分も多々あります。これからのカベルネ・フランの成長にますます期待がかかります。
ナパのトレンディな人気ワイナリーであるアッシュ&ダイヤモンド(Ashes and Diamonds)によると、調達するカベルネ・フランの価格はこの2年間で30%もねあげされたとのこと。ワインの価格も75ドルから80ドルに上げざるを得なくなりましたが、それでも完売を続けているそうです。
カベルネ・フランは遺伝的にはカベルネ・ソーヴィニヨンの親になりますが、育てるのが難しいブドウでもあります。ナパのブドウ価格でいうと、実はカベルネ・ソーヴィニヨンよりも平均価格は高く、一番高額で取引されるブドウになっています。
ナパのラング&リード(Lang and Reed)は1993年の設立時に、他のワイナリーと違うことをやりたいと思い、カベルネ・フランをメインに据えることにしました。今でも45ドルから250ドルまでのカベルネ・フランを作っており、カベルネ・フランのトッププロデューサーと目されています。
ナパでカベルネ・フランを最初に使ったのはジョセフ・フェルプスのインシグニアだったそうです。ボルドー系ブレンドの走りであり、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とするものの、カベルネ・フランなど他のボルドー系品種も加わっていました。とはいえ、少しだけブレンドするというのがほとんどでしたが、1990年代に大ヒットしたダラ・ヴァレのマヤは4割近くカベルネ・フランを入れるという画期的なワインでした。
カベルネ・フランは気難しいブドウであり、正しい土壌に植わっていないとピーマン香の元になる「ピラジン」という物質も増えて青臭さが増してしまいます。そういった面からもなかなか量が増えないといった要素があるようです。
このほか著名ワインメーカーのアンディ・エリクソンもカベルネ・フランに力を入れている一人。自身のファヴィア(Favia)や、コンサルティングをしているアリエッタでカベルネ・フラン主体のワインを作っています。コンステレーション・ブランズ傘下のト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーでもカベルネ・フランの比率を高めた「エリザズ・キュヴェ」をリリースしました。
自然派プロデューサーであるブロック・セラーズ、Lo-Fi、フィールド・レコーディングスもカベルネ・フラン人気の高まりに貢献しています。フィールド・レコーディングスはラベルに「Franc」と入れたワインを作っており、ブロック・セラーズはあえてカベルネ・フランという言葉を避けて「KouKou」という名前のワインで売っています。
それなりに歴史と実績を持つカベルネ・フランですが、まだ適地や栽培方など、まだ進行形な部分も多々あります。これからのカベルネ・フランの成長にますます期待がかかります。
しあわせワイン倶楽部でピーチー・キャニオンのインクレディブル・レッドが税抜きだと1000円台という特価になっています。輸入元の希望小売価格から27%引き。
ピーチー・キャニオンはパソ・ロブレスの老舗ワイナリー。パソ・ロブレスの秀逸なワインはハイウェイ101より西側で作られると言われていますが、ピーチー・キャニオンの自社畑は101より西のウィロウ・クリーク、 アデレーダ、 テンプルトン・ギャップの3つのAVAにすべて含まれています。このインクレディブル・レッドも大半のブドウが自社畑。ピーチー・キャニオンの中ではエントリー的なワインですが、作りに手抜きはありません。
2019ヴィンテージはジンファンデル75%、プティ・シラー13%、アリカンテ・ブシェ9%、クーノワーズ3%。カシスやブラックベリーの黒果実の風味にラズベリーやレッド・チェリーといった赤果実も加わります。スパイシーさもありやや濃い系の美味しいワインです。酸もきれいでバランスよくできています。
昨今、このレベルでこの価格はありがたいです。
ピーチー・キャニオンはパソ・ロブレスの老舗ワイナリー。パソ・ロブレスの秀逸なワインはハイウェイ101より西側で作られると言われていますが、ピーチー・キャニオンの自社畑は101より西のウィロウ・クリーク、 アデレーダ、 テンプルトン・ギャップの3つのAVAにすべて含まれています。このインクレディブル・レッドも大半のブドウが自社畑。ピーチー・キャニオンの中ではエントリー的なワインですが、作りに手抜きはありません。
2019ヴィンテージはジンファンデル75%、プティ・シラー13%、アリカンテ・ブシェ9%、クーノワーズ3%。カシスやブラックベリーの黒果実の風味にラズベリーやレッド・チェリーといった赤果実も加わります。スパイシーさもありやや濃い系の美味しいワインです。酸もきれいでバランスよくできています。
昨今、このレベルでこの価格はありがたいです。
ベラ・オークス(Bella Oaks)というと多くの人はハイツ・セラー(Heitz Cellar)のワインを思い浮かべると思いますが、ハイツが作っていたのは2009年まで。2010年にアート・ディレクターとして知られていたスザンヌ・ディール・ブースがこの畑を購入しました。
その後、ブースはデイビッド・エイブリューの指導で畑を4年かけて植え替えました。このころのブドウはスタッグリン(Staglin)に売られ、ブース・ベラ・オークスという畑名でボトル詰めされていました。
2015年にはブースは隣接する畑(以前はベラ・オークスの一部だった)を買収して、そこも植え替えをしています。
ブースは独立したワイナリーとしてベラ・オークスを再構築することにし、新進気鋭のワインメーカー、ナイジェル・キンズマンとコンサルティング・ワインメーカーのミシェル・ロランを雇いました。
2018年がそのデビュー・ヴィンテージとなりますが、ワイン・アドヴォケイトで当時担当していたリサ・ペロッティ・ブラウンは「顎が落ちる(jaw dropping)」と98+の高得点を献上、ヴィナスのアントニオ・ガッローニも「たまげた(mind blowing)」として98点を付けています。
日本にももちろん初上陸ですが、米国の価格の300ドルと比べたらほぼ為替プラスアルファくらいでお買い得です。
その後、ブースはデイビッド・エイブリューの指導で畑を4年かけて植え替えました。このころのブドウはスタッグリン(Staglin)に売られ、ブース・ベラ・オークスという畑名でボトル詰めされていました。
2015年にはブースは隣接する畑(以前はベラ・オークスの一部だった)を買収して、そこも植え替えをしています。
ブースは独立したワイナリーとしてベラ・オークスを再構築することにし、新進気鋭のワインメーカー、ナイジェル・キンズマンとコンサルティング・ワインメーカーのミシェル・ロランを雇いました。
2018年がそのデビュー・ヴィンテージとなりますが、ワイン・アドヴォケイトで当時担当していたリサ・ペロッティ・ブラウンは「顎が落ちる(jaw dropping)」と98+の高得点を献上、ヴィナスのアントニオ・ガッローニも「たまげた(mind blowing)」として98点を付けています。
日本にももちろん初上陸ですが、米国の価格の300ドルと比べたらほぼ為替プラスアルファくらいでお買い得です。
インポーターWine Peopleの千葉さんが東京に来てワイン会を開くというので参加してきました。千葉さんがカリフォルニアで買ったセゲシオ(Seghesio)のバックヴィンテージを飲みましょうというのがメインです。
前哨戦として、シャルドネ2本。チャールズハインツのレイチェル シャルドネ2016とマルティネリのスリーシスターズ シャルドネ2008です。マルティネリは私の持参。
チャールズハインツはカリフォルニアで今一番手に入らないスパークリングワイン「ウルトラマリン」のブドウなどを提供している畑。ソノマコーストの冷涼な地域にあります。2016年と、まだそんなに年数は経っていませんが、意外に熟成感が出ています。
マルティネリのスリーシスターズはマーカッシンにもブドウを提供していた畑。2008年のワインですが、ちょっとピークを超えていたかもしれません。マルティネリらしいぎっしりとした果実味は残っていますが、酸がもっとほしいです。こういうワインは若いうちに飲んだ方がいいような気がしました。
白の後2本はなんとSine Qua Non。2011年のThe Momentと2010年のThe Monkeyです。ブルゴーニュ型のボトルの方がThe Monkey、いかり肩のボトルがThe Momentです。The Monkeyはルーサンヌ58%にヴィオニエ23%、シャルドネ19%。The Momentはルーサンヌ57%、プティマンサンが19%、シャルドネ17%、ヴィオニエ7%。
The Monkeyはルーサンヌの柔らかさにヴィオニエの華やかさがあります。The Momentはルーサンヌのまったりした感じに、プティマンサン由来でしょうか、酸がす~っと入ってきます。The Momentはすごく美味しい。やっぱり酸が通っているかどうかが熟成したときのバランスに大きく効いてくる感じがします。
さて、ジンファンデルは
2009年 ソノマ・カウンティ
2009年 オールド・ヴァインズ
2009年 コルティナ(Cortina) ドライ・クリーク・ヴァレー
2006年 ホーム・ランチ アレキサンダー・ヴァレー
2009年 サン・ロレンゾ ブロック8 アレキサンダー・ヴァレー
というラインアップ。セゲシオはドライ・クリーク・ヴァレーとアレキサンダー・ヴァレーに多くの古木の畑を持っていて、今回のワインも自社畑のブドウを使ったものがメインです。
ソノマ・カウンティとオールド・ヴァインズはどちらもまだかなりフレッシュ感があって驚きました。おそらくリリースしたときはもっと甘やかさがあったのではないかと思いますが、落ち着いた雰囲気になり、美味しいです。オールド・ヴァインズの方が、やはり複雑さがあっていいです。この2つはセゲシオのジンファンデルの中では比較的エントリーになると思いますが、それでもこれだけの実力があるのはさすがです。最近は輸入がなくなってしまって残念ですが、「いいジンファンデル」のお手本的なワイナリーなので、機会があったら飲んでみることをお薦めします。
コルティナは、個人的にはこの日のベスト。ふくよかさと複雑さ、バランスよく深みもあります。ロバート・パーカーはかつて「ジンファンデルは熟成しない」と言って、リッジのポール・ドレイパーがそれに反論して熟成したリッジを飲ませたという話もありましたが、このコルティナを飲んでもやはりジンファンデルもちゃんと熟成すると思います。
最後はアレキサンダー・ヴァレーから。ホームランチは1895年に植えられたセゲシオの中でも古い畑です。コルティナのダークなフルーツの感じに対して、こちらはもっとレッドベリーを感じます。サン・ロレンゾ ブロック8も味わいの系統はよく似ていますが、個人的にはこちらが少し上。あくまで相対的にはということであり、どちらもとても美味しかったです。
最近思っているのは、美味しいジンファンデルが知られていないなあということ。どうしても安いジンファンデルの甘いイメージを持っている人が多いようで…もっといいジンファンデルが知られてほしいと思います。
ところで、この日のワイン会のもう1つのハイライトはマジック。
テーブルにマジシャンの方が来て、カードマジックなどを披露してくれたのですが、間近で見ているのに全くわかりませんでした。特にワイン会メンバーの手の中に入れたカード一式がプラスチックの板に変わっていたのは驚きました。
かなり有名な方だったようです。
ビッグワールド|魔耶一星
前哨戦として、シャルドネ2本。チャールズハインツのレイチェル シャルドネ2016とマルティネリのスリーシスターズ シャルドネ2008です。マルティネリは私の持参。
チャールズハインツはカリフォルニアで今一番手に入らないスパークリングワイン「ウルトラマリン」のブドウなどを提供している畑。ソノマコーストの冷涼な地域にあります。2016年と、まだそんなに年数は経っていませんが、意外に熟成感が出ています。
マルティネリのスリーシスターズはマーカッシンにもブドウを提供していた畑。2008年のワインですが、ちょっとピークを超えていたかもしれません。マルティネリらしいぎっしりとした果実味は残っていますが、酸がもっとほしいです。こういうワインは若いうちに飲んだ方がいいような気がしました。
白の後2本はなんとSine Qua Non。2011年のThe Momentと2010年のThe Monkeyです。ブルゴーニュ型のボトルの方がThe Monkey、いかり肩のボトルがThe Momentです。The Monkeyはルーサンヌ58%にヴィオニエ23%、シャルドネ19%。The Momentはルーサンヌ57%、プティマンサンが19%、シャルドネ17%、ヴィオニエ7%。
The Monkeyはルーサンヌの柔らかさにヴィオニエの華やかさがあります。The Momentはルーサンヌのまったりした感じに、プティマンサン由来でしょうか、酸がす~っと入ってきます。The Momentはすごく美味しい。やっぱり酸が通っているかどうかが熟成したときのバランスに大きく効いてくる感じがします。
さて、ジンファンデルは
2009年 ソノマ・カウンティ
2009年 オールド・ヴァインズ
2009年 コルティナ(Cortina) ドライ・クリーク・ヴァレー
2006年 ホーム・ランチ アレキサンダー・ヴァレー
2009年 サン・ロレンゾ ブロック8 アレキサンダー・ヴァレー
というラインアップ。セゲシオはドライ・クリーク・ヴァレーとアレキサンダー・ヴァレーに多くの古木の畑を持っていて、今回のワインも自社畑のブドウを使ったものがメインです。
ソノマ・カウンティとオールド・ヴァインズはどちらもまだかなりフレッシュ感があって驚きました。おそらくリリースしたときはもっと甘やかさがあったのではないかと思いますが、落ち着いた雰囲気になり、美味しいです。オールド・ヴァインズの方が、やはり複雑さがあっていいです。この2つはセゲシオのジンファンデルの中では比較的エントリーになると思いますが、それでもこれだけの実力があるのはさすがです。最近は輸入がなくなってしまって残念ですが、「いいジンファンデル」のお手本的なワイナリーなので、機会があったら飲んでみることをお薦めします。
コルティナは、個人的にはこの日のベスト。ふくよかさと複雑さ、バランスよく深みもあります。ロバート・パーカーはかつて「ジンファンデルは熟成しない」と言って、リッジのポール・ドレイパーがそれに反論して熟成したリッジを飲ませたという話もありましたが、このコルティナを飲んでもやはりジンファンデルもちゃんと熟成すると思います。
最後はアレキサンダー・ヴァレーから。ホームランチは1895年に植えられたセゲシオの中でも古い畑です。コルティナのダークなフルーツの感じに対して、こちらはもっとレッドベリーを感じます。サン・ロレンゾ ブロック8も味わいの系統はよく似ていますが、個人的にはこちらが少し上。あくまで相対的にはということであり、どちらもとても美味しかったです。
最近思っているのは、美味しいジンファンデルが知られていないなあということ。どうしても安いジンファンデルの甘いイメージを持っている人が多いようで…もっといいジンファンデルが知られてほしいと思います。
ところで、この日のワイン会のもう1つのハイライトはマジック。
テーブルにマジシャンの方が来て、カードマジックなどを披露してくれたのですが、間近で見ているのに全くわかりませんでした。特にワイン会メンバーの手の中に入れたカード一式がプラスチックの板に変わっていたのは驚きました。
かなり有名な方だったようです。
ビッグワールド|魔耶一星
ヘス・コレクション(Hess Collection、現ヘス・パーソン・エステート=Hess Persson Estates)の創設者であるドナルド・ヘスが1月30日、86歳で亡くなりました。
ドナルド・ヘスはスイスの生まれ、1970年代にナパ・ヴァレーに来ました。1983年にワイナリーを創設、1989年にマウント・ヴィーダーにテイスティングルームや美術館のある建物を作りました。美術館はドナルドの元々の趣味であったアート作品を飾っており、ナパの観光名所の1つになっています。
1990年代には南米にわたり、アルゼンチンでBodega Coloméというワイナリーの復興に尽力しました。
サスティナブルの先駆者でもあり、1990年代初めにナパで最初のサスティナブルに関する農業シンポジウムを開催したり、サスティナブルの認証制度確立に貢献しました。
ご冥福をお祈りします。
ドナルド・ヘスはスイスの生まれ、1970年代にナパ・ヴァレーに来ました。1983年にワイナリーを創設、1989年にマウント・ヴィーダーにテイスティングルームや美術館のある建物を作りました。美術館はドナルドの元々の趣味であったアート作品を飾っており、ナパの観光名所の1つになっています。
1990年代には南米にわたり、アルゼンチンでBodega Coloméというワイナリーの復興に尽力しました。
サスティナブルの先駆者でもあり、1990年代初めにナパで最初のサスティナブルに関する農業シンポジウムを開催したり、サスティナブルの認証制度確立に貢献しました。
ご冥福をお祈りします。
SFクロニクルに「なぜ、ソノマの最高のワイナリーの1つがワインを作ったことのないワインメーカーを雇ったのか」という記事が出ていました。どういうことかというと、ハーシュ・ヴィンヤーズのオーナーであるジャスミン・ハーシュが自らワインメーカーになったという話でした。2019年のヴィンテージからというからもう3ヴィンテージ作っています。
ハーシュはこれまでロス・コブを含め、優秀なワインメーカーを雇ってきましたが、5年くらいでやめてしまうことが続いていたそうです。2018年に前のワインメーカーがやめた後、ほかのワインメーカーを探すのをやめてジャスミン自身がワインメーカーになる決意をしました。
その理由はハーシュ・ヴィンヤーズの畑の複雑さです。ハーシュのプロパティは1000エーカー(約4平方キロ)もありますが、うちブドウが植わっているのはわずか72エーカー。面積は少ないですが、サンアンドレアス断層の上にあるため、土壌タイプは多く、これを60区画に分けて管理しています。それぞれの区画の特徴を学ぶのが大変で、数年でワインメーカーが交代してしまうのだと、やっとわかってきたくらいで代わってしまうような形になってしまいます。そこで彼女自身がワインを作ることにしたわけです。
とはいえ、ワインメーカーとしては1から勉強です。幸いなことに、ジャスミン・ハーシュのパートナーは、SFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたことがあるクルーズワインのマイケル・クルーズであり、彼が教え込む形で徐々に勉強していったそうです。
彼女がワインメーカーになってから2つの新しいワインを始めました。1つは「Maritime」というピノ・ノワール。かつてWilliams-Selyemが使っていたブロックのワインだそうです。もう1つはロゼ。プロバンス風の薄いロゼではなく、濃厚で風味豊かなタイプだとのこと。
彼女のワイン、期待したいものです。
ハーシュはこれまでロス・コブを含め、優秀なワインメーカーを雇ってきましたが、5年くらいでやめてしまうことが続いていたそうです。2018年に前のワインメーカーがやめた後、ほかのワインメーカーを探すのをやめてジャスミン自身がワインメーカーになる決意をしました。
その理由はハーシュ・ヴィンヤーズの畑の複雑さです。ハーシュのプロパティは1000エーカー(約4平方キロ)もありますが、うちブドウが植わっているのはわずか72エーカー。面積は少ないですが、サンアンドレアス断層の上にあるため、土壌タイプは多く、これを60区画に分けて管理しています。それぞれの区画の特徴を学ぶのが大変で、数年でワインメーカーが交代してしまうのだと、やっとわかってきたくらいで代わってしまうような形になってしまいます。そこで彼女自身がワインを作ることにしたわけです。
とはいえ、ワインメーカーとしては1から勉強です。幸いなことに、ジャスミン・ハーシュのパートナーは、SFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたことがあるクルーズワインのマイケル・クルーズであり、彼が教え込む形で徐々に勉強していったそうです。
彼女がワインメーカーになってから2つの新しいワインを始めました。1つは「Maritime」というピノ・ノワール。かつてWilliams-Selyemが使っていたブロックのワインだそうです。もう1つはロゼ。プロバンス風の薄いロゼではなく、濃厚で風味豊かなタイプだとのこと。
彼女のワイン、期待したいものです。