昨年の記事ですが,珍しいSine Qua Non(本来の発音はシネ・クア・ノンに近いのだと思いますが日本では慣例的にシン・クア・ノンと書かれることが多いようです,意味はラテン語で「それなしでは成り立たないもの」「必要不可欠」)のオーナー・ワインメーカーであるManfred Kranklのストーリーが出ていたので紹介します。以下内容を簡単に紹介します。

ワイナリはLAとSanta Barbaraの中間,Venturaにあり,ブリトーの店やオートバイの修理屋などが並ぶ道の一角にある,なんの変哲もない倉庫です。

マンフレッドはオーストリアの生まれ。22歳のときに友人とトロントに来るものの,英語ができずにほうほうの態でオーストリアに戻ることになりました。ところが1年も経たないうちに今度はギリシャでアメリカ人の女の子と出会って,カリフォルニアに来ることになり,以降そこに定住してしまいました。

最初はオーストリア出身のNorbert Wabnigが経営するビバリーヒルズのチーズの店で(400種類のチーズのうち8種類しか知らなかったにもかかわらず),働かせてもらえ,その後Westwood Plazaホテルに仕事を得ました。そこでの成功から,さらにエキサイトできるものを求め1989年にCampanileというレストランとLa Brea Bakeryというパン屋をLAで始めました。これも瞬く間に成功を収め,有名人になっていきました。

その間,Venturaに引っ越したManfredとElaineの夫妻は趣味でワインを作り始めましたが,それが上出来なので友人から売ることを勧められ1994年に100ケースを売り出したところ,あっという間に完売。さらにRobert Parkerが知るところとなって今に至るわけです。現在の生産量は3500ケース。

近年は「ピアス氏病にかかる恐れが強い」ということで皆に否定されながらもVenturaでブドウの栽培も開始,2007年には最初の収穫を迎えたとか。品種はシラー,グルナッシュ,ルーサンヌ。将来は全部自社畑に切り替え,ローヌ品種の赤ワインに注力したいそうです。

もしかしたらピノや白ワインは数年でなくなってしまうのかもしれません。

興味がある人は原文をお読みになることを勧めます。