米国ワイン産業、2026年が「底」になるか?
シリコンバレー・バンクによるワイン業界の分析レポートが発表されました。ワイナリーへのアンケート調査などを通じて、現状を分析するレポートです。総じて厳しい状況が続いていますが、2026年が「底」で、これから良くなっていくのではないかという見方もあります。また、今回のレポートでは成功するワイナリーのためのポイントを明らかにしており、これらは日本のワイナリーにとっても参考になるのではないかと思いました。
昨年のレポートの記事
低迷続く米国のワイン消費、若年層への訴求はいかに

まず、2025年の状況についてですが、「最も難しい年だった」という回答が7%と過去4年で最も多く、厳しい状況がより進んでいることがうかがえます。

その中で、セールスチャンネルとしては、テイスティングルームとワイン・クラブといったいわゆるDtC(消費者との直接のコネクションによる販売)が半分を超え、卸売りは合計3割となっています。昨今、DtCによる販売が低迷しているという記事も見かけるのですが、とはいえ重要度が減っているわけではなく、最重視しなければいけないチャンネルであることは変わりません。

現在の状態を「ポジティブ」と見る数字から「ネガティブ」と見る数字を引いたインデックスを地域別に見ると、ネガティブの割合が一番多いのがソノマで次がナパでした。12ドル以下の安ワイン市場が減っていると言われていますが、プレミアムが多いこれらの地域でネガティブが多いのは意外でした。逆にネガティブが少ないのはワシントン州とヴァージニア州。ワシントンはカナダへの輸出がほぼなくなったことが影響しているのではないかと思っていたのですが、意外とネガティブは少ないようです。

こういった状況で、うまく行っているワイナリーにどういう特徴があるかをまとめたのが上の表です。ほかのページの情報も含め、成功のための条件をまとめると以下のようになります。
1. 「受動的需要」からの決別
最大のメッセージは、「待っていても客は来ない」ということです。観光客任せのテイスティングルーム運営、ディストリビューター依存の販売モデルはもはや機能しません。成功しているワイナリーは、消費者の生活圏や価値観に積極的に入り込み、関係性を設計しています。
2. ワインクラブを中核としたリテンション戦略
成長しているワイナリーに最も強く共通する要素は、ワインクラブを重視していることでする。新規獲得よりも既存顧客の継続率を重視し、クラブを「単なる定期販売」ではなく、ブランドとの関係基盤として位置づけています。特に、離脱予備軍への再エンゲージメントが重要視されています。
3. ホスピタリティの再定義
成功しているワイナリーは、テイスティングルームを「バー」ではなく「舞台」と捉え、予約制・少人数・パーソナライズされた体験を提供しています。重要なのは回転率ではなく、体験の質と記憶への残り方であり、それがクラブ加入率と長期的収益につながっています。
4. SKUの整理とブランドの明確化
上位層のワイナリーほど、SKU数が少なく、メッセージが明確です。品揃えの拡大ではなく、「何のためのワインか」を消費者に伝える力が価格維持と差別化を可能にしています。
5. デジタルは「代替」ではなく「増幅装置」
SNSやメールは、単独で売上を生む魔法のツールではありません。成功事例では、デジタルはあくまでリアルな体験やイベント、クラブ活動を増幅する役割を担っています。無差別な配信ではなく、目的と測定指標を持った運用が不可欠です。
6. 成長の再定義
「成長」とは、量的拡大ではなく、価値密度の向上です。生産量を抑え、需要に見合った供給を行い、顧客一人当たりの価値を高めることが、2026年以降の安定と回復への唯一の道になるでしょう。
今後成長に改めて転換する可能性はあるものの、それには上記のような戦略の変化を推し進めることが必要になってくるでしょう。現状のまま変化しないワイナリーは淘汰されていくのではないかと思います。特に中小規模のワイナリーにとってはDtCのチャンネルが命でもあり、うまくいくワイナリーとそうでないワイナリーが明確に分かれていくのが今年以降ではないでしょうか。
昨年のレポートの記事
低迷続く米国のワイン消費、若年層への訴求はいかに

まず、2025年の状況についてですが、「最も難しい年だった」という回答が7%と過去4年で最も多く、厳しい状況がより進んでいることがうかがえます。

その中で、セールスチャンネルとしては、テイスティングルームとワイン・クラブといったいわゆるDtC(消費者との直接のコネクションによる販売)が半分を超え、卸売りは合計3割となっています。昨今、DtCによる販売が低迷しているという記事も見かけるのですが、とはいえ重要度が減っているわけではなく、最重視しなければいけないチャンネルであることは変わりません。

現在の状態を「ポジティブ」と見る数字から「ネガティブ」と見る数字を引いたインデックスを地域別に見ると、ネガティブの割合が一番多いのがソノマで次がナパでした。12ドル以下の安ワイン市場が減っていると言われていますが、プレミアムが多いこれらの地域でネガティブが多いのは意外でした。逆にネガティブが少ないのはワシントン州とヴァージニア州。ワシントンはカナダへの輸出がほぼなくなったことが影響しているのではないかと思っていたのですが、意外とネガティブは少ないようです。

こういった状況で、うまく行っているワイナリーにどういう特徴があるかをまとめたのが上の表です。ほかのページの情報も含め、成功のための条件をまとめると以下のようになります。
1. 「受動的需要」からの決別
最大のメッセージは、「待っていても客は来ない」ということです。観光客任せのテイスティングルーム運営、ディストリビューター依存の販売モデルはもはや機能しません。成功しているワイナリーは、消費者の生活圏や価値観に積極的に入り込み、関係性を設計しています。
2. ワインクラブを中核としたリテンション戦略
成長しているワイナリーに最も強く共通する要素は、ワインクラブを重視していることでする。新規獲得よりも既存顧客の継続率を重視し、クラブを「単なる定期販売」ではなく、ブランドとの関係基盤として位置づけています。特に、離脱予備軍への再エンゲージメントが重要視されています。
3. ホスピタリティの再定義
成功しているワイナリーは、テイスティングルームを「バー」ではなく「舞台」と捉え、予約制・少人数・パーソナライズされた体験を提供しています。重要なのは回転率ではなく、体験の質と記憶への残り方であり、それがクラブ加入率と長期的収益につながっています。
4. SKUの整理とブランドの明確化
上位層のワイナリーほど、SKU数が少なく、メッセージが明確です。品揃えの拡大ではなく、「何のためのワインか」を消費者に伝える力が価格維持と差別化を可能にしています。
5. デジタルは「代替」ではなく「増幅装置」
SNSやメールは、単独で売上を生む魔法のツールではありません。成功事例では、デジタルはあくまでリアルな体験やイベント、クラブ活動を増幅する役割を担っています。無差別な配信ではなく、目的と測定指標を持った運用が不可欠です。
6. 成長の再定義
「成長」とは、量的拡大ではなく、価値密度の向上です。生産量を抑え、需要に見合った供給を行い、顧客一人当たりの価値を高めることが、2026年以降の安定と回復への唯一の道になるでしょう。
今後成長に改めて転換する可能性はあるものの、それには上記のような戦略の変化を推し進めることが必要になってくるでしょう。現状のまま変化しないワイナリーは淘汰されていくのではないかと思います。特に中小規模のワイナリーにとってはDtCのチャンネルが命でもあり、うまくいくワイナリーとそうでないワイナリーが明確に分かれていくのが今年以降ではないでしょうか。