ナパのワイントレインが2009年9月16日で創業20周年を迎えます。これを記念して9月19日にはHarvest Wine Maker Walkと称して4人のワインメーカーが同乗するイベントを開きます。供されるワインは①Jericho Canyon Sauvignon Blanc,②ZD Founder's Reserve Pinot Noir,③Judd's Hillのカベルネ・ブレンド,④Salvestrinのカベルネ・ブレンドです。料金はグルメ・カーが165ドル展望ドーム・カーが195ドルですが,9月1日までに申し込むとグルメ・カーは150ドルになります。ワイン付きということを考えると結構安いと思います。

20周年記念のページには20年前の最初のワイントレインが走った日のエピソードが記載されています。ワイントレインの許可を得て,その内容を掲載します。



思い出の一日

最初の列車がナパのマッキンストリ・ストリート駅から出発したのは1989年9月16日だった。それ以来,レールの上を行ったり来たりずっと続けている。何百万というお客を列車でもてなし,毎日が新しい冒険である。これは特別な土地における複雑なビジネスであり,われわれの任務をとても真剣に考えている。次の20年がわれわれを手招きしているのだ。

CFOのアンソニー・ジアッチオの記憶では,最初の列車は計画通りの運行ではなかったという。

その日は1989年9月16日。ランチの列車だった。それで? それが大事件? ずっと同じことやってるじゃない? 確かにそうだ。しかしその日は最初のランチ列車だったのだ! そして,なんという日だっただろう。多くの地元の人たちはその日が来るとは思っていなかっただろう。われわれ従業員の多くも,この日が来るとは思っていなかっただろう。しかし,ありとあらゆる煩わしい役所の手続きをすませ,1989年9月16日のランチに発車するスケジュールになったのだった。

空は暗く,嵐のようだった。しかしそれでも乗客は歴史の一部になろうと集まってきていた。乗客たちは乗車チケットを受け取ろうと時間までに駅に来たが,ガラスのドア越しに窓口が開いているかどうか覗き込むんでいるのだった。どうしてそんなことをしたのかって? 嵐のせいで乗車手続きの間停電していたからだ。もちろん懐中電灯やろうそくはたくさんあったよ。想像してご覧,われわれは頭を突き合わせて乗員名簿を読んでチケットと照らしあわせていたんだ。

ついに列車が駅に現れた。当時の列車は今よりずっと短く,2両の機関車と2両のラウンジ車両,台所,ダイニング車両(グルメ)という構成だった。乗客は乗車して最初の食事を楽しみ始めた。右側の窓越しに,ナパ市の地元民が雨の中立って手を振っているのをじっと見つめた。なんてすばらしい日だろう。

しかし,列車がセント・ヘレナに近付くにつれ,空もようも,群衆の態度もどんよりとしてきた。乗客の目に抗議のプラカードが止まった。群集は「ワイントレイン反対」のプラカードを握り締め,罵声を浴びせ,握りこぶしを振っていた。乗客はどうしただろうか。彼らは窓際に集まり,手を振り返し,写真を撮ったのだった。

旅の終わりが近付き,食事のチケットを精算する時間になったが,ここで何が動かなかったか想像できるかい。レジスターだよ。小さな計算機のおかげでなんとか給仕はチケットを精算したのだった。最後の乗客が駅を去り,スタッフは座ってリラックスし,成し遂げたことを誇りに思っていた。そして思い出したのだった「まだディナー列車があるぞ」