Opus Oneにまつわる五つの誤解
Opus Oneの2013年の情報はこちらの記事で
年末になるとオーパス・ワンで検索してくる人が増えてきます。今も昔も日本における一番有名なカリフォルニアのワイナリであり,ムートンとの合弁ということで,どこの有象無象が作っているのか分からない純カリフォルニアのワイナリよりも,日本のワイン好きにとっては憧れやすいのでしょう。
一方で,純カリフォルニア・ワインのファンにとってはオーパス・ワンは必ずしもカリフォルニアを代表するワインではありません。例えばカベルネ系のワインで言えば,HarlanやColgin,Araujo,Shafer Hillside Selectなどの方が遥かに高く評価されており,「オーパス・ワンを飲んでカリフォルニアってたいしたことないな」とは思って欲しくないというのが本音でしょう。
[補遺]この記事を書いた2009年ころは、こういった認識が多かったのですが、その後、オーパス・ワンの評価はどんどん上がっています。上記のハーランやコルギンなど、確かにより高い評価のワインはありますが、それらのほとんどは数千ケースの下の方(1ケースは12本)という生産量。1万ケースを大幅に上回るオーパス・ワンとは一桁違います。この生産量にしてはオーパス・ワンは非常に高い評価となっています。特にオーパス・ワンの2013年は評論家のジェームズ・サックリングが2016年のベストワインに選ぶなど、評判のいいワインです。(2017年3月)
とはいえ,Opus Oneがカリフォルニアワインの知名度アップに多大な貢献をしてきたのは事実であり,これまでことさらに過小評価してきた面もないとは言えないような気がします。
そこでここではOpus Oneについてのよくありそうな質問に勝手に答えるという形で,カリフォルニアワインになじみのない人でもOpus Oneについて正しく理解してもらおうと思います。
1. Opus Oneてムートンとモンダヴィの合弁だよね?
よく知られているように,Opus Oneのラベルはバロン・フィリップ・ド・ロッチルトとロバート・モンダヴィの横顔を象ったものになっています。どちらか一方が力を持たないように当初から出資比率は50%ずつと決められました。しかし,Robert Mondavi社が2004年にConstellation Brands社に買収されたことにより,MondaviファミリーとOpus Oneとは無関係になりました。2005年にConstellationとロッチルト家,Opus Oneの間でOpus Oneが畑の管理,セールス・マーケティング,運営について独立すると取り決められたため,今はOpus Oneの出資は変わっていないものの,運営も両者から離れた形で行われています。ですからいまでもRobert Mondavi社はOpus Oneの50%を所有していますが,それはモンダヴィ・ファミリーとは無関係なものです。
2. Opus Oneて何年のがおいしいの?
下に,Wine Advocate誌のレイティングを示します。レイティングに幅がある場合は一番下の数字を採用しています。
これを見ると分かるように,パーカーの評価という点ではこれまでで一番上なのは2005年です。また2007年は94-97という評価であり,おそらく今月末のWine Advocate誌でそのアップデートが出ますが,もしかすると過去最高の評価が出るかもしれません。2005~2007のワインについては何の文句もないとパーカーは言っています。ちなみに,今日本で売っている最新ヴィンテージは2006年です。2007年は2010年秋のリリースです。
もっと前のワインで選ぶならば94~96年はいい出来でした。このあたりはどれも今飲んではずれはないでしょう。92,93年も評価は悪く無いです。一方,97年~2001年までは一番作りが安定していない時期です。特に98年と2000年は,あまり高いお金を出して飲むのはやめた方がいいと思います。
[補遺]2007年のWine Advocateの評価は結局95点でした。その後は2010年が96、2012年が96、2013年が97+となっています。2004年以降のものはそれほど低い評価はありません。2013年はパーカー以外も高い評価を付けているので、一番安全な選択肢といえるでしょう(2017年3月)
3. Opus Oneって一番おいしいカリフォルニアワインなんでしょ?
カベルネ系のワインではパーカーの評価は今でも標準的な尺度になると思いますが,Opus Oneの評価はそれほど高いわけではありません。点数だけで見たら中の上か,せいぜい上の下でしょう。例えば2001年以降の最高点と最低点だけ見るとOpus Oneは87-95。これに対してHarlan Estateは95-100,先日紹介したColginはIX Proprietary Redが95-100,Herb Lambが94-96,Araujoは92-98,Shafer Hillside Selectは93-100,Dominusは94-96,Insigniaは94-95,Pride Reserveが93-99,Ridge Monte Belloが94-95,MontelenaのEstateが91-95,Spottswoodeが91-97。新興ワイナリで見るとScarecrowが94-98,Sloanが96-100,Hundred Acreが94-99,Blankietが92-96などです。ざっとこのあたりがトップワイナリ群という感じではないかと思います。
[補遺1]上記のワイナリーの中でドミナスは2010年と2013年に100点、インシグニアは再評価で1997年と2002年に100点、アラウホ(Araujo)から名称が変わったアイズリー(Eisele)は2013年に100点、スポッツウッドが2002年と2010年に100点など、100点を取ったワイナリーはかなり増えています。これらはいずれもオーパス・ワンと同じくらいに歴史も実績もあるワイナリーです。(2017年3月)
[補遺2]値段が高いワインということでいうと、スクリーミング・イーグル(Screaming Eagle)がトップでしょう。これまでパーカー100点を4回取っている上に非常に希少性も高いワインで、日本では大体20万円以上します。スケアクロウ(Scarecrow)も非常に希少性が高く、ナパで一番古いカベルネ・ソーヴィニヨンの畑であることなど、ストーリー性も豊かで、10万円を下らないワインです。このほかパーカー100点を15回も取っているシュレーダー(Schrader)も非常に高額に取引されています。ハーランやコルギンも10万円近くするのでオーパス・ワンよりは高価です。価格にはワインの評価以外に希少性が大きく関わるので、生産量の少ないこれらのワインが目立つ結果になります。(2017年3月)
4. Opus Oneてカリフォルニアのおみやげに買ってきてもらうのがいいのかな?
以前はOpus Oneの国内の価格が約3万円。それに対して米国では100ドル~150ドルくらいで売られていました。倍近くの価格だったわけです。しかし,2005年ヴィンテージ以降は日本の価格が2万円前後まで下がり,一方パーカーの高評価によって米国の価格は上昇傾向にあります。例えば2005年のWine-Searcherでの平均価格は196ドル。安いところでは150ドル切るので米国の方が安く買えるチャンスはありますが,そんなにかわらなくなったと思います。
[補遺]その後オーパス・ワンは偽造品対策や怪しいルートでの売買を防ぐための豊作を強く打ち出し、販売価格も原則として世界共通にしています。近年は高い評価が続いていることでかなり値上がりしており、日本では3万円以上、海外でもそれに匹敵する価格になっています。輸送費用などの問題で、米国内の方が多少安くなる可能性はありますが、それほど大きな差はなくなっています。(2017年3月)
5. セカンドワインのOvertureっておいしいの?
3のところで挙げたワイナリのいくつかはセカンドと呼ばれるワインを作っています。例えばHarlanのMaiden(セカンドとは言わない説もありますが),AraujoのAltagracia,SpottswoodeのLyndenhurst,ShaferのOne Point Five(セカンドとは言ってませんが),Dominus Napanookなどです。これらはパーカーのレビューにも載っており,ワイナリのワイン紹介にも書かれているワインです。一方でOvertureはワイナリのWebサイトにも載っていないし,一般には販売もされていません。これは稀少価値を出そうとしているのではなく,ワイナリに来た人のおみやげ用に用意しているワインという位置付けだからです。ワイナリでこのワインの作りについて聞いても,たいした話はしてくれないはずです。おいしいかどうかは飲んだ人が決めればいい問題なので,私がとやかく言う事ではありませんが,少なくともワイナリはこのワインについて味を評価してほしいとは思っていないだろうと思います。
[補遺]オーパス・ワンはオーバチュアをセカンドと呼び始めたようです。ワイナリー以外での売買も少しだけ始まっているようです。ただ、日本に入ってきているのは、ルートのはっきりしないものが多く、価格もオーパス・ワンとあまり変わらないことが多いので、手を出さない方が無難なワインだと思います。(2017年3月)
今はここが最安ランク。
年末になるとオーパス・ワンで検索してくる人が増えてきます。今も昔も日本における一番有名なカリフォルニアのワイナリであり,ムートンとの合弁ということで,どこの有象無象が作っているのか分からない純カリフォルニアのワイナリよりも,日本のワイン好きにとっては憧れやすいのでしょう。
一方で,純カリフォルニア・ワインのファンにとってはオーパス・ワンは必ずしもカリフォルニアを代表するワインではありません。例えばカベルネ系のワインで言えば,HarlanやColgin,Araujo,Shafer Hillside Selectなどの方が遥かに高く評価されており,「オーパス・ワンを飲んでカリフォルニアってたいしたことないな」とは思って欲しくないというのが本音でしょう。
[補遺]この記事を書いた2009年ころは、こういった認識が多かったのですが、その後、オーパス・ワンの評価はどんどん上がっています。上記のハーランやコルギンなど、確かにより高い評価のワインはありますが、それらのほとんどは数千ケースの下の方(1ケースは12本)という生産量。1万ケースを大幅に上回るオーパス・ワンとは一桁違います。この生産量にしてはオーパス・ワンは非常に高い評価となっています。特にオーパス・ワンの2013年は評論家のジェームズ・サックリングが2016年のベストワインに選ぶなど、評判のいいワインです。(2017年3月)
とはいえ,Opus Oneがカリフォルニアワインの知名度アップに多大な貢献をしてきたのは事実であり,これまでことさらに過小評価してきた面もないとは言えないような気がします。
そこでここではOpus Oneについてのよくありそうな質問に勝手に答えるという形で,カリフォルニアワインになじみのない人でもOpus Oneについて正しく理解してもらおうと思います。
1. Opus Oneてムートンとモンダヴィの合弁だよね?
よく知られているように,Opus Oneのラベルはバロン・フィリップ・ド・ロッチルトとロバート・モンダヴィの横顔を象ったものになっています。どちらか一方が力を持たないように当初から出資比率は50%ずつと決められました。しかし,Robert Mondavi社が2004年にConstellation Brands社に買収されたことにより,MondaviファミリーとOpus Oneとは無関係になりました。2005年にConstellationとロッチルト家,Opus Oneの間でOpus Oneが畑の管理,セールス・マーケティング,運営について独立すると取り決められたため,今はOpus Oneの出資は変わっていないものの,運営も両者から離れた形で行われています。ですからいまでもRobert Mondavi社はOpus Oneの50%を所有していますが,それはモンダヴィ・ファミリーとは無関係なものです。
2. Opus Oneて何年のがおいしいの?
下に,Wine Advocate誌のレイティングを示します。レイティングに幅がある場合は一番下の数字を採用しています。
これを見ると分かるように,パーカーの評価という点ではこれまでで一番上なのは2005年です。また2007年は94-97という評価であり,おそらく今月末のWine Advocate誌でそのアップデートが出ますが,もしかすると過去最高の評価が出るかもしれません。2005~2007のワインについては何の文句もないとパーカーは言っています。ちなみに,今日本で売っている最新ヴィンテージは2006年です。2007年は2010年秋のリリースです。
もっと前のワインで選ぶならば94~96年はいい出来でした。このあたりはどれも今飲んではずれはないでしょう。92,93年も評価は悪く無いです。一方,97年~2001年までは一番作りが安定していない時期です。特に98年と2000年は,あまり高いお金を出して飲むのはやめた方がいいと思います。
[補遺]2007年のWine Advocateの評価は結局95点でした。その後は2010年が96、2012年が96、2013年が97+となっています。2004年以降のものはそれほど低い評価はありません。2013年はパーカー以外も高い評価を付けているので、一番安全な選択肢といえるでしょう(2017年3月)
3. Opus Oneって一番おいしいカリフォルニアワインなんでしょ?
カベルネ系のワインではパーカーの評価は今でも標準的な尺度になると思いますが,Opus Oneの評価はそれほど高いわけではありません。点数だけで見たら中の上か,せいぜい上の下でしょう。例えば2001年以降の最高点と最低点だけ見るとOpus Oneは87-95。これに対してHarlan Estateは95-100,先日紹介したColginはIX Proprietary Redが95-100,Herb Lambが94-96,Araujoは92-98,Shafer Hillside Selectは93-100,Dominusは94-96,Insigniaは94-95,Pride Reserveが93-99,Ridge Monte Belloが94-95,MontelenaのEstateが91-95,Spottswoodeが91-97。新興ワイナリで見るとScarecrowが94-98,Sloanが96-100,Hundred Acreが94-99,Blankietが92-96などです。ざっとこのあたりがトップワイナリ群という感じではないかと思います。
[補遺1]上記のワイナリーの中でドミナスは2010年と2013年に100点、インシグニアは再評価で1997年と2002年に100点、アラウホ(Araujo)から名称が変わったアイズリー(Eisele)は2013年に100点、スポッツウッドが2002年と2010年に100点など、100点を取ったワイナリーはかなり増えています。これらはいずれもオーパス・ワンと同じくらいに歴史も実績もあるワイナリーです。(2017年3月)
[補遺2]値段が高いワインということでいうと、スクリーミング・イーグル(Screaming Eagle)がトップでしょう。これまでパーカー100点を4回取っている上に非常に希少性も高いワインで、日本では大体20万円以上します。スケアクロウ(Scarecrow)も非常に希少性が高く、ナパで一番古いカベルネ・ソーヴィニヨンの畑であることなど、ストーリー性も豊かで、10万円を下らないワインです。このほかパーカー100点を15回も取っているシュレーダー(Schrader)も非常に高額に取引されています。ハーランやコルギンも10万円近くするのでオーパス・ワンよりは高価です。価格にはワインの評価以外に希少性が大きく関わるので、生産量の少ないこれらのワインが目立つ結果になります。(2017年3月)
4. Opus Oneてカリフォルニアのおみやげに買ってきてもらうのがいいのかな?
以前はOpus Oneの国内の価格が約3万円。それに対して米国では100ドル~150ドルくらいで売られていました。倍近くの価格だったわけです。しかし,2005年ヴィンテージ以降は日本の価格が2万円前後まで下がり,一方パーカーの高評価によって米国の価格は上昇傾向にあります。例えば2005年のWine-Searcherでの平均価格は196ドル。安いところでは150ドル切るので米国の方が安く買えるチャンスはありますが,そんなにかわらなくなったと思います。
[補遺]その後オーパス・ワンは偽造品対策や怪しいルートでの売買を防ぐための豊作を強く打ち出し、販売価格も原則として世界共通にしています。近年は高い評価が続いていることでかなり値上がりしており、日本では3万円以上、海外でもそれに匹敵する価格になっています。輸送費用などの問題で、米国内の方が多少安くなる可能性はありますが、それほど大きな差はなくなっています。(2017年3月)
5. セカンドワインのOvertureっておいしいの?
3のところで挙げたワイナリのいくつかはセカンドと呼ばれるワインを作っています。例えばHarlanのMaiden(セカンドとは言わない説もありますが),AraujoのAltagracia,SpottswoodeのLyndenhurst,ShaferのOne Point Five(セカンドとは言ってませんが),Dominus Napanookなどです。これらはパーカーのレビューにも載っており,ワイナリのワイン紹介にも書かれているワインです。一方でOvertureはワイナリのWebサイトにも載っていないし,一般には販売もされていません。これは稀少価値を出そうとしているのではなく,ワイナリに来た人のおみやげ用に用意しているワインという位置付けだからです。ワイナリでこのワインの作りについて聞いても,たいした話はしてくれないはずです。おいしいかどうかは飲んだ人が決めればいい問題なので,私がとやかく言う事ではありませんが,少なくともワイナリはこのワインについて味を評価してほしいとは思っていないだろうと思います。
[補遺]オーパス・ワンはオーバチュアをセカンドと呼び始めたようです。ワイナリー以外での売買も少しだけ始まっているようです。ただ、日本に入ってきているのは、ルートのはっきりしないものが多く、価格もオーパス・ワンとあまり変わらないことが多いので、手を出さない方が無難なワインだと思います。(2017年3月)
今はここが最安ランク。
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