Wine Advocate誌の198号が発表されました。Antonio Galloniにレビュアが代わって初のNapa Valley特集ということで注目が集まっていました。

最大のポイントは100点のワインが一つもなかったこと。過去3年のNapa Valley特集を見ると2008年が3本、2009年が6本、2010年が9本とややインフレ傾向にあったわけですが、今回は最高が98+でした。ナパの生産者にとっては100点というのは大きなセールスポイントになりますから、これについては残念に思う生産者が多そうな気がします。一方で、消費者にとっては100点が付いたことで価格が高騰してしまうのを避けられるので、悪い話ではないでしょう。トロフィーワインを追い求める人にとっては残念かもしれませんが…

では、どういうワインに高得点が付いているかというと、一つはAbreu。8本が97点以上という高得点をマークしています。98点を取ったのは2008 Abreu Cabernet Sauvignon Thorevilos。パーカーは1年前に96-99点を付けていますから、得点としては大きな違いはありません。ほかにはKongsgaardのシャルドネJudge 2008が98+、Screaming Eagle 2009が98+、DunnのHowell Mountain 2008が98+でした。


Abreu以外にパーカーが過去にレビューしたワインの点を見ると、Araujo 2008がパーカーの96-98から97+、Harlan 2008が95-98から96+と、同じワインの得点を見ると、さほど変わっていない感じがします。そうすると、100点が減ったのは2007年の優良ヴィンテージものの波が終わったから、という見方もできるのかもしれません。このあたりはもうちょっと分析しないといけなさそうです。

さて、今回のサプライズ・ワインは、といえばなんといってもDunnでしょう。2004年を最後にパーカーのレビューがなかったDunnですが、今回ガローニが2005から2008までをレビュー。Howell Mountainのカベルネが2005年から94、95、97、98+、Napaのカベルネが同じく92、94、95、96点という高得点でした。ガローニは、アルコール度を14%以下に無理やり抑えようとする(おそらく加水などによるものでしょう)ことには疑義を呈しながらも、出来上がったワインの品質については賞賛しています。ただし、98+のHowell Mountain 2008の飲み頃は2028~2043年。ちょっと自分の年令を計算してしまうほど遠い先です。

その他、気になるワインの点数を見ると、Tim MondaviのContinuumは2008が96、2009が94。Opus Oneは…まさかのレビューなし。う~ん、ガローニを避けたのでしょうか。