ナパのロバート・ビアーレ・ヴィンヤーズ(Robert Biale Vineyards)から創設者のボブ・ビアーレと妻のウェンディが来日し、ワイン会が開かれました。ロバート・ビアーレ、国内輸入はありますが、現在のインポーターとの契約が切れるため、新しいインタポーターを募集中だそうです。

ロバート・ビアーレはナパを代表するジンファンデルの生産者。ジンファンデルの古木の畑の維持にも力を入れており、古木の畑を登録するヒストリック・ヴィンヤード・ソサイエティのボードメンバーにも、リッジやターリー、ベッドロックなどと名を連ねています。



ウェルカムでいただいたのは2024年のROSATOというロゼ。サンジョヴェーゼが主体でジンファンデルをブレンドしています。全房で優しくプレスしたロゼで、イチゴなどのチャーミングな味わい。ビアーレ家はイタリアの出身ということで、イタリア系品種に思い入れがあるそうです。

次のワインは唯一の白。クレメンティーナ(Crementina)というワインで「Greco Biancco」という品種を使っています。これもイタリア系品種です。ビアーレの自社畑はオーク・ノールにありますが、プティ・シラーのブロックの状態が悪く、植え替えでごくわずかだけこの品種を育てています。

3つめからいよいよジンファンデルです。

ロバート・ビアーレの代名詞的ワインである「ブラック・チキン(Black Chicken)」。ボブの父親のアルドは、1929年生まれ。まだ少年だった1942年に父親が事故で亡くなってしまいました。当時、すでにナパに畑があり、ジンファンデルやプルーン、クルミなどを育てていました。ブドウは他のワイナリーに販売していたのですが、お金を少しでも多くかせぐために、アルドがワインを造って売ることを提案、納屋でワインを造り始めました。ただ、このワイン造りは許可を得ていないものだったので、内緒で取引をする必要があり、電話で「ブラック・チキン」と注文するのがワインのことだと決めたのでした。このコードネームをビアーレのワインの名前に付けました。今も自社畑のブドウを中心に、近隣の契約畑のブドウを加えてワインを造っています。

ワイン造りは、手作業で選果したあと、オープントップのファーメンターで2~4日低温で浸漬し、培養酵母で発酵。1日2~3回パンチダウン。発酵終了後は20%新樽で14カ月熟成しています。樽はブルゴーニュスタイルの樽を使っています。ボルドー系の樽と比べて樽材が厚く、空気を通しにくいという特徴があります。樽材が薄い方がタンニンは和らぐので、逆にストラクチャーを保つということのようです。



2016年のブラック・チキン・ジンファンデルは濃厚で、ザクロやブラック・チェリー、ブラックペッパー。ココナッツやハーブ。柔らかな酸があり、濃いだけではない良さがあります。

次は2022年のブラック・チキン・ジンファンデル。樽の甘い香りを感じますが、アメリカン・オークではなくフレンチ・オークを使っています。2016年よりも熟度高く、プラムや甘草、ヨーグルトのようなまろやかさがあります。

三つ目のジンファンデルはクームズヴィルのR.W.ムーアという畑のもの。ヴィンテージは2022年。「もっとワインを楽しもう」というのがコンセプトだそうです。チョコレートやプラム、レッド・チェリーなど。完熟した果物の美味しさを感じるワインです。

ジンファンデルの後はプティ・シラー(プティト・シラー)です。プティ・シラーはジンファンデルと並んで20世紀前半には一番よく植えられていた品種。濃厚でしっかりとした骨格のあるワインになります。ジンファンデルのブレンド用に使われることも多い品種です。個人的にも推しブドウ品種の一つ。

2015年はラザフォードの畑のプティ・シラー。タニックで超濃厚、プラム、チョコレート、ベーキング・スパイス。酸もあり、濃厚ワイン好きにはたまらないワインでしょう。理想的な年だったとのこと。

もう一つは2022年。この年はラザフォードの畑に加えて自社畑のプティ・シラーとナパのチャイルズ・ヴァレーのブドウを加えています。しっかりしたタンニンと酸。チョコレートケーキのような濃厚さと甘やかさ。

久しぶりに美味しいプティ・シラーを堪能しました。

この日のレストランはパレスホテルのグランド・キッチン。2023年にナパヴァレー・ワインのソムリエ・アンバサダーに選ばれた山田琢馬君がソムリエをしているレストランです。この日の料理は、琢馬君がビアーレのワインに合うようにシェフと考えたオリジナル・メニュー。

ジンファンデルにブリを合わせるなど、斬新ですがソースの味わいでしっかりと合っていておいしい。プティ・シラーには敢えて、料理ではなくチョコレートケーキを合わせるというのも良かったです。





ちなみに今回の来日はZAP(ジンファンデル・アドヴォケイツ・アンド・プロデューサーズ)主催のクルーズツアー(東京発着で2週間かけてアジアを回る)のためでした。
Zinfandel Advocates & ProducersJapan Spotlight Wine CruiseNow Sailing - Food & Wine Trails
ZAPがこんなツアーやっているんですね。知らなかったです。