全都道府県でワイン会をやっていきたい――ワインライフ 杉本隆英社長
カリフォルニアワインのインポーターインタビュー第一弾として、ワインライフ株式会社の杉本隆英社長を取り上げます。
このブログの古くからの読者はよくご存知だと思いますが、杉本さんと筆者とは15年近くの付き合いがあります。私が1999年8月に「カリフォルニアワインの玄関口」を立ち上げたとき最初にメールをくれたのが杉本さんでした。杉本さんは同年12月、カリフォルニアワインのファンクラブ(CWFC)を立ち上げ、会長として活躍。掲示板は特に活気があり、カリフォルニアワインの交流の場となっていました。また、多くのワイン会を開いてリアルの交流も盛んでした。
CWFCと並行して2002年には麻布十番にレストラン「カリフォルニア・ワイン・ガーデン(CWG)」を開店。2012年に閉店するまで日本のカリフォルニアワイン・シーンの中心として活躍しました。CWGの名前は現在、ワインライフのオンラインショッピング・サイトで使われています。
一方、杉本さんは2005年ころから米国で立ち上がったカスタムワイン醸造サービスCrushpadでワインを作り始めました。さらにはBrewer-Cliftonのグレッグ・ブリュワー、スティーブ・クリフトンなど、ワインメーカーとの交流でCrushpad外でも独自のワイン作りを始めました。
こうしてできたブランドが「シャトー・イガイ・タカハ」です。独特の家紋のラベルが特徴です。また、以前グレッグ・ブリュワーの個人ワイナリDiatomのワインだった「波紋」「美夜」「侍」などの漢字ラベルのものも、現在はシャトー・イガイ・タカハのワインとなっています。
ちょっと前置きが長くなりましたが、以下で杉本さんとのインタビューをお届けします。
――これまでの経緯を簡単に教えてください。
杉本:カリフォルニアワインにはまったのは、以前勤めていたシリコンバレーの会社で、ご褒美としてロバート・モンダヴィのWoodbridgeカベルネ・ソヴィニョンをもらったのがきっかけでした。それから1999年にCWFCを立ち上げ、2002年にCWGを始めました。
米国でクラッシュパッドが始まり、ワインを作り始めました。そこで作ったワインを日本で売れるようにするために酒販免許が必要になり、Vin du 268(兵庫県三田市のワインショップ)を買収し、株式会社クラッシュパッドを立ち上げました。2007年11月15日が設立の日です。米国のクラッシュパッドは最終的にうまくいかなかったが、未だにホテルや会社の周年記念でワインを作りたいという話は来ます。一定の需要があることは分かりました。
その後、2012年10月1日に社名をワインライフにして現在に至ります。
――ワインライフの理念はどのようなものですか。
杉本:まずはシャトー・イガイ・タカハをちゃんとすることが大事だと思っています。また、ワインの輸入だけでなく、楽しみ方を広げることに重きをおいています。ワインライフという会社名はワインで生活を豊かにする会社にしたいという意味を込めたものです。また、ソムリエなどにもっとよく知ってもらう活動もしています。
――イガイ・タカハ以外ではどのようなワイナリを取り扱っていますか。
杉本:Palmina、Transcendence、Reuling、Hilliard Bruce、Small Vines、Soliste、Tatomer、Sea Smoke、Paul Lato 心などがあります(注:Paul Lato心については「Paul Latoの新作は「心」、シャルドネとピノ・ノワールを試飲」を参照)。タカハの関係から輸入するようになったところが中心です。
ワイナリの地域としてはサンタ・バーバラが多くなっています。ナパやソノマは既に大手のインポーターが扱っているワイナリが多く、小規模なインポーターでは食い込むのが難しいです。サンタ・バーバラはそこまで競争が厳しくない、というのが理由の1つです。もう1つの理由は、私自身サンタ・バーバラのワインのミネラル感が好きだからです。
――力を入れているワイナリや、ここがお薦めというのはありますか。
杉本:正直に言って、あまり有名でないワイナリのワインを売るのは難しいです。ワインの輸入というのは輸送にかかるコストなどがあり、なかなか儲かるものではありません。現在は8割方、イガイ・タカハのワインが占めている状況です。なのでタカハだけで会社がやっていけるような形にしたいと思います。
――タカハのワイン会を積極的にいろいろなところで開催していますね。
杉本:今は地方を開拓しています。地方でワインは売れないと言われていましたが、ワイン会をやると、すごく喜んでもらえます。47都道府県すべてでワイン会をやり、ワインを売るショップやレストランを作るのが目標です。
――読者のアンケートによると3000円~5000円のワインへの興味が一番多いようです。この価格帯のワインでお薦めはありますか。
杉本:イガイ・タカハの中でCrossed Wingというシリーズがあります。2012年にグレッグ・ブリュワーと、もっと親しみやすい価格のワインを作りたいと意気投合して始めたものです。また、ワインをより楽しくということで、人気ウクレレ奏者のジェイク・シマブクロとコラボしており、ジェイクが「Crossed Wing」という曲を作ってくれました。ジェイクの演奏とワインを楽しむイベントも開きました。
Crossed Wingでは2013年にまず2860円のソヴィニョン・ブランを出し、その後ピノ・ノワール、アルネイス、ドルチェットと計4種類のワインを発売しました。
2014年には、Crossed Wingのワインとしてイタリア系ブレンドの白と赤を追加します。白はKEA KEA、赤はULA ULAという名前になります。これらはハワイでも販売する予定です。
――カリフォルニアワインをやっていて良かったことを教えてください。
杉本:いろいろな人に出会えたことが一番ですね。最近、グレッグ・ブリュワーがBrewer-Clifton、Melvilleと並んでタカハのワインメーカーであることを名刺に入れてくれてるんです。それも嬉しかったです。
関連サイト:
ワインライフ株式会社 | Wine Life
California Wine Garden
楽天市場 Vin du 268 トップページ
Ch.igai Takaha | シャトー・イガイタカハ
インタビューを終えて
杉本さんの活動を見ていると、かつてのCWFCのワイン会や、CWG、現在の各都道府県でのワイン会など、リアルでの人との結びつきを大事にしていることがよく分かります。ほかのインポーターとは大きく違ったインポーターですが、唯一無二の存在として際立っています。
このブログの古くからの読者はよくご存知だと思いますが、杉本さんと筆者とは15年近くの付き合いがあります。私が1999年8月に「カリフォルニアワインの玄関口」を立ち上げたとき最初にメールをくれたのが杉本さんでした。杉本さんは同年12月、カリフォルニアワインのファンクラブ(CWFC)を立ち上げ、会長として活躍。掲示板は特に活気があり、カリフォルニアワインの交流の場となっていました。また、多くのワイン会を開いてリアルの交流も盛んでした。
CWFCと並行して2002年には麻布十番にレストラン「カリフォルニア・ワイン・ガーデン(CWG)」を開店。2012年に閉店するまで日本のカリフォルニアワイン・シーンの中心として活躍しました。CWGの名前は現在、ワインライフのオンラインショッピング・サイトで使われています。
一方、杉本さんは2005年ころから米国で立ち上がったカスタムワイン醸造サービスCrushpadでワインを作り始めました。さらにはBrewer-Cliftonのグレッグ・ブリュワー、スティーブ・クリフトンなど、ワインメーカーとの交流でCrushpad外でも独自のワイン作りを始めました。
こうしてできたブランドが「シャトー・イガイ・タカハ」です。独特の家紋のラベルが特徴です。また、以前グレッグ・ブリュワーの個人ワイナリDiatomのワインだった「波紋」「美夜」「侍」などの漢字ラベルのものも、現在はシャトー・イガイ・タカハのワインとなっています。
ちょっと前置きが長くなりましたが、以下で杉本さんとのインタビューをお届けします。
――これまでの経緯を簡単に教えてください。
杉本:カリフォルニアワインにはまったのは、以前勤めていたシリコンバレーの会社で、ご褒美としてロバート・モンダヴィのWoodbridgeカベルネ・ソヴィニョンをもらったのがきっかけでした。それから1999年にCWFCを立ち上げ、2002年にCWGを始めました。
米国でクラッシュパッドが始まり、ワインを作り始めました。そこで作ったワインを日本で売れるようにするために酒販免許が必要になり、Vin du 268(兵庫県三田市のワインショップ)を買収し、株式会社クラッシュパッドを立ち上げました。2007年11月15日が設立の日です。米国のクラッシュパッドは最終的にうまくいかなかったが、未だにホテルや会社の周年記念でワインを作りたいという話は来ます。一定の需要があることは分かりました。
その後、2012年10月1日に社名をワインライフにして現在に至ります。
――ワインライフの理念はどのようなものですか。
杉本:まずはシャトー・イガイ・タカハをちゃんとすることが大事だと思っています。また、ワインの輸入だけでなく、楽しみ方を広げることに重きをおいています。ワインライフという会社名はワインで生活を豊かにする会社にしたいという意味を込めたものです。また、ソムリエなどにもっとよく知ってもらう活動もしています。
――イガイ・タカハ以外ではどのようなワイナリを取り扱っていますか。
杉本:Palmina、Transcendence、Reuling、Hilliard Bruce、Small Vines、Soliste、Tatomer、Sea Smoke、Paul Lato 心などがあります(注:Paul Lato心については「Paul Latoの新作は「心」、シャルドネとピノ・ノワールを試飲」を参照)。タカハの関係から輸入するようになったところが中心です。
ワイナリの地域としてはサンタ・バーバラが多くなっています。ナパやソノマは既に大手のインポーターが扱っているワイナリが多く、小規模なインポーターでは食い込むのが難しいです。サンタ・バーバラはそこまで競争が厳しくない、というのが理由の1つです。もう1つの理由は、私自身サンタ・バーバラのワインのミネラル感が好きだからです。
――力を入れているワイナリや、ここがお薦めというのはありますか。
杉本:正直に言って、あまり有名でないワイナリのワインを売るのは難しいです。ワインの輸入というのは輸送にかかるコストなどがあり、なかなか儲かるものではありません。現在は8割方、イガイ・タカハのワインが占めている状況です。なのでタカハだけで会社がやっていけるような形にしたいと思います。
――タカハのワイン会を積極的にいろいろなところで開催していますね。
杉本:今は地方を開拓しています。地方でワインは売れないと言われていましたが、ワイン会をやると、すごく喜んでもらえます。47都道府県すべてでワイン会をやり、ワインを売るショップやレストランを作るのが目標です。
――読者のアンケートによると3000円~5000円のワインへの興味が一番多いようです。この価格帯のワインでお薦めはありますか。
杉本:イガイ・タカハの中でCrossed Wingというシリーズがあります。2012年にグレッグ・ブリュワーと、もっと親しみやすい価格のワインを作りたいと意気投合して始めたものです。また、ワインをより楽しくということで、人気ウクレレ奏者のジェイク・シマブクロとコラボしており、ジェイクが「Crossed Wing」という曲を作ってくれました。ジェイクの演奏とワインを楽しむイベントも開きました。
Crossed Wingでは2013年にまず2860円のソヴィニョン・ブランを出し、その後ピノ・ノワール、アルネイス、ドルチェットと計4種類のワインを発売しました。
2014年には、Crossed Wingのワインとしてイタリア系ブレンドの白と赤を追加します。白はKEA KEA、赤はULA ULAという名前になります。これらはハワイでも販売する予定です。
――カリフォルニアワインをやっていて良かったことを教えてください。
杉本:いろいろな人に出会えたことが一番ですね。最近、グレッグ・ブリュワーがBrewer-Clifton、Melvilleと並んでタカハのワインメーカーであることを名刺に入れてくれてるんです。それも嬉しかったです。
関連サイト:
ワインライフ株式会社 | Wine Life
California Wine Garden
楽天市場 Vin du 268 トップページ
Ch.igai Takaha | シャトー・イガイタカハ
インタビューを終えて
杉本さんの活動を見ていると、かつてのCWFCのワイン会や、CWG、現在の各都道府県でのワイン会など、リアルでの人との結びつきを大事にしていることがよく分かります。ほかのインポーターとは大きく違ったインポーターですが、唯一無二の存在として際立っています。