ニューヨークのレストランにおけるワインについて解説した記事がW.ブレイク・グレイ氏のブログに載っていました(The Gray Report: New York restaurant wine market, explained)。これはグレイ氏がリーバイ・ダルトンというニューヨークのソムリエから聴いた話をまとめたもの。

まず、ニューヨークのレストランではワインの持ち込みを許していることはほとんどありません。そして、ワインの価格は基本的に市価の3倍です。これより安く値付けをするソムリエは首になってしまいます。したがってお買い得なワインというのは、在庫整理か、レストランが戦略的に行っている場合にしかありえないのです。

このため、レストランは、値段が簡単に分かるような、知られたワインをリストに置くことを避ける傾向があります。自然派ワインが増えている理由の1つがこれです。

自然派ワインはSO2を使っていないものがあるなど、熟成には不向きなことが多く、早くリリースされる上、新樽もめったに使わないことから、コストが比較的かからなくなっています。したがって値段も安く、レストランにとっても利幅を大きく取りやすいのです。

また、ダルトンはニューヨークの場合、欧州から大西洋経由で直接入荷するため、パナマ運河を通る西海岸よりもコンディションが優位だと言います。それが自然派が強いもう1つの理由になりそうです。

ニューヨークでは、高いワインの需要が多い傾向もあります。例えば200ドルのワインを注文する人は、同じ品質の80ドルのワインには目もくれず、200ドルのワインにしか興味を示しません。

そのため、ニューヨークのレストランはさまざまな価格帯のワインを用意しておく必要があるのだそうです。

西海岸では40ドルから75ドルのワインがリストに多く載っているのとは大きく違います。

このほか、端々に「ヒップ」かどうかという話が出てきます。ニューヨークでワインを飲む人は「ヒップ」なワインを好むのだそうです。

なかなか素人には敷居の高そうなニューヨークのワインシーンです。