ナパやソノマなどカリフォルニアのノース・コーストでピアス氏病が流行しつつあります。その現状や対策などを議論するセミナーがナパのNapa Valley Vineyard Technical Groupによって開かれました(Experts Address PD Outbreak in Grapevines)。

ピアス氏病はブドウなどの農作物の病気で、感染してしまうとそれを治すための薬などは存在していません。カリフォルニアでは1990年代末に南カリフォルニアのテメキュラなどで流行して多くのブドウ畑がなくなりました。

その後、この病気を媒介するガラス羽シャープシューター(Glassy Winged Sharpshooeter)を徹底的にコントロールすることで爆発的な広がりを抑えてきたのですが、最近また流行を始めたのです。

実は、今回の流行はガラス羽シャープシューターによるものではなく、緑青シャープシューター(Blue-green Sharpshooter)によるものだとのことです。
Blue-Green Sharpshooter

このシャープシューターはガラス羽シャープシューターほどの飛翔力はなく、普段住んでいる川沿いを中心に活動しており、それほど珍しい昆虫ではありません。したがって、ガラス羽シャープシューターのように、苗木の流通でコントロールするといった方法は使えません。

また、流行は緑青シャープシューターの数で決まるのではなく、ブドウに感染した時期と、ブドウがどれだけ早く回復するか(それには冬の気温が影響するとのこと。

具体的には6月1日よりも後に感染したブドウの樹は冬の間に回復する可能性が高いとのこと。また、冬は寒い方がブドウは回復しやすいそうです。近年は暖冬傾向にあり、それが流行につながっているようです。

ブドウの樹が冬の間にピアス氏病から回復するメカニズムは明らかになっていませんが、冬の間に剪定することが影響しているようです。

なかなか効果的な対策は見つからないようですが、がんばって流行を抑えてほしいところです。