Wine Advocate、日本酒リスト漏洩疑惑まとめ
Wine Advocate誌の最新号に掲載された日本酒のレビューについて、事前にリストが漏れていたのではないかという疑惑について、何回か記事を掲載しています。その後、さしたる進展はないのですが、様相は複雑なので、一回整理しておきたいと思います。
●起こったこと
2016年8月31日(米国時間)、Wine Advocate誌の226号が発表され、78本の日本酒についてレビューが掲載された。ポイント90点以上のものを掲載したという。
同じ日に、東京にある輸出業者「The Taste of Sake」が、この78種類の酒だけの販売を始めた。また、この業者のページにはレイティングや写真も乗っていたという。
事前に情報を得ずして、そういうことは可能なのだろうか、という疑問(ブロガーのW. Blake Gray氏による)がそもそもの発端です。
また、「疑惑のサイトの価格設定に驚愕」という記事に書いたように、このサイトに掲載されていた価格は国内の価格と比べてとてつもなく高く、「暴利を貪る」と言っても過言ではないほどでした(Gray氏によると、8月31日時点の価格はもっと安かったらしい)。
Gray氏が記事を公開した後、この輸出業者のWebサイトは見られない状態になっています。
●The Taste of Sakeという会社についてわかったこと
社長は吉田廣一という人で、この人のFacebookのページによると、「ル・カヴォー」というインポーターの社長であり、勤務先として「ミレジム」というインポーターの名前も書いてあります。
また、Gray氏のメールによる問い合わせに吉田氏は、The Taste of Sakeは「ル・カヴォー」の子会社だと答えています。なお、筆者がThe Taste of Sakeの本社が入っているビルに行ってみたところ、オフィスには「ル・カヴォー」の名前もあり、ほぼ一体となっていると考えられます。
また、前述のように吉田氏はミレジムにも勤務していると書かれていますが、ミレジムとル・カヴォーの本社住所は同じです。そして、筆者がミレジムの事務所が入っているビルを訪れたところ、ミレジムとル・カヴォーが同じ事務所にいることもわかりました。
つまり、ミレジム、ル・カヴォー、The Taste of Sakeは非常に強いつながりがある会社と考えられます。
●ミレジムの社長、アーネスト・シンガー氏について
ミレジムの社長はアーネスト・シンガーという人で、この人は自称ロバート・パーカーの日本代理人となっています。また、さまざまなインタビューで、今回の日本酒のレビューに協力した旨(レビューや採点にも関係しているような記述もあります)、答えています。
なお、アーネスト・シンガー氏はアジア・ビジネス・コンサルタンツという会社の社長も務めており、この会社はWine Advocate誌の日本語版である「ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」というサイトを運営しています。
このサイトには、今回の日本酒のリストも入っており、写真も掲載されています。写真が掲載されるのは極めて異例なことです。
●Wine Advocate誌の弁明
日本酒のレビューは正しい手続きに則って行われ、リストが事前に漏れたということもない、としています。
また、アーネスト・シンガー氏はロバート・パーカー氏やWine Advocate誌の代理人ではないとのことです。日本語版のサイトも数年前に更新を止めており、その後のコンテンツについての日本語化権は持っていないはずだ、としています。
さらに、シンガー氏は、Wine Advocate誌からの質問に対して、The Taste of Sakeとは無関係だと答えたそうです。
●現在の疑念
リストの扱いについて、Wine Advocate誌内部に問題がなかったとしても、選定やレビューにアーネスト・シンガー氏が協力しているのであれば、そこから漏れる可能性はあると思います。氏がどこまで、そこに関わっていたのかをはっきりさせないと、シンガー氏についての疑惑が晴れたとは言えません。特に、シンガー氏がThe Taste of Sakeと無関係とは言えないことが上記調査によって明らかであり、その他のことについても氏が本当のことを答えているのかどうかは極めて疑問です。
アーネスト・シンガー氏の立場が怪しくなっています。現在、Wine Advocate誌のレビューなどを使用するには、ワインショップは店ごとに1アカウント(年間2万4600円)の契約がロバート・パーカー・オンライン・ジャパンとの間で必要です。これがWine Advocate誌で認めたものなのかどうかなど、明らかになっていません。
また、今回の日本酒レビューを使った「オフィシャル・ハンドブック」の出版が予定されていますが、それについてもWine Advocateが認めたものではなさそうです。
最後に、実はWine Advocateの現編集長であるリサ・ペロッティ・ブラウンMWはかつてミレジムで働いており、「ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」には「リサの日記」というコンテンツもあります。だからと言って、アーネスト・シンガー氏に対して甘い対応を取るとは思いたくないですが、若干懸念される事柄ではあります。
●起こったこと
2016年8月31日(米国時間)、Wine Advocate誌の226号が発表され、78本の日本酒についてレビューが掲載された。ポイント90点以上のものを掲載したという。
同じ日に、東京にある輸出業者「The Taste of Sake」が、この78種類の酒だけの販売を始めた。また、この業者のページにはレイティングや写真も乗っていたという。
事前に情報を得ずして、そういうことは可能なのだろうか、という疑問(ブロガーのW. Blake Gray氏による)がそもそもの発端です。
また、「疑惑のサイトの価格設定に驚愕」という記事に書いたように、このサイトに掲載されていた価格は国内の価格と比べてとてつもなく高く、「暴利を貪る」と言っても過言ではないほどでした(Gray氏によると、8月31日時点の価格はもっと安かったらしい)。
Gray氏が記事を公開した後、この輸出業者のWebサイトは見られない状態になっています。
●The Taste of Sakeという会社についてわかったこと
社長は吉田廣一という人で、この人のFacebookのページによると、「ル・カヴォー」というインポーターの社長であり、勤務先として「ミレジム」というインポーターの名前も書いてあります。
また、Gray氏のメールによる問い合わせに吉田氏は、The Taste of Sakeは「ル・カヴォー」の子会社だと答えています。なお、筆者がThe Taste of Sakeの本社が入っているビルに行ってみたところ、オフィスには「ル・カヴォー」の名前もあり、ほぼ一体となっていると考えられます。
また、前述のように吉田氏はミレジムにも勤務していると書かれていますが、ミレジムとル・カヴォーの本社住所は同じです。そして、筆者がミレジムの事務所が入っているビルを訪れたところ、ミレジムとル・カヴォーが同じ事務所にいることもわかりました。
つまり、ミレジム、ル・カヴォー、The Taste of Sakeは非常に強いつながりがある会社と考えられます。
●ミレジムの社長、アーネスト・シンガー氏について
ミレジムの社長はアーネスト・シンガーという人で、この人は自称ロバート・パーカーの日本代理人となっています。また、さまざまなインタビューで、今回の日本酒のレビューに協力した旨(レビューや採点にも関係しているような記述もあります)、答えています。
なお、アーネスト・シンガー氏はアジア・ビジネス・コンサルタンツという会社の社長も務めており、この会社はWine Advocate誌の日本語版である「ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」というサイトを運営しています。
このサイトには、今回の日本酒のリストも入っており、写真も掲載されています。写真が掲載されるのは極めて異例なことです。
●Wine Advocate誌の弁明
日本酒のレビューは正しい手続きに則って行われ、リストが事前に漏れたということもない、としています。
また、アーネスト・シンガー氏はロバート・パーカー氏やWine Advocate誌の代理人ではないとのことです。日本語版のサイトも数年前に更新を止めており、その後のコンテンツについての日本語化権は持っていないはずだ、としています。
さらに、シンガー氏は、Wine Advocate誌からの質問に対して、The Taste of Sakeとは無関係だと答えたそうです。
●現在の疑念
リストの扱いについて、Wine Advocate誌内部に問題がなかったとしても、選定やレビューにアーネスト・シンガー氏が協力しているのであれば、そこから漏れる可能性はあると思います。氏がどこまで、そこに関わっていたのかをはっきりさせないと、シンガー氏についての疑惑が晴れたとは言えません。特に、シンガー氏がThe Taste of Sakeと無関係とは言えないことが上記調査によって明らかであり、その他のことについても氏が本当のことを答えているのかどうかは極めて疑問です。
アーネスト・シンガー氏の立場が怪しくなっています。現在、Wine Advocate誌のレビューなどを使用するには、ワインショップは店ごとに1アカウント(年間2万4600円)の契約がロバート・パーカー・オンライン・ジャパンとの間で必要です。これがWine Advocate誌で認めたものなのかどうかなど、明らかになっていません。
また、今回の日本酒レビューを使った「オフィシャル・ハンドブック」の出版が予定されていますが、それについてもWine Advocateが認めたものではなさそうです。
最後に、実はWine Advocateの現編集長であるリサ・ペロッティ・ブラウンMWはかつてミレジムで働いており、「ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」には「リサの日記」というコンテンツもあります。だからと言って、アーネスト・シンガー氏に対して甘い対応を取るとは思いたくないですが、若干懸念される事柄ではあります。