サンフランシスコをベースにして、ワインの偽造鑑定を長年てがけてきたモーレン・ダウニーさん。「ワインのシャーロックホームズ」といった異名も持つ彼女が始めたのがブロックチェーンを使ったワインの認証サービスです(Wine fraud expert uncorks blockchain technology to protect integrity of expensive vintages - San Francisco Business Times)。

仕組みはこんな感じ。ワインを鑑定すると、そのワインの特徴を80以上のデータで記録します。この情報はブロックチェーン上で偽造できないようにされます。また、そこからワインの指紋となるようなユニークなIDを生成します。この情報はチップに埋め込まれ、何らかの方法でコルクに格納されるようです。チップはフェリカのような近接通信の機能を持っていて、外から読み取ることが可能です。それによってブロックチェーン上の情報と照合できるので偽造が防げるとのことのようです。

記事を読んだ限りでは、最終的にはワインの生産者にこの技術を採用してもらいたいようですが、生産者はそれぞれ偽造対策を始めているので、なかなかハードルは高そうです。

そうなるとワインを鑑定してもらう人が対象ということになるとおもいますが、その場合、チップの埋め込みをどのようにやるのかわかりません。ちなみにチップをコルクに埋め込むのはコラヴァンで、中身だけ、入れ替えられるのを防ぐ(コルクに針が刺さったときにチップが壊れるようにしている)ためだそうです。

また生産者に採用してもらう場合、ワイン一本一本に異なるIDを割り当てるのか(鑑定にかかる手間とコストが大変なことになりそう)、ひとつの種類のワインはIDを、共有するのか(データと合わないワインが出てきそう)、よくわかりませんでした。

宝石の世界では鑑定書をブロックチェーンで管理する技術が既に使われており、今回はその会社との提携によってサービスを始めたとのことですが、いろいろと敷居が高そうな感じがします。