ユリシス・ヴァルデス
著名なワインメーカーのポール・ホブズが、先々週急死したユリシス・ヴァルデスの追悼文を掲載しています(Calling the Pick in Honor of Ulises Valdez - Paul Hobbs Journal)。

ユリシス・ヴァルデスはとにかくソノマを熟知していました。気候や土壌など、その土地の特徴がすべてわかっていました。その能力の素晴らしさは、ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーにあるエドワード・ジェームズ・エステートの畑を作るときに遺憾なく発揮されたそうです。あたかも、最初から畑の完成形がわかっているかのようだったとポール・ホブズも舌を巻きます。

ただ、ユリシス・ヴァルデスは能力だけの人ではなく、毎日地に足をつけて仕事をする人でした。朝の6時半ころ、ポール・ホブズはしばしば電話で起こされたそうです。特に用事があるわけではなく「美しい一日の始まりだ。今日が君にとっていい一日になりますように、ポール」と挨拶するだけだったそうですが、ユリシス・ヴァルデスとポール・ホブズの関係性もさることながら、骨の髄まで栽培家だったんだなあと思いました。

ちなみに、この文章のタイトルにある「Calling the pick」とは、果実の収穫をするチームを招集すること。毎年行う様々な判断の中でも、これが一番最終的なワインの味わいに直結するので、神経質になるのだそうです。毎朝、いつがベストなタイミングかを考えながら、電話をくれていたユリシス・ヴァルデスを思い出すのでしょうね。

改めて、その死を悼みたいと思います。