2018年11月25日、カリフォルニアの山火事史上、最大の死者数となったキャンプ・ファイアー(Camp Fire)がようやく100%包囲された形になりました。昨年は12月にも巨大な山火事が起こっており、まだ安心するには早い状況ではありますが、今回の山火事を含め、カリフォルニアの山火事について、知っておきたいことをまとめてみます。

・山火事は珍しくない

 乾燥しているカリフォルニアでは山火事が起こること自体は珍しくありません。例えばWikipediaの2018年の山火事のまとめを見ると2018年だけで7579件の山火事が起こっています。ちなみに2017年は9133件とやや多かったのですが、毎年7000から9000件程度の山火事があるのです。ニュースで報じられない山火事もたくさん起こっていて、それ自体は珍しいものではないということです。

・「鎮火」は火が全部消えたことではない

 日本では「鎮火」として報道されていますが、英語では「contained」。意味は文字通り「包囲された」とのことです。山火事の消化活動は、水を撒いたり、消火剤を撒いたりというのはありますが、それ以外に燃えたところの周りに一定幅の防火帯を作って、それを火が越えていかないようにするというのがあります。100%包囲したというのは、こういった防火帯で完全に回りを包囲したということ。実際にはエリアの中では火が残っている可能性もあります。「鎮火」というと完全に火が消えたイメージですが、必ずしもそうではありません。

・史上初、史上最大が多すぎる

 2017年10月に、ワイン・カントリーにも大きな被害をもたらした山火事があったのは記憶に新しいところです。中でもタブズ・ファイアー(Tubbs Fire)と呼ばれる火事はナパのカリストガで始まり、ソノマのサクラメントあたりまで一気に焼き尽くして、長沢鼎ゆかりの施設などを破壊しました。建物の被害が5643件、亡くなった人が22人。36,807エーカーを焼きました。最も破壊的な火事でした。

 2017年12月にはトーマス・ファイアー(Thomas Fire)が起こり、サンタ・バーバラやベンチュラに大きな被害を与えました。オーハイ(Ojai)ワイナリーもかなり危険な状況でした。281,893エーカーが燃え、その時点での最大の面積を焼いた火事となりました。

 2018年7月にはメンドシーノで「メンドシーノ・コンプレックス・ファイアー」と呼ばれる複合火災がありました。これは「ランチ・ファイアー」と「リバー・ファイアー」の混ざったものですが、その時点で複合火災として最大面積となりました(459,123エーカー)。また、このときは「ファイアー・トルネード」と呼ばれる竜巻状の火災が起こったことも話題になりました。さらに、このときの被害から、メンドシーノでのブドウの煙汚染問題が起こっています


 そして、2018年11月の火事です。ロスアンゼルス近辺では「ウールジーファイアー」が起こり、マリブ近辺の豪邸などを焼き、「マリブコーストAVA」地域のワイナリーにも大きな被害を与えました。これは記録としては、トップではありませんが、ほぼ同時に起こった「キャンプ・ファイアー」では88人が亡くなり、カリフォルニアで最も多くの死者を出した山火事となりました。なお行方不明者も200人を超えています。 18,804の建物を破壊し153,336エーカーを焼きました。

2年間でこれだけ記録的な火災が頻発するのは異常事態です。

・なぜこんなに被害が大きくなるのか。
 秋になると、カリフォルニアでは強風が吹くことがあります。キャンプ・ファイアーや、昨年のタブズ・ファイアーでは最大時速100kmに近い強風が吹いたといわれています。このため、火が広がるのも非常に速く、1時間に3kmとか4kmとか進んだと言われています。

・異常事態は続くのか?

 カリフォルニアの州知事は「これは“新しい正常”などではありません。これは“新しい異常”です」と言っています。これが正常になったという自身の発言を否定して改めて異常事態を宣言した形になっています。

・来年以降も火事は起こるのか。

 冒頭にかいたように、山火事自体は毎年何千件と起こっています。ただ、ここまで人的被害や建物の被害が出たことはありませんでした。これからも毎年のように記録は起こる可能性が高いと思います。