今週、アカデミー・デュ・ヴァンのセミナー4回目はカレラでした。さすがにカレラは受講者の方々の多くもなじみがあったようですが、案外「昔はよく飲んだけど最近は」という人も多かったかもしれません。例によって時間が足りずにしゃべりきれなかった部分もありましたが、基本的なところからかなりマニアックな部分までお話できたかと思います。

試飲のハイライトはもちろんピノ・ノワール。単一畑のピノ・ノワールを4種類試飲してもらい、ブラインドで当ててもらいました。残念ながらヴィンテージが揃えられなかったこともあり、かなり難しくなってしまいました。


左からジェンセン2011、ライアン2011、セレック2014、ド・ヴィリエ2015です。

カリフォルニアの2011年は天候が不順であまりいい年ではなく、ジェンセンもいつもよりも酒質が弱かったように思います。バランスの良さはジェンセンらしいところではありましたが、ブラインドで見極められたらすごいです。それでも人気は2番めでした。残念ながらブラインドの正解者はいなかったかと。

ライアンはこれまであまり飲んだことなかったので分かりませんが、一番エレガント系でした。受講者も多分ライアンにはなじみなかったのでしょうね。ライアンという回答自体がほとんどなく、ミルズやリードと思った人が多かったようです。ジョシュ・ジェンセンは「将来はライアンが一番と言われるようになるのでは」とかつて語っており、実はかなりポテンシャルのある畑のようです。おそらく、ライアンがカレラの単一畑の中で一番の「穴」になるでしょう。


セレックは一番わかりやすかったと思います。正解者も多かったです。明らかに果実味が少なく、鉱物系の風味だったり、複雑な要素が多くあります。まだ若い段階だと、もっと果実味が多いほうが飲みやすく感じますが、十数年熟成させたらセレックは魅力的です。

受講者の2/3近くが一番好きだと言ったのが最後のド・ヴィリエ。ここはジェンセンとミルズの間にある畑ですが、開墾自体はミルズと同時期に始まっているのに植樹したのは15年遅れ。ほかの畑は3年めくらいからワインを作り始めているのにここは10年めから。理由はタンニンが強すぎて、それをコントロールするのが難しかったから。結局ここだけはブドウを除梗することでワインを造るようになったのですが、このようにすごく頑固な畑です。除梗していてもストラクチャーがしっかりしていて、厚みのある味わい。ジェンセンをさらにボールドにしたような感じです(ピゾーニに対するゲイリーズみたいな?)。

価格的にはジェンセンとセレックは、ライアンとド・ヴィリエの倍近くするのですが、ワインのポテンシャルにはそこまでの差はないと思います(長期熟成ならやはりセレックだと思いますが)。

という、なかなか興味深い結果になった試飲でした。


ジェンセンもこっちのヴィンテージで試飲できたらよかったのですが。


セレックはこのあたりが多分一番飲み頃です。


ライアンは一番欧州系だと評されていました。