ハーラン・ファミリーの第3のプロジェクト「プロモントリー(Promontory)」に第2のワインが登場しました。名前はPenultimate。「ピナルティマット」(最初のピにアクセント)と発音するようです。意味はラテン語で「ほぼ最終」。
ラベル
Penultimateのラベル。従来のハーランのワインとは違った雰囲気

どういう意味なんでしょうね。ハーラン・ファミリーにとって最終のワイン? あるいはようやく最終形態に近づいてきたということ?

このワイン、単純にセカンド・ワインと呼べない何かがあるような気がします。それはプロモントリーが非常に個性的なプロジェクトで、これまでのハーランともボンドとも、またナパのほとんどのワイナリーとも大きく違っていることによって生まれるものです。

例えばハーランであれば、まだぶどう畑の少なかった1980年代に、最高の場所として見つけて開拓したところであり、「ト・カロン」などの畑に通じるオークヴィルの扇状地に作られています。また、ボンドであれば、ハーランの畑を探すときに見つけたナパの最高の畑のいくつかを単一畑のワインとして作るものでした。

それに対して、プロモントリーはこれまでぶどう畑があったけれどもほとんど手入れされていなかったところ、しかも場所はヨントヴィルからマヤカマスの山に入っていったところにある谷地であり、他のナパの畑から離れた(距離的にはハーランの畑からも600mほどしか離れていないそうですが)、これだけで一つの世界を築くようなところです。ハーランは2008年にこの土地を手に入れてから、一気に開発を進めるのでなく、一部植え替えを行いながら、土地そのものを分析し、理解していこうとしています。

すでに「100点」のワインも造られているプロモントリーですが、現状は完成形というよりも発展途上、しかもその初期といってもいいのです。

ハーランは、この土地を調べれば調べるほど「ナパヴァレーの他の地域とはまったく別の世界を構成している」と考えるようになったそうです。そして、さらに精密に調べることを進めていますが、それはもうブドウ畑の管理というよりは、ブドウの樹を1本1本、園芸家が樹を育てるように手入れするレベルに達しています。

ただ、ワインというのはこのように1本1本細部に渡って手を入れても、最終的には作られたワインという総合体でしか見られなくなってしまいます。ハーランはこれを画家のスケッチのようなものと言っています(スケッチのタッチ一つひとつが重要だが、最終的には作られた作品でしか評価されない)。

ピナルティマットは、このような現在進行系の研究を形にしたようなものだといいます。単にプロモントリーに使わなかったワインをセカンド・ワインとして作っているのとは何か違う、そんな気がします。

ちなみに、今回は2013年から2015年の3ヴィンテージ分を1つのボックスに入れて出荷します。価格は3本で975ドル。
ボックス
ちょっと買ってみたい気もするのですが、やっぱり結構な値段ですから躊躇しています。